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解決
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レオンのとなりに座っているルーカスが、ぼやくように言った。
「あーあ、ずりぃよなぁ。レオンばっかりモテて」
「ルーカスは下心ありすぎだから女の子に嫌われるんだよ」
ルーカスの肩に乗っているシルフィが諭すように言う。ルーカスは肩に乗っている相棒をにらんで答えた。
「その気もない女の子におべっか使う方が、俺は失礼だと思うなぁ」
「む。ルーカスのクセに意味深な事言うじゃない」
レオンにはよく意味がわからないが、ルーカスとシルフィの会話がポンポン続く。レオンは気になった事をルーカスに質問した。
「ルーカスはかっこいいじゃないか。ルーカスはきっと女の子にモテると思うよ?」
ルーカスは驚いた顔をして、レオンをマジマジと見ながらつぶやくように言った。シルフィも相づちをうつ。
「ああ、これかぁ」
「うん、これだね。レオンは天然タラシなんだよ」
てんねんたらしとは何だろう。レオンが聞いた事のない言葉に首をかしげていると、ルーカスがニヤリと笑って、レオンの首に腕を回してコソリと言った。
「なぁ、レオン。お前、ガブリエラさんとラウラ、どっちが好きなんだよ?」
「そんなの、どっちも好きに決まってるじゃないか!」
「ええっ!二股はひどいんじゃないか?」
「好きに優劣をつける方がひどいよ。僕はルーカスもラウラもガブも皆大好きだよ!」
「おいおい、俺まで入るのか?守備範囲広すぎだろう?」
「君たちは皆、大切な友達だ!」
「・・・。友達?うーん、そうか」
レオンの言葉に、ルーカスは疲れたようにうなずいた。デザートのアップルパイを食べていたアルスが、口のまわりにパイ生地をたくさんつけながら話し出した。
「レオンはあんぽんたんじゃからの。ラウラとガブがいがみあっても何にもならん」
「ちょっと、アル。突然悪口?」
「レオンが気づかないのが悪いんじゃ」
「えっ?ラウラとガブのケンカは僕のせいなの?」
「うむ、レオンの経験不足からくるものじゃ」
「そうか、僕はもっと冒険者の経験値をつまないといけないんだね?わかったよ!」
「わかってないのぉ。時にレオン、鬼のような形相の娘たちのいさかいを止めてやろうか?」
「本当?!アル、お願い!」
「うむ。ではレオン、お前ががんばるのじゃぞ?」
「?。うん、僕にできる事なら」
「男に二言はないな?」
アルスの言葉に、レオンは大きくうなずいた。アルスはうなずいてから、レオンの肩をポンと叩いた。するとレオンの身体が輝きだした。アルスが何らかの魔法を使ったようだ。
となりにいたルーカスが口をあんぐりと開けて言った。
「レオン、なのか?」
「僕、どうなったの?」
「・・・。説明するとだな。ロングのかつらかぶってドレス着てる」
レオンは驚いて自分のシンプルな服を見下ろした。すると先ほどまで着ていたはずのシャツとズボンではなく、フリルがふんだんについたピンクのドレスを着ていた。おそるおそる髪を触ると、艶やかな長い髪になっていた。
レオンは恐怖のあまり、ギャアッと叫んだ。それまで罵り合っていたラウラとガブリエラに、彼女たちを止めようと割って入ったフレアが一斉にレオンを振り向いた。
「キャアッ!レオン可愛い!」
「本当だ!レオンはメイドドレスも似合っていたが、豪華なドレスも似合うな!」
「レオン、とっても可愛いわ」
驚いた事に、あれだけいがみあっていたラウラとガブリエラが笑顔になったのだ。レオンは頬を引きつらせながら、笑った。
となりのルーカスがレオンをしげしげと眺めて言った。
「わぁ、レオンはドレスを着ると可愛いんだな」
「ルーカスは可愛ければわりとどうでもいいよね?」
「そうだね。見た目が可愛い女の子なら、それ以外はわりとどうでもいいね」
ルーカスはシルフィの言葉にうんうんとうなずいている。
ラウラとガブリエラは、レオンの長い髪の毛を触って、編み込みをしたらいい、髪留めをつけた方がいいと仲良く相談している。レオンは引きつった笑顔のまま微動だにしなかった。
レオンは時には道化にてっしなければいけない事があるのだと学んだ。
「あーあ、ずりぃよなぁ。レオンばっかりモテて」
「ルーカスは下心ありすぎだから女の子に嫌われるんだよ」
ルーカスの肩に乗っているシルフィが諭すように言う。ルーカスは肩に乗っている相棒をにらんで答えた。
「その気もない女の子におべっか使う方が、俺は失礼だと思うなぁ」
「む。ルーカスのクセに意味深な事言うじゃない」
レオンにはよく意味がわからないが、ルーカスとシルフィの会話がポンポン続く。レオンは気になった事をルーカスに質問した。
「ルーカスはかっこいいじゃないか。ルーカスはきっと女の子にモテると思うよ?」
ルーカスは驚いた顔をして、レオンをマジマジと見ながらつぶやくように言った。シルフィも相づちをうつ。
「ああ、これかぁ」
「うん、これだね。レオンは天然タラシなんだよ」
てんねんたらしとは何だろう。レオンが聞いた事のない言葉に首をかしげていると、ルーカスがニヤリと笑って、レオンの首に腕を回してコソリと言った。
「なぁ、レオン。お前、ガブリエラさんとラウラ、どっちが好きなんだよ?」
「そんなの、どっちも好きに決まってるじゃないか!」
「ええっ!二股はひどいんじゃないか?」
「好きに優劣をつける方がひどいよ。僕はルーカスもラウラもガブも皆大好きだよ!」
「おいおい、俺まで入るのか?守備範囲広すぎだろう?」
「君たちは皆、大切な友達だ!」
「・・・。友達?うーん、そうか」
レオンの言葉に、ルーカスは疲れたようにうなずいた。デザートのアップルパイを食べていたアルスが、口のまわりにパイ生地をたくさんつけながら話し出した。
「レオンはあんぽんたんじゃからの。ラウラとガブがいがみあっても何にもならん」
「ちょっと、アル。突然悪口?」
「レオンが気づかないのが悪いんじゃ」
「えっ?ラウラとガブのケンカは僕のせいなの?」
「うむ、レオンの経験不足からくるものじゃ」
「そうか、僕はもっと冒険者の経験値をつまないといけないんだね?わかったよ!」
「わかってないのぉ。時にレオン、鬼のような形相の娘たちのいさかいを止めてやろうか?」
「本当?!アル、お願い!」
「うむ。ではレオン、お前ががんばるのじゃぞ?」
「?。うん、僕にできる事なら」
「男に二言はないな?」
アルスの言葉に、レオンは大きくうなずいた。アルスはうなずいてから、レオンの肩をポンと叩いた。するとレオンの身体が輝きだした。アルスが何らかの魔法を使ったようだ。
となりにいたルーカスが口をあんぐりと開けて言った。
「レオン、なのか?」
「僕、どうなったの?」
「・・・。説明するとだな。ロングのかつらかぶってドレス着てる」
レオンは驚いて自分のシンプルな服を見下ろした。すると先ほどまで着ていたはずのシャツとズボンではなく、フリルがふんだんについたピンクのドレスを着ていた。おそるおそる髪を触ると、艶やかな長い髪になっていた。
レオンは恐怖のあまり、ギャアッと叫んだ。それまで罵り合っていたラウラとガブリエラに、彼女たちを止めようと割って入ったフレアが一斉にレオンを振り向いた。
「キャアッ!レオン可愛い!」
「本当だ!レオンはメイドドレスも似合っていたが、豪華なドレスも似合うな!」
「レオン、とっても可愛いわ」
驚いた事に、あれだけいがみあっていたラウラとガブリエラが笑顔になったのだ。レオンは頬を引きつらせながら、笑った。
となりのルーカスがレオンをしげしげと眺めて言った。
「わぁ、レオンはドレスを着ると可愛いんだな」
「ルーカスは可愛ければわりとどうでもいいよね?」
「そうだね。見た目が可愛い女の子なら、それ以外はわりとどうでもいいね」
ルーカスはシルフィの言葉にうんうんとうなずいている。
ラウラとガブリエラは、レオンの長い髪の毛を触って、編み込みをしたらいい、髪留めをつけた方がいいと仲良く相談している。レオンは引きつった笑顔のまま微動だにしなかった。
レオンは時には道化にてっしなければいけない事があるのだと学んだ。
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