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クレアの剣

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 クレアはとっさにドラゴンのウェントゥスに助けてもらおうとした。だがウェントゥスの意識はメロディに向いていて、距離も離れていた。

 ここはクレアが何とかするしかない。クレアは、今にも地面に直撃しそうなモニカの真下に、巨大な水のかたまりを作った。

 モニカは巨大な水のかたまりに着水すると、激しい水しぶきがあがった。モニカは地面スレスレで停止すると、ふわりと水面に向けて上昇しだしだ。

 クレアは息をはいた。どうやら落下の衝撃を殺せたようだ。クレアが水のかたまりを解除すると、辺りが水びたしになった。その中心に、モニカが放心したようにしゃがみこんでいる。クレアは彼女に駆け寄ろうとした。

 その時、モニカの横に魔法使いが立ちはだかった。右手を彼女に向けている。攻撃魔法を放つつもりだ。クレアは思わず叫んだ。

「モニカさん!反撃して!」

 だがおかしな事に、モニカは放心したまま微動だにしなかった。クレアは舌打ちしてポシェットに手を触れた。ポシェットから銀色の剣を取り出して構える。

 クレアは剣に水魔法をまとわせた。剣は暴れるケモノのように動き出す。クレアは必死で剣を制御しながら、視線を魔法使いに向けた。

 水魔法の剣はまだまだ練習段階だ。もし失敗すれば近くにいるモニカまで傷つけかねない。だがこのままだとモニカは確実に魔法使いに殺される。

 クレアは乾いたくちびるをひと舐めしてから、剣を振り下ろした。水魔法は、荒れ狂うヘビのように魔法使いに直撃した。魔法使いはそのまま後方に吹っ飛んでしまった。

 クレアはハァハァと肩で荒い呼吸を繰り返した。これまでに大量の魔力を消費してからの水魔法の剣の使用はとても身体にこたえた。

 モニカの側に空間魔法の出入り口が出現した。中からはクロードが現れて、モニカを助け起こそうとしている。

 クレアはホッと安どのため息をついた。クロードはクレアに笑いかけて言った。

「クレア、よくやった」

 クレアは師匠であるクロードに褒められて嬉しくなった。突然、笑顔だったクロードの顔がこわばって叫んだ。クレア、と。

 クレアはハッとして横を振り向くと、そこには剣を振り上げた盗賊がいた。

 しまった。油断していた。クレアは水魔法の剣を使ったため、すぐに攻撃魔法を放つ事ができなかった。クレアは身体をこわばらせた。
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