83 / 108
依頼完了
しおりを挟む
レオンの状態が落ち着いてきたのを見たアルスが、レオンを抱き上げなら言った。
「さて、この愚か者の魔法使いに罰をあたえねばな」
レオンは途端に不安になってアルスを見上げた。アルスがマフサを殺そうとしているのかと思ったからだ。不安そうなレオンの顔を、アルスは微笑んで見つめながら言った。
「殺しはしない。じゃがな、魔力を己れのためだけに使い、しかも魔法で人を殺して喜ぶなど、もっての他だ。こやつから魔力を取り上げる」
「アルスは人間の魔力を吸い取る事ができるの?」
「いいや。正確には、魔力を二度と使えないようにするのじゃ」
アルスはレオンを抱き上げたまま、倒れたまま動かないマフサの側によると、手をかざした。するとマフサの両腕に腕輪が出現した。アルスが説明する。
「この腕輪が、こやつの魔力を封じるのじゃ。腕輪はこやつが生きているかぎり、二度と外れん」
レオンは安心した。もうマフサは、魔法で人を傷つける事ができなくなったのだ。
レオンたちに声をかける者たちがいた。ポールとジャンだ。ポールは、ジャンに肩を貸して歩いてくる。どうやらジャンのケガは完治したようだ。
マフサは騎士団に捕らえられ、これから厳しい尋問を受けるだろう。これまでたくさんの人の命を奪ったのだから。ガブリエラが手を下さずとも、マフサは一生牢獄から出られないだろう。
レオンたちの仕事は完了し、伯爵家を後にする事になった。仲良くしてくれたチコは寂しそうに言った。
「ガブリエラ、レオン、アルス。あなたたちがいなくなってしまうのが寂しいわ」
「僕も寂しいよ、チコ。元気でね?」
となりでアルスを抱っこしていたアンナは、レオンを見てしみじみ言った。
「レオン、あなたやっぱり男の子だったのね?」
「うん。ガブと一緒に行動するためにメイドの格好していたんだ。でも僕がスカートはいてても、女には見えなかったでしょ?」
「私は疑わしいとは思っていたけど、女の子と信じて疑わなかった人もいるわ?」
アンナは視線だけ、チラリと横に向けた。そこには意気消沈したオットーがいた。レオンはアンナにコソリと聞いた。
「オットーさん、元気ないけどどうしたんでしょうかね?」
「失恋したのよ。放っといてあげなさい」
オットーは誰かに恋をしていたようだ。もしかしたらガブリエラに恋をしていたのかもしれない。ガブリエラはメイドではなく冒険者だ。もう会う事は難しいだろう。
ガブリエラは、つきまとうボイをぶん殴ってから言った。
「皆、世話になった。元気でな」
伯爵令嬢のマーガレットは、目に涙を浮かべながら、ガブリエラの手を取って言った。
「ガブリエラ。貴女がいなくなってしまうのは悲しいわ。わたくしつきのメイドになって?」
マーガレットはガブリエラの事が大好きになってしまったのだ。ガブリエラは妹を見るような優しい目をしながら答えた。
「マーガレットさま。短い間でしたが、お仕えできて幸せでした。どうかお元気で」
ガブリエラは人差し指で、マーガレットの涙をぬぐってやった。チコとアンナが何故かキャアキャア叫んでいる。
レオンがとなりに視線を向けると、ポールとジャンが伯爵に別れを告げていた。なんとレオンたちの見送りに、伯爵までも来てくれたのだ。伯爵は、自身を守ってくれたポールとジャンにとても感謝していた。ポールとジャンは恐縮しきっていた。
レオンは、わずかな間だったが、共に生活した仲間との別れを寂しいと思った。だがレオンは冒険者だ。これからたくさんの出会いと別れを経験するだろう。レオンは、アルスを抱きしめて別れを惜しんでいるアンナから、アルスを受け取り、抱き上げた。
「さて、この愚か者の魔法使いに罰をあたえねばな」
レオンは途端に不安になってアルスを見上げた。アルスがマフサを殺そうとしているのかと思ったからだ。不安そうなレオンの顔を、アルスは微笑んで見つめながら言った。
「殺しはしない。じゃがな、魔力を己れのためだけに使い、しかも魔法で人を殺して喜ぶなど、もっての他だ。こやつから魔力を取り上げる」
「アルスは人間の魔力を吸い取る事ができるの?」
「いいや。正確には、魔力を二度と使えないようにするのじゃ」
アルスはレオンを抱き上げたまま、倒れたまま動かないマフサの側によると、手をかざした。するとマフサの両腕に腕輪が出現した。アルスが説明する。
「この腕輪が、こやつの魔力を封じるのじゃ。腕輪はこやつが生きているかぎり、二度と外れん」
レオンは安心した。もうマフサは、魔法で人を傷つける事ができなくなったのだ。
レオンたちに声をかける者たちがいた。ポールとジャンだ。ポールは、ジャンに肩を貸して歩いてくる。どうやらジャンのケガは完治したようだ。
マフサは騎士団に捕らえられ、これから厳しい尋問を受けるだろう。これまでたくさんの人の命を奪ったのだから。ガブリエラが手を下さずとも、マフサは一生牢獄から出られないだろう。
レオンたちの仕事は完了し、伯爵家を後にする事になった。仲良くしてくれたチコは寂しそうに言った。
「ガブリエラ、レオン、アルス。あなたたちがいなくなってしまうのが寂しいわ」
「僕も寂しいよ、チコ。元気でね?」
となりでアルスを抱っこしていたアンナは、レオンを見てしみじみ言った。
「レオン、あなたやっぱり男の子だったのね?」
「うん。ガブと一緒に行動するためにメイドの格好していたんだ。でも僕がスカートはいてても、女には見えなかったでしょ?」
「私は疑わしいとは思っていたけど、女の子と信じて疑わなかった人もいるわ?」
アンナは視線だけ、チラリと横に向けた。そこには意気消沈したオットーがいた。レオンはアンナにコソリと聞いた。
「オットーさん、元気ないけどどうしたんでしょうかね?」
「失恋したのよ。放っといてあげなさい」
オットーは誰かに恋をしていたようだ。もしかしたらガブリエラに恋をしていたのかもしれない。ガブリエラはメイドではなく冒険者だ。もう会う事は難しいだろう。
ガブリエラは、つきまとうボイをぶん殴ってから言った。
「皆、世話になった。元気でな」
伯爵令嬢のマーガレットは、目に涙を浮かべながら、ガブリエラの手を取って言った。
「ガブリエラ。貴女がいなくなってしまうのは悲しいわ。わたくしつきのメイドになって?」
マーガレットはガブリエラの事が大好きになってしまったのだ。ガブリエラは妹を見るような優しい目をしながら答えた。
「マーガレットさま。短い間でしたが、お仕えできて幸せでした。どうかお元気で」
ガブリエラは人差し指で、マーガレットの涙をぬぐってやった。チコとアンナが何故かキャアキャア叫んでいる。
レオンがとなりに視線を向けると、ポールとジャンが伯爵に別れを告げていた。なんとレオンたちの見送りに、伯爵までも来てくれたのだ。伯爵は、自身を守ってくれたポールとジャンにとても感謝していた。ポールとジャンは恐縮しきっていた。
レオンは、わずかな間だったが、共に生活した仲間との別れを寂しいと思った。だがレオンは冒険者だ。これからたくさんの出会いと別れを経験するだろう。レオンは、アルスを抱きしめて別れを惜しんでいるアンナから、アルスを受け取り、抱き上げた。
1
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる