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水のドラゴン
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クレアたちが雨の中空を飛んでいると、ドラゴンのウェントゥスがピィッと鳴いた。クレアの前に乗っているメロディがうなずいて言った。
「わかった。ウェン、話しかけてみて?」
クレアにはドラゴンのウェントゥスの言っている事はよくわからないが、何故かメロディには理解できるらしい。ウェントゥスは分かった、とでもいうように小さくピィと言った。
「ピィーーー!!」
直後、耳をつんざくようなウェントゥスの大きな鳴き声が空に響きわたった。クレアはあまりの大音量に、慌てて耳をふさいだ。メロディは変わらずジッと辺りを見回している。すると、森の一箇所から、大きな水柱が上がった。まるで間欠泉のようだ。メロディは叫んで言った。
「答えた!ウェン、お願い!」
「ピィー!」
ウェントゥスは身体を旋回させると、一目さんに水柱の上がった場所に飛んだ。クレアは訳がわからずひたすらメロディの腰にしがみついていた。
クレアたちは草深い森に降り立った。ウェントゥスはクレアたちをおろすと、元の小さなドラゴンに戻った。メロディは彼を抱き上げてありがとうと言った。クレアはメロディに聞いた。
「メロディ、ここに何があるの?」
「もうすぐだよ。クレアちゃん」
メロディは確信があるようにスタスタと歩いて行く。仕方なくクレアもメロディの後に続いた。
しばらく行くと開けた平地に出た。そこでクレアはあっと叫んでしまった。そこには巨大なドラゴンが横たわっていたのだ。とても美しいドラゴンだった。
メロディは怖がるそぶりもなく、ドラゴンの側に近寄って言った。
「こんにちわ、ドラゴンさん。何か困った事があったの?よければあたしたちに話してもらえませんか?」
メロディはまるで困っている人間の女性に話しかけるように、優しい声で言った。巨大なドラゴンはけだるげに顔を起こすと、ギャァ、ギャァと鳴いた。メロディに抱っこされたウェントゥスはうんうんとうなずくと、メロディを見上げてピィ、ピィと鳴いた。
どうやらウェントゥスはメロディに通訳しているようだ。ウェントゥスの話しを聞いたメロディの顔色が変わった。メロディはクレアに叫んだ。
「大変、クレアちゃん。ドラゴンさんの養い子がいなくなっちゃったんだって!」
ドラゴンの養い子とは、フランマにとってのウェントゥスだ。つまり、このドラゴンは子ドラゴンの守護者なのだ。
「わかった。ウェン、話しかけてみて?」
クレアにはドラゴンのウェントゥスの言っている事はよくわからないが、何故かメロディには理解できるらしい。ウェントゥスは分かった、とでもいうように小さくピィと言った。
「ピィーーー!!」
直後、耳をつんざくようなウェントゥスの大きな鳴き声が空に響きわたった。クレアはあまりの大音量に、慌てて耳をふさいだ。メロディは変わらずジッと辺りを見回している。すると、森の一箇所から、大きな水柱が上がった。まるで間欠泉のようだ。メロディは叫んで言った。
「答えた!ウェン、お願い!」
「ピィー!」
ウェントゥスは身体を旋回させると、一目さんに水柱の上がった場所に飛んだ。クレアは訳がわからずひたすらメロディの腰にしがみついていた。
クレアたちは草深い森に降り立った。ウェントゥスはクレアたちをおろすと、元の小さなドラゴンに戻った。メロディは彼を抱き上げてありがとうと言った。クレアはメロディに聞いた。
「メロディ、ここに何があるの?」
「もうすぐだよ。クレアちゃん」
メロディは確信があるようにスタスタと歩いて行く。仕方なくクレアもメロディの後に続いた。
しばらく行くと開けた平地に出た。そこでクレアはあっと叫んでしまった。そこには巨大なドラゴンが横たわっていたのだ。とても美しいドラゴンだった。
メロディは怖がるそぶりもなく、ドラゴンの側に近寄って言った。
「こんにちわ、ドラゴンさん。何か困った事があったの?よければあたしたちに話してもらえませんか?」
メロディはまるで困っている人間の女性に話しかけるように、優しい声で言った。巨大なドラゴンはけだるげに顔を起こすと、ギャァ、ギャァと鳴いた。メロディに抱っこされたウェントゥスはうんうんとうなずくと、メロディを見上げてピィ、ピィと鳴いた。
どうやらウェントゥスはメロディに通訳しているようだ。ウェントゥスの話しを聞いたメロディの顔色が変わった。メロディはクレアに叫んだ。
「大変、クレアちゃん。ドラゴンさんの養い子がいなくなっちゃったんだって!」
ドラゴンの養い子とは、フランマにとってのウェントゥスだ。つまり、このドラゴンは子ドラゴンの守護者なのだ。
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