44 / 108
アルス対パンツァー
しおりを挟む
レオンは植物魔法で、アルスにいちごを作って食べさせた。アルスの身体が輝き、凛々しい神の姿に変わる。
レオンの魔力が向上した事により、アルスが神の姿でいられる時間も伸びただろう。これは予測だ。アルスが最近神の姿に戻ったのは、ガブリエルにせんべつの剣を作った時だった。
剣を作った後、アルスはすぐに子供の姿に戻ってしまったのだ。レオンは不安な面持ちでアルスに言った。
「アルス、お願い。早めに勝負をつけてね?」
「ああ、もちろんじゃ。パンツァーなど、この手でひとひねりじゃ。巻き添えをくったらいかんから、レオンはさがっておれ」
アルスはレオンに微笑みかけると、腰の剣を抜き、構えた。パンツァーは喜びを隠せないようで、嬉しそうにゲラゲラ笑うと、自らの鎧から沢山の刃物が飛び出した。きっとパンツァーの魔法なのだろう。
パンツァーはアルスと素早く距離をちぢめると、自らの身体を武器としてアルスに襲いかかった。アルスは自身に襲いかかる刃を、目にも止まらない速さで、斬り返していた。
レオンがハラハラしながら、アルスとパンツァーの戦いを見ていると、カッタが声をかけた。
「見てなくても結果は歴然だ。お前の契約した神もどきは時間切れでパンツァーに八つ裂きにされるだろう。レオン、お前は俺が倒してやる」
カッタはそう言って。全身を硬化させて、レオンに殴りかかった。レオンはカッタのこぶしを避けると、離れた距離から植物ツタ魔法を作り出し、自身の身体に巻きつけて、カッタから距離をとった。カッタはいまいましそうに叫んだ。
「お前の魔法は逃げるだけか!卑怯な奴め!」
「僕には僕の戦い方があるんだよ。さぁ
、カッタ。僕を倒してみろよ」
レオンは生まれて初めてカッタを挑発した。カッタの顔が赤黒くなる。いつも下に見ていたレオンにバカにされて、怒ったのだろう。
レオンは不思議な気持ちになっていた。これまでレオンは、カッタの事が怖くて仕方なかった。それは小さい頃から、暴力と暴言を浴びせられていた事による条件反射のようなものだった。
だがレオンは、冒険者の研修を受けた事により、魔力も戦闘経験も向上したのだ。
レオンはあらゆる場所からツタを伸ばし、身体に巻きつけ、移動を繰り返した。カッタは自身の身体に硬化の魔法をほどこしながら、レオンの作ったツタをこぶしで破壊していった。
カッタがツタをこぶしで殴るたび、ツタは消滅していった。カッタはゼイゼイと息をしながら叫んだ。
「レオン!お前は人間のクズだ!俺を倒すんだろ!俺は傷一つおっていないぜ!」
レオンはそろそろ頃合いと思い、カッタに攻撃をしかけた。カッタの足元から、複数のツタが出現し、カッタの身体中に巻きついた。カッタは自身の身体に硬化をまとい、こぶしとけりで、身体に巻きつくツタを粉砕していった。
だがレオンの作り出すツタは、後から後から伸びて、カッタの身体に巻きついていく。カッタは硬化の魔法を使っているので、いくらレオンがツタで締めつけてもびくともしない。
レオンは焦らずジッと機会をうかがっていた。
レオンの魔力が向上した事により、アルスが神の姿でいられる時間も伸びただろう。これは予測だ。アルスが最近神の姿に戻ったのは、ガブリエルにせんべつの剣を作った時だった。
剣を作った後、アルスはすぐに子供の姿に戻ってしまったのだ。レオンは不安な面持ちでアルスに言った。
「アルス、お願い。早めに勝負をつけてね?」
「ああ、もちろんじゃ。パンツァーなど、この手でひとひねりじゃ。巻き添えをくったらいかんから、レオンはさがっておれ」
アルスはレオンに微笑みかけると、腰の剣を抜き、構えた。パンツァーは喜びを隠せないようで、嬉しそうにゲラゲラ笑うと、自らの鎧から沢山の刃物が飛び出した。きっとパンツァーの魔法なのだろう。
パンツァーはアルスと素早く距離をちぢめると、自らの身体を武器としてアルスに襲いかかった。アルスは自身に襲いかかる刃を、目にも止まらない速さで、斬り返していた。
レオンがハラハラしながら、アルスとパンツァーの戦いを見ていると、カッタが声をかけた。
「見てなくても結果は歴然だ。お前の契約した神もどきは時間切れでパンツァーに八つ裂きにされるだろう。レオン、お前は俺が倒してやる」
カッタはそう言って。全身を硬化させて、レオンに殴りかかった。レオンはカッタのこぶしを避けると、離れた距離から植物ツタ魔法を作り出し、自身の身体に巻きつけて、カッタから距離をとった。カッタはいまいましそうに叫んだ。
「お前の魔法は逃げるだけか!卑怯な奴め!」
「僕には僕の戦い方があるんだよ。さぁ
、カッタ。僕を倒してみろよ」
レオンは生まれて初めてカッタを挑発した。カッタの顔が赤黒くなる。いつも下に見ていたレオンにバカにされて、怒ったのだろう。
レオンは不思議な気持ちになっていた。これまでレオンは、カッタの事が怖くて仕方なかった。それは小さい頃から、暴力と暴言を浴びせられていた事による条件反射のようなものだった。
だがレオンは、冒険者の研修を受けた事により、魔力も戦闘経験も向上したのだ。
レオンはあらゆる場所からツタを伸ばし、身体に巻きつけ、移動を繰り返した。カッタは自身の身体に硬化の魔法をほどこしながら、レオンの作ったツタをこぶしで破壊していった。
カッタがツタをこぶしで殴るたび、ツタは消滅していった。カッタはゼイゼイと息をしながら叫んだ。
「レオン!お前は人間のクズだ!俺を倒すんだろ!俺は傷一つおっていないぜ!」
レオンはそろそろ頃合いと思い、カッタに攻撃をしかけた。カッタの足元から、複数のツタが出現し、カッタの身体中に巻きついた。カッタは自身の身体に硬化をまとい、こぶしとけりで、身体に巻きつくツタを粉砕していった。
だがレオンの作り出すツタは、後から後から伸びて、カッタの身体に巻きついていく。カッタは硬化の魔法を使っているので、いくらレオンがツタで締めつけてもびくともしない。
レオンは焦らずジッと機会をうかがっていた。
11
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
【毎日20時更新】銀の宿り
ユーレカ書房
ファンタジー
それは、魂が生まれ、また還るとこしえの場所――常世国の神と人間との間に生まれた青年、千尋は、みずからの力を忌むべきものとして恐れていた――力を使おうとすると、恐ろしいことが起こるから。だがそれは、千尋の心に呪いがあるためだった。
その呪いのために、千尋は力ある神である自分自身を忘れてしまっていたのだ。 千尋が神に戻ろうとするとき、呪いは千尋を妨げようと災いを振りまく。呪いの正体も、解き方の手がかりも得られぬまま、日照りの村を救うために千尋は意を決して力を揮うのだが………。
『古事記』に記されたイザナギ・イザナミの国生みの物語を背景に、豊葦原と常世のふたつの世界で新たな神話が紡ぎ出される。生と死とは。幸福とは。すべてのものが生み出される源の力を受け継いだ彦神の、真理と創造の幻想譚。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる