上 下
114 / 196

クレアとメロディの問題点

しおりを挟む
 クロードはクレアとメロディを前に、模擬戦の結果を言った。

「クレア。お前は攻撃魔法の後、いったん止まったな。攻撃した後の事を考えていなかったんだろう?」
「はい。自分の最大の攻撃魔法だったので、少しは足止めになるかと思ったんです」

 クレアは自身の考えの甘さを認めずにはいられなかった。クロードはため息をついてから言った。

「クレア、お前は今自分の最大の攻撃魔法と言ったな?お前は自分の限界を自分で知っているのか?」

 クロードの問いにクレアはハッとした。クロードはクレアにさとすように言葉を続けた。

「自分の限界を自分で決める事ほどおろかな事はない。魔法とはおのれの精神力の強さによる。最後の最後まで魔力を高め続けろ」
「はいっ!」

 クレアの返事にクロードは少し表情をやわらげてから、メロディに視線をうつして言った。

「次にメロディ」
「はぁい」
「メロディは植物魔法だ。魔法が使える相手にはちょっとぶが悪いなぁ」

 クロードの言葉にメロディはしゅんとした。その事はクレアもメロディも感じていた。クロードは提案した。

「メロディ、お前は何か武器を使えるようにしといた方がいい」
「えぇ~。武器ですか?」
「まぁ、何にするかはおいおい考える」

 そこでクレアはある事を思いついて発言した。

「あ、あの、クロードさん。私もロックさんみたいに剣に水魔法をまとわせて戦う事はできないでしょうか?」

 クロードはあごに手を置いて考えるそぶりをしてから答えた。

「うん、クレアは魔法を器用に操るからな。できるかもしれない。だがな、剣は棒きれとは違うんだぞ?ロックは風魔法の剣を簡単そうに使っているが、ロックは剣の達人だからできる事なんだぞ?」
「えへへ。照れるなぁ」

 それまでクロードの横に立って、一言も言葉を発しなかったロックが、嬉しそうに頭をかいて言った。クロードは嫌そうな顔でたしなめて言った。

「ロックは図に乗りやすいからほめたくないんだよな。まぁ、クレアもメロディも剣の訓練もしてみるか。だがその前に体術を訓練しなければな。俺たちが敵だったらクレアとメロディは一瞬で殺されていたんだぞ?」

 クレアは無意識に下くちびるを噛んだ。防御魔法を破られた後、クレアとメロディは一瞬で、クロードとロックに制圧されてしまった。

 クロードはモニカを呼んで、クレアたちに言った。

「体術はモニカに教えてもらえ」
「えっ!モニカさんが?」

 クロードの発言に、クレアは驚いて聞き返した。モニカが笑顔で言った。

「あら、私が魔法だけしかできないと思った?冒険者なら体術もできないとね」



 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:1,521

おちこぼれ召喚士見習いだけどなぜかモフモフにモテモテです

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:67

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:23,062pt お気に入り:3,267

ひよっこ召喚師モフモフの霊獣に溺愛される

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:773

ひとりの獣人と精霊

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:13

滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:127pt お気に入り:544

処理中です...