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冒険者試験

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 やっとの事で冒険者協会にたどり着くと、そこにはたくさんの人々で埋め尽くされていた。皆身体が大きく、屈強そうな人物ばかりだった。きっと彼らも冒険者試験を受験しに来たのだろう。

 レオンたちがキョロキョロしていると、協会の係の者らしき人が、登録者名簿に名前を記載してくれた。レオンの受験番号は三百一番だった。

 レオンたちは当てがわれた試験会場で筆記試験を終え、休けいの後実地試験が行われた。

 実地試験は、現役の冒険者三人との対戦だ。二人の剣士に魔法使いの三人と戦う事になる。

 場所は円形の闘技場で行われた。受験者たちは闘技場の周りに列をなし、かたずを飲んで試合を見守っていた。

 見た目が強そうな屈強な男たちがどんどん負けて失格になっているなか、怖がりのルーカスは顔が真っ青になっている。ついにルーカスとシルフィの番がきた。

 歯をガチガチさせているルーカスを見たシルフィが、バカにしたように笑って言った。

「ルーカスったら、何震えてんの?僕がいるんだから、あんな奴ら一瞬で倒してやるよ」
「ちっ、ちげぇよ!震えてんなんかいねぇっての!これは、これは武者ぶるいってやつだ!」

 シルフィの軽口に、ようやくルーカスの肩の力が抜けたようだ。ルーカスは目の前の現役冒険者にするどい視線を向けながらシルフィに言った。

「シルフィ。魔法使いを警戒しながら、二人の剣士に風攻撃魔法!」
「オッケー!」

 シルフィはルーカスの肩から飛び上がると、三人の現役冒険者に向けて、三つの風のかたまりを放った。風の攻撃魔法は、一人の剣士をふっとばした。だがもう一人の剣士は風のかたまり上手によけ、剣を振り上げて向かって来た。

 魔法使いは防御魔法でシルフィの攻撃を防いだ。ルーカスが鋭く叫ぶ。

「シルフィ!風防御魔法!」

 ルーカスたちに斬りかかった剣士の一太刀は、シルフィの作った見えない風の壁によって防がれた。ルーカスはすかさず剣士に風攻撃魔法を支持する。

 さすがの剣士も、今度は風のかたまりを避ける事ができずにふっとばされて気絶してしまった。

 その直後、魔法使いの放った炎魔法がルーカスたちを襲った。ルーカスはシルフィに防御魔法を指示して、炎魔法を防いだ。

 レオンはルーカスとシルフィのコンビネーションをあっけに取られながら見ていた。彼らは非常に息のあった戦いをしていたのだ。

 ルーカスはシルフィに叫んだ。

「シルフィ!今度も魔法使いは防御魔法を使うつもりだ。それを破れる攻撃魔法使える?!」
「当たり前だよ!僕は平和主義者だからね。対戦相手をケガさせないようにしてるけど、もっと強い攻撃魔法も楽勝さ!」
「わかった!シルフィ!魔法使いの防御壁を破壊!」
「よしきた!」

 小さなシルフィは右手の人差し指を防御魔法を張った魔法使いに向けた。すると、シルフィの指先から、小さな球体が現れた。その球体は、目にも止まらない速さで、魔法使いの防御壁に向かって行った。魔法使いの張った防御壁は、まるでガラスが割れたように粉々になってしまった。ルーカスはすかさずシルフィに魔法使いへの攻撃魔法を支持した。

 自身の防御魔法を破壊された魔法使いは真っ青になって叫んだ。

「き、棄権する!」

 審判が声高らかにルーカスとシルフィの勝利を宣言した。ルーカスとシルフィは冒険者試験に合格したのだ。


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