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「レオン」
レオンがアルスを抱いたまま震えていると、穏やかなアルスの声が聞こえた。レオンがゆっくりと目を開けると、アルスがレオンを見上げて言った。
「レオン。オレ様をゆっくり下ろして、全速力で走れ」
アルスは自分を置いて逃げろといっているのだ。レオンは怒りがわいて、語気を荒げて答えた。
「何それ!僕にアルを置いていけっていうの?!僕は絶対にアルから離れないよ!」
アルスはレオンの返答を想定していたとみえ、大人びた苦笑を浮かべてから答えた。
「仕方ないのぉ。ならばオレ様をしっかり支えていろ」
アルスはそう言うと、胸元からオモチャのような拳銃を取り出した。アルスが拳銃の標準をパンツァーに合わせる。パンツァーが全身の刃を発射させようとした瞬間、アルスな拳銃の引き金を引いた。
ドンッ。と激しい衝撃がレオンを襲った。レオンはアルスを抱いたまま、後方に吹っ飛んだ。したたかに背中を打ちつけて、痛みにうめきながら起き上がると、カッタの悲痛な叫び声が響き渡った。
「パンツァー!パンツァー!」
一体どうしたというのだろう。レオンは離さなかったアルスを抱えて起き上がった。目の前には、いも虫のようにツタでぐるぐる巻きになったカッタが必死にはいずっていた。カッタのいく先には、仰向けに倒れたパンツァーがいた。
レオンはその光景を、驚きの表情で見つめていた。自分とアルスは助かったのだ。レオンが説明を求めてアルスを見るが、アルスは顔を下に向けたままだった。レオンはアルスにこれはどういう事かと聞いた。アルスは小さな声で答えた。
「オレ様が子供に戻って、レオンを守る事ができなかった時のために、武器を作っておいたのだ」
アルスは小さな手に握られた、小さな拳銃をレオンに見せた。アルスは神の力で様々な武器を作り出す事ができる。ガブリエルには剣を、レオンには植物魔法に役立つようにと金属の筒を作ってくれた。
アルスは、レオンと自分を守る護身用の武器として、拳銃を作っていたのだ。アルスは小さな声で言葉を続けた。
「本来ならばここまでしたくはなかった。じゃがレオンの命がかかっているのならば話しは別じゃ」
アルスはレオンに、パンツァーの側に連れて行ってくれと言った。レオンはその通りにした。
レオンがアルスを抱いて、パンツァーの横に行くと、カッタがパンツァーの側で泣いていた。パンツァーの腹には大きな穴が空いていて、今にも息を引き取りそうだった。レオンは震えながらアルスに言った。
「アル。パンツァーは死んでしまうの?」
「いいや、精霊は死なん。最初に戻るのじゃ」
「最初?」
アルスはレオンの疑問には答えず、パンツァーに語りかけた。
「パンツァーよ、貴様はこれから天界に戻る。最後に契約者に声をかけてやれ」
レオンはアルスに言われ、カッタのツタの拘束を解除した。カッタは泣きながらパンツァーの名を呼んでいた。パンツァーはカッタに、震える声で言った。
「カッタ、すまない」
それきりパンツァーは動かなくなった。するとパンツァーの身体が激しく輝き出した。レオンはまぶしくて目をギュッと閉じた。しばらくして目を開くと、そこには生まれたばかりの赤子がいた。
レオンがアルスを抱いたまま震えていると、穏やかなアルスの声が聞こえた。レオンがゆっくりと目を開けると、アルスがレオンを見上げて言った。
「レオン。オレ様をゆっくり下ろして、全速力で走れ」
アルスは自分を置いて逃げろといっているのだ。レオンは怒りがわいて、語気を荒げて答えた。
「何それ!僕にアルを置いていけっていうの?!僕は絶対にアルから離れないよ!」
アルスはレオンの返答を想定していたとみえ、大人びた苦笑を浮かべてから答えた。
「仕方ないのぉ。ならばオレ様をしっかり支えていろ」
アルスはそう言うと、胸元からオモチャのような拳銃を取り出した。アルスが拳銃の標準をパンツァーに合わせる。パンツァーが全身の刃を発射させようとした瞬間、アルスな拳銃の引き金を引いた。
ドンッ。と激しい衝撃がレオンを襲った。レオンはアルスを抱いたまま、後方に吹っ飛んだ。したたかに背中を打ちつけて、痛みにうめきながら起き上がると、カッタの悲痛な叫び声が響き渡った。
「パンツァー!パンツァー!」
一体どうしたというのだろう。レオンは離さなかったアルスを抱えて起き上がった。目の前には、いも虫のようにツタでぐるぐる巻きになったカッタが必死にはいずっていた。カッタのいく先には、仰向けに倒れたパンツァーがいた。
レオンはその光景を、驚きの表情で見つめていた。自分とアルスは助かったのだ。レオンが説明を求めてアルスを見るが、アルスは顔を下に向けたままだった。レオンはアルスにこれはどういう事かと聞いた。アルスは小さな声で答えた。
「オレ様が子供に戻って、レオンを守る事ができなかった時のために、武器を作っておいたのだ」
アルスは小さな手に握られた、小さな拳銃をレオンに見せた。アルスは神の力で様々な武器を作り出す事ができる。ガブリエルには剣を、レオンには植物魔法に役立つようにと金属の筒を作ってくれた。
アルスは、レオンと自分を守る護身用の武器として、拳銃を作っていたのだ。アルスは小さな声で言葉を続けた。
「本来ならばここまでしたくはなかった。じゃがレオンの命がかかっているのならば話しは別じゃ」
アルスはレオンに、パンツァーの側に連れて行ってくれと言った。レオンはその通りにした。
レオンがアルスを抱いて、パンツァーの横に行くと、カッタがパンツァーの側で泣いていた。パンツァーの腹には大きな穴が空いていて、今にも息を引き取りそうだった。レオンは震えながらアルスに言った。
「アル。パンツァーは死んでしまうの?」
「いいや、精霊は死なん。最初に戻るのじゃ」
「最初?」
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「パンツァーよ、貴様はこれから天界に戻る。最後に契約者に声をかけてやれ」
レオンはアルスに言われ、カッタのツタの拘束を解除した。カッタは泣きながらパンツァーの名を呼んでいた。パンツァーはカッタに、震える声で言った。
「カッタ、すまない」
それきりパンツァーは動かなくなった。するとパンツァーの身体が激しく輝き出した。レオンはまぶしくて目をギュッと閉じた。しばらくして目を開くと、そこには生まれたばかりの赤子がいた。
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