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反撃

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 クレアは水攻撃魔法を使いながら、不思議な感覚におちいっていた。以前よりも魔法が使いやすいのだ。それに魔力も向上している。おそらくクロードたちがクレアたちに稽古をつけてくれた事が原因だろう。

 魔法とは強靭な精神力に反映される。クレアとメロディは、九日間という短い間だったが、心身共に鍛えられたのだ。

 メロディも自身の魔力が向上した事に驚いているようだ。メロディの足元から、沢山の植物のツタが伸びて、盗賊たちに巻きついて行く。メロディは沢山のツタを器用に操って盗賊たちをぐるぐるのす巻きにしていった。

 ウェントゥスも風攻撃魔法を放ち、盗賊たちを吹っ飛ばしていた。だが数が多すぎた。屋敷の周りに群がっていた盗賊たちは、クレアたちの騒ぎを聞きつけてどんどん集まって来た。

 クレアはウェントゥスに言った。

「ウェン、大きくなって!いったん上空に待機」
「ピィ!」

 クレアとメロディは大きくなったウェントゥスに飛び乗ると、上空に飛ぼうとした。その時、上空に人間が浮いていた。クレアはゴクリとツバを飲んだ。上空に浮いたまま止まっている人間は、しわがれた声でクレアたちに言った。

「お前たち。魔法使いかと思ったが、そうではないな。一つのエレメントしか使えない出来損ないどもだな」
「見たところ貴方は魔法使いのようだけど?貴方もこの低レベルな集団の仲間なの?」

 上空にとどまった男は地面をうごめき回る男たちをさげすむように見下ろして言った。

「あんな下等な連中と一緒にされては困る。俺は奴らに雇われただけだ」

 クレアは思わずくちびるを噛んだ。魔法の使えない盗賊団だと思っていたのに、魔法使いがいたなんて。クレアがどうしようかと考えていると、前に乗っているメロディが、クレアを振り向いて小声で言った。

「クレアちゃん。あいつの左手」

 クレアが男の左手に視線を向けると、気味の悪いヘビのいれずみ。ウィーペラ魔法団。クレアは思わず舌打ちをした。ウィーペラ魔法団の男はダラリとおろしていた右手をあげた。クレアは思わず叫んだ。

「ウェン!風防御魔法!」
「ピィ!」

 ウェントゥスが防御魔法を張った途端に、強力な攻撃魔法がぶち当たった。魔法使いの強力な攻撃魔法に、ウェントゥスが押され気味になる。無理もない、ウェントゥスは屋敷全体を守る防御ドームを張りながら、クレアたちを守る防御魔法を発動させているのだ。

 このままでは押し負ける。クレアは歯を食いしばっていた。その直後、クレアたちの横に、真っ黒な空間の出入り口が出現した。

 中からは美しい赤髪のモニカが現れた。
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