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ドラゴンに乗った少女たち

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 ダイアンはブルブル震えながら目の前のドラゴンに剣を向けた。ドラゴン相手に剣で勝てるわけがない。だが逃げるわけにはいかない。友達のカーターを置いていくわけにはいかないのだ。

「大丈夫ですか?」

 ドラゴンが口をきいた。鈴が鳴るような女の声だった。ダイアンがほうけていると、ドラゴンから人が降りてきた。少女だ。茶色の髪の可愛らしい少女だった。先ほどの声はこの少女のものだったのだ。

 ダイアンが口がきけないでいると、ドラゴンからもう一人少女が降りて来た。ダイアンは息を飲んだ。ブロンドの髪の、とても美しい少女だったからだ。茶色の髪の少女が再び口を開いた。

「ウェンが血の匂いがしたと言ったんです。貴方はケガをしているんじゃないのですか?」

 ダイアンは様子を見ていたが、このドラゴンと少女たちはどうやら魔法使いの手下ではなさそうだ。ダイアンは口を開いた。

「俺の友人がケガをしてしまったんだ。頼む、助けてくれ!」

 茶色の髪の少女とブロンドの髪の少女は厳しい顔でうなずきあった。少女たちがカーターの元に近づいた。驚いた事に、先ほどまで牛くらいの大きさだったドラゴンが、猫ほどに小さくなったのだ。

 茶色の髪の少女は小さなドラゴンに言った。

「ウェン、この人ひどいケガをしているわ。治してあげて?」
「ピィー」

 小さなドラゴンはカーターの腹に、自身の鼻をちょこんと押し付けた。するとカーターの身体が輝き出した。カーターの腹にあった大きな傷がみるみるふさがっていったのだ。

 魔法だ。このドラゴンは魔法を使ったのだ。カーターの浅かった呼吸が穏やかになった。ダイアンは震える声で少女たちに言った。

「あ、ありがとう」

 少女たちとドラゴンはニコリと笑った。

 ブロンドの髪の少女がダイアンに質問した。何故カーターがこのような大ケガをしたのかと。ダイアンはそこで自分たちが敵に追われている事に思いいたった。そして他にも三人の仲間が森をさまよっている事を。

 ダイアンはたどたどしく説明をした。ブロンドの少女は考えるそぶりをしてから答えた。

「敵がこのあたりで貴方がたを探しているというのならば、この場にい続ける事はよくありません。もうすぐ日が暮れます。貴方たちの仲間はベテランの冒険者でしたら、きっと夜は安全な所で明かすでしょう」

 ダイアンは他の仲間たちと早く落ち合いたかったが、助けてくれたブロンドの少女がこういうのならば反論はできなかった。

 茶色の髪の少女が小さなドラゴンにお願いをした。ここにいる全員を運んでと。するとドラゴンはゾウほどの大きさになった。前には茶色の髪の少女、その後ろにはぐったりして、意識のないカーター。カーターを支えるためにダイアンがその後ろに乗り、最後にブロンドの髪の少女が乗った。

 ドラゴンはぐんぐんと高度をあげた。ダイアンの眼下に広大な森が広がっている。ブロンドの髪の少女がダイアンに、どの辺りで仲間とはぐれたのかと聞いた。

 ダイアンは上空からでの説明は難しかったが、できるかぎり仲間とはぐれた位置、敵にに追われた経路を話した。ブロンドの髪の少女は一つうなずいてからドラゴンに声をかけた。この場から離れて、と。

 

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