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美しい剣士

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 レオンは同じ研修生の男に剣でふっとばされて、受け身も取れずに頭を打ってしまった。男は笑いながらレオンに言った。

「小僧、まさかこれで終わりか?もっと楽しませろよ!」

 レオンは背中を強打した痛みに耐えながら、ヨロヨロと立ち上がって剣を構えた。レオンはこれから冒険者になって、もっと危険な目にもあうだろう。このくらいの事で負けてはいけないのだ。

 レオンが目の前の男に斬りかかろうとした時、レオンの前に立ちはだかる人物がいた。その人物は男に向かって鋭い声で言った。

「この小僧はすでに一回倒れた。もう、手合わせは終了だ」
「はぁ?!なんだテメェ!正義の味方気取りか?ならテメェをぶっ倒してやる!」
 
 レオンは焦った。レオンを助けに入ってくれた人物は、レオンを倒した男よりも小柄できゃしゃだったからだ。

 レオンは、目の前の人物が男に倒されてしまうのではないかと心配になった。だが目の前の人物は強かった。

 男の一刀を軽く受け流すと、返す刀で男の胴に剣を叩き込んだ。男はうめき声をあげて倒れた。

 レオンを助けてくれた人物は、あっと言う間に男を倒してしまったのだ。レオンはお礼を言わなければと思い、目の前の人物に声をかけた。

「あ、あの。助けてくれてありがとうございました」

 目の前の人物がレオンに振り返った途端、レオンは息を飲んだ。目の前の人物がとても美しかったからだ。ルーカスや、元の姿に戻ったアルスのようなハンサムとも違う。

 しいて言えば、ラウラのようは美少女のような顔立ちなのだ。レオンが美しい剣士に見とれていると、相手は怒った顔で言った。

「お前は剣を一度も持った事がない素人だな?そんな奴がここにいては迷惑だ!」

 美しい剣士はそれだけ言うと、きびずを返してどこかに行ってしまった。レオンはポカンとした顔で相手を見送った。

 レオンの側にアルスがトコトコと近づいてきて言った。

「ほほう、あやつは中々の剣の使い手じゃの」
「うん。そうだね、僕と同じくら小さいのに、大きな男の人を倒してしまうんだものね」

 レオンは美しい剣士に言われた事を心の中ではんすうしていた。弱い人間は冒険者になってはいけない。その通りだと思った。レオンは楽しそうに研修生たちの剣の戦いを見ているアルスに言った。

「アルス。僕、強くなるよ」
「おお。その意気じゃ、レオン。剣ならオレ様が教えてやる」
「うん。ありがとう、アル。だけど僕が剣を上達させるのには時間がかかる。だから僕は自分の魔法を磨きたいんだ」
「レオンの魔法?」
「うん。僕の魔法は植物を育てるだけ。だけど、これを戦闘に生かせないかなと思って」

 アルスは大きな瞳をさらに大きくしながらレオンを見上げていた。レオンは冒険者試験の実技の後、魔法使いにアドバイスをもらったのだ。

 魔法使いはあらゆる魔法が使える。土魔法の一つ、植物魔法は、主に食べ物や物資を作るためにしか使わない。だがレオンのように、植物魔法に特化しているなら、もっと汎用性のある魔法を使う事ができるだろう、と。

 レオンは植物生成魔法を、攻撃にも防御にも転用できないかと考えていた。
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