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グリフの命
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あかりは大きくなった虎のティグリスに乗って戦いの場を後にした。きっとアスランたちがフードの魔物を倒してくれるだろう。あかりは早くグリフとノックスにお礼を言いたかった。そしてグリフたちのおかげで、ドラゴンのフローラが助かった事を知らせたかった。
あかりが上空からグリフたちを探していると、グリフとノックスはすぐに見つかった。だがおかしな事にグリフはあお向けに倒れていて、その横にノックスが座っている。グリフは疲れて眠っているのだろうか。あかりはティグリスに頼んで、彼らの側に下ろしてもらった。あかりは彼らに声をかけた。
「グリフ!ノックス!」
ノックスは振り向いてあかりたちを見ると、口をはくはくさせて悲しそうに言った。
『メリッサ、間に合って良かった。どうかグリフの側にいてやってくれ』
あかりは首をかしげた。ノックスの言った言葉の意味がわからなかったからだ。そこであかりはノックスにどういう意味か聞いた。するとノックスは寂しそうに微笑んで答えた。
『グリフはもうすぐ死ぬ。だからメリッサに最期を看取ってほしい』
ノックスの言葉を、あかりはすぐに理解する事ができなかった。ちょっと前に元気なグリフからフローラの心臓が入った小箱を受け取ったのに。何故グリフが死んでしまうのだろうか。あかりがぼう然と立ちつくしていると、ノックスが再び話し出した。
『グリフのバカは、もう一人のフードの魔物から小箱を奪う時にケガをしたのだ。だが早くメリッサに小箱を渡したかったのだろう、俺にもケガの事を言わなかった』
あかりはカラカラになったのどを何とか動かしてかすれるような声で言った。
「ノックス、ノックス。お願い、グリフのケガを治して」
『すまないメリッサ、グリフはケガの表面だけ自分の治癒魔法で治したんだ。だが腹の中は血だらけで俺には治せない』
あかりは頭に血がカァッと登っていくのがわかった。あかりは恐怖で叫び出しそうになるのをグッとこれえて言った。
「レオ!セレーナ!」
あかりの声に契約霊獣である、ライオンのレオとヒョウのセレーナが現れた。二人ともフローラと戦う必要がなくなったので来てくれたのだ。あかりは辛抱ができなくなりボロボロと涙を流し、おえつまじりにレオたちにお願いした。
「お、お願い、レオ、セレーナ。グリフを、グリフを助けて」
ライオンのレオはうなずいてグリフに近寄った。そしてしばらくグリフを見てから、うめくように言った。
『すまないメリッサ。私の魔法で巻き戻せるギリギリの範囲なのだが、この人間は生きようという気力が失われている。こうなっては私にもどうする事もできない』
「生きようとする気力?どういう意味なのレオ?」
『このグリフという人間は、もう生きる事をやりとげたと思っているようだ。そのような者には私の魔法も効果がないのだ』
あかりはつんのめるようにグリフにしがみつくと、グリフのえり首をつかんで力いっぱいゆすって叫んだ。
「グリフ!起きて!目を開けて!!」
あかりの乱暴な起こし方に、固く目を閉じていたグリフのまぶたがわずかに開いた。グリフはか細い声で言った。
「アーニャ、大きくなったなぁ」
あかりは途端に叫び出したほどの怒りにおそわれた。あかりはグリフの耳元に口を近づけて叫んだ。
「私はアーニャじゃないわ!メリッサよ!」
グリフは、あかりの言葉がわかっているのかいないのか、少し微笑んでからまた目を閉じてしまった。あかりは急に手足が氷のように冷たくなり、ブルブルと震えだした。グリフが死んでしまう。グリフはいいかげんで皮肉屋で、だけど情に厚くて正義の心を持っている。そしてあかりにはとても優しかった。
あかりは前世の記憶を持ってこの世界にやって来て、ずっと違和感を感じていた。現世の世界では家族もティグリスたちもあかりを大切にしてくれている。だがそれはメリッサとしてだ。この世界のメリッサという少女の中に、前世の飯野あかりという女性も同時に存在しているのだ。メリッサが愛されるたびに、あかりはいいようのない孤独を感じでいた。だが唯一グリフだけはあかりという存在を認識し、愛してくれた。それがどんなに嬉しかった事か。
あかりとグリフの周りにアスランやグラキエースたちが集まって来た。きっとフードの魔物を倒したのだろう。何故かアスランのとなりにはヴイヴィアンが立っていた。だがあかりはアスランたちにねぎらいの言葉を発する事は出来なかった。ただただグリフが死んでしまう恐怖になきじゃくっていた。
ティグリスが白馬アポロンに事の状況を説明していた。アポロンからアスランに伝わりアスランは泣きだした。それをヴイヴィアンが慰めている。あかりは周りの悲しみの声がよく聞こえなかった。まるで水の中にいるように周りの音が不明りょうだった。
あかりは泣きはらしながら、何故グリフはこんなにもあかりの事を大切にしてくれたのだろうと考えた。グリフはあかりと娘のアーニャは似ていないと言っていたが、きっとどこかに似ている部分もあったのだろう。グリフは娘のアーニャに会いたくて会いたくて仕方なかったのだ。このままグリフを看取るのも、グリフのためではないのか。あかりは泣きすぎてガンガン痛む頭の痛みを感じながら思った。だが同時に湧き上がるような反対の考えも浮かんできた。
グリフは、フードの魔物に心臓を奪われたドラゴンのフローラを助けるためにケガを負って死のうとしているのだ。これがグリフの寿命ならば仕方がない。だが霊獣のレオは、グリフの生きる気力があれば魔法で救う事が可能だと言っていた。その考えに思いいたると、あかりはもうれつに腹が立ってきた。
あかりはグリフのえり首をひっつかんで持ち上げると、反対の手でグリフの頬に強烈な平手打ちをした。返す手の甲でグリフの反対の頬を打った。あかりは泣きながらグリフの頬をひたすらビンタした。そして大声で叫んだ。
「起きなさいグリフ!生きる事から逃げるな!どんなに苦しくても辛くても悲しくても、命続く限りは生きなさいよ!そして天寿をまっとうしたら、その時こそ胸をはってアーニャに会いに行きなさいよ!」
あかりはそれだけ言うと、ハァハァと激しく呼吸をして、ゴクリとツバを飲み込んでから続けて叫んだ。
「だけど、だけど、もしグリフが寂しくて仕方がないのなら、私がグリフの娘になってあげるから!」
あかりの言葉に、それまで目をつむっていたグリフがパチリと目を開けて言った。
「本当か?メリッサ」
それを見ていたレオが叫ぶように言った。
『グリフの生きる気力が戻った!』
『現金なやつじゃのぉ』
ドラゴンのグラキエースが呆れた声で言う。あかりは状況が飲み込めず目をしばたかせていると、レオとグリフが輝きだした。レオが時間を巻き戻す魔法を使ったのだ。レオが魔法を発動させながら、あかりにグリフの側から離れるように言った。
しばらくすると、グリフの腹から巨大な槍のような物が突き出してきた。これがグリフを死に追いやろうとした魔法なのだろう。すかさずセレーナが魔法を無効化する魔法を発動させた。グリフの腹に突き刺さった槍は水泡に包まれ跡形もなく消えた。レオはフゥッと息を吐いてからあかりに言った。
『メリッサ、もう大丈夫だ。グリフのケガは完治させた』
あかりはあまりの急な状況の変化についていけず、目をパチパチしていた。すると今まで青白い顔で倒れていたグリフが起き上がり、笑顔であかりに言った。
「メリッサ。さっきの言葉、嘘じゃねぇよな?メリッサは俺の娘だ」
あかりは号泣しながらグリフに抱きつくと、グリフの胸をコブシでドンドン叩いた。あかりはグリフが死んでしまいそうだった恐怖と、グリフが助かった安心感で訳が分からなくなり、うわ言のようにグリフに言った。
「グリフのバカァ、グリフのバカァ!」
「あれぇ、メリッサァ。そこはパパ大好き!じゃないの?」
グリフはいつものように軽口を叩くが、その手は優しくあかりを抱きしめてくれていた。
あかりが上空からグリフたちを探していると、グリフとノックスはすぐに見つかった。だがおかしな事にグリフはあお向けに倒れていて、その横にノックスが座っている。グリフは疲れて眠っているのだろうか。あかりはティグリスに頼んで、彼らの側に下ろしてもらった。あかりは彼らに声をかけた。
「グリフ!ノックス!」
ノックスは振り向いてあかりたちを見ると、口をはくはくさせて悲しそうに言った。
『メリッサ、間に合って良かった。どうかグリフの側にいてやってくれ』
あかりは首をかしげた。ノックスの言った言葉の意味がわからなかったからだ。そこであかりはノックスにどういう意味か聞いた。するとノックスは寂しそうに微笑んで答えた。
『グリフはもうすぐ死ぬ。だからメリッサに最期を看取ってほしい』
ノックスの言葉を、あかりはすぐに理解する事ができなかった。ちょっと前に元気なグリフからフローラの心臓が入った小箱を受け取ったのに。何故グリフが死んでしまうのだろうか。あかりがぼう然と立ちつくしていると、ノックスが再び話し出した。
『グリフのバカは、もう一人のフードの魔物から小箱を奪う時にケガをしたのだ。だが早くメリッサに小箱を渡したかったのだろう、俺にもケガの事を言わなかった』
あかりはカラカラになったのどを何とか動かしてかすれるような声で言った。
「ノックス、ノックス。お願い、グリフのケガを治して」
『すまないメリッサ、グリフはケガの表面だけ自分の治癒魔法で治したんだ。だが腹の中は血だらけで俺には治せない』
あかりは頭に血がカァッと登っていくのがわかった。あかりは恐怖で叫び出しそうになるのをグッとこれえて言った。
「レオ!セレーナ!」
あかりの声に契約霊獣である、ライオンのレオとヒョウのセレーナが現れた。二人ともフローラと戦う必要がなくなったので来てくれたのだ。あかりは辛抱ができなくなりボロボロと涙を流し、おえつまじりにレオたちにお願いした。
「お、お願い、レオ、セレーナ。グリフを、グリフを助けて」
ライオンのレオはうなずいてグリフに近寄った。そしてしばらくグリフを見てから、うめくように言った。
『すまないメリッサ。私の魔法で巻き戻せるギリギリの範囲なのだが、この人間は生きようという気力が失われている。こうなっては私にもどうする事もできない』
「生きようとする気力?どういう意味なのレオ?」
『このグリフという人間は、もう生きる事をやりとげたと思っているようだ。そのような者には私の魔法も効果がないのだ』
あかりはつんのめるようにグリフにしがみつくと、グリフのえり首をつかんで力いっぱいゆすって叫んだ。
「グリフ!起きて!目を開けて!!」
あかりの乱暴な起こし方に、固く目を閉じていたグリフのまぶたがわずかに開いた。グリフはか細い声で言った。
「アーニャ、大きくなったなぁ」
あかりは途端に叫び出したほどの怒りにおそわれた。あかりはグリフの耳元に口を近づけて叫んだ。
「私はアーニャじゃないわ!メリッサよ!」
グリフは、あかりの言葉がわかっているのかいないのか、少し微笑んでからまた目を閉じてしまった。あかりは急に手足が氷のように冷たくなり、ブルブルと震えだした。グリフが死んでしまう。グリフはいいかげんで皮肉屋で、だけど情に厚くて正義の心を持っている。そしてあかりにはとても優しかった。
あかりは前世の記憶を持ってこの世界にやって来て、ずっと違和感を感じていた。現世の世界では家族もティグリスたちもあかりを大切にしてくれている。だがそれはメリッサとしてだ。この世界のメリッサという少女の中に、前世の飯野あかりという女性も同時に存在しているのだ。メリッサが愛されるたびに、あかりはいいようのない孤独を感じでいた。だが唯一グリフだけはあかりという存在を認識し、愛してくれた。それがどんなに嬉しかった事か。
あかりとグリフの周りにアスランやグラキエースたちが集まって来た。きっとフードの魔物を倒したのだろう。何故かアスランのとなりにはヴイヴィアンが立っていた。だがあかりはアスランたちにねぎらいの言葉を発する事は出来なかった。ただただグリフが死んでしまう恐怖になきじゃくっていた。
ティグリスが白馬アポロンに事の状況を説明していた。アポロンからアスランに伝わりアスランは泣きだした。それをヴイヴィアンが慰めている。あかりは周りの悲しみの声がよく聞こえなかった。まるで水の中にいるように周りの音が不明りょうだった。
あかりは泣きはらしながら、何故グリフはこんなにもあかりの事を大切にしてくれたのだろうと考えた。グリフはあかりと娘のアーニャは似ていないと言っていたが、きっとどこかに似ている部分もあったのだろう。グリフは娘のアーニャに会いたくて会いたくて仕方なかったのだ。このままグリフを看取るのも、グリフのためではないのか。あかりは泣きすぎてガンガン痛む頭の痛みを感じながら思った。だが同時に湧き上がるような反対の考えも浮かんできた。
グリフは、フードの魔物に心臓を奪われたドラゴンのフローラを助けるためにケガを負って死のうとしているのだ。これがグリフの寿命ならば仕方がない。だが霊獣のレオは、グリフの生きる気力があれば魔法で救う事が可能だと言っていた。その考えに思いいたると、あかりはもうれつに腹が立ってきた。
あかりはグリフのえり首をひっつかんで持ち上げると、反対の手でグリフの頬に強烈な平手打ちをした。返す手の甲でグリフの反対の頬を打った。あかりは泣きながらグリフの頬をひたすらビンタした。そして大声で叫んだ。
「起きなさいグリフ!生きる事から逃げるな!どんなに苦しくても辛くても悲しくても、命続く限りは生きなさいよ!そして天寿をまっとうしたら、その時こそ胸をはってアーニャに会いに行きなさいよ!」
あかりはそれだけ言うと、ハァハァと激しく呼吸をして、ゴクリとツバを飲み込んでから続けて叫んだ。
「だけど、だけど、もしグリフが寂しくて仕方がないのなら、私がグリフの娘になってあげるから!」
あかりの言葉に、それまで目をつむっていたグリフがパチリと目を開けて言った。
「本当か?メリッサ」
それを見ていたレオが叫ぶように言った。
『グリフの生きる気力が戻った!』
『現金なやつじゃのぉ』
ドラゴンのグラキエースが呆れた声で言う。あかりは状況が飲み込めず目をしばたかせていると、レオとグリフが輝きだした。レオが時間を巻き戻す魔法を使ったのだ。レオが魔法を発動させながら、あかりにグリフの側から離れるように言った。
しばらくすると、グリフの腹から巨大な槍のような物が突き出してきた。これがグリフを死に追いやろうとした魔法なのだろう。すかさずセレーナが魔法を無効化する魔法を発動させた。グリフの腹に突き刺さった槍は水泡に包まれ跡形もなく消えた。レオはフゥッと息を吐いてからあかりに言った。
『メリッサ、もう大丈夫だ。グリフのケガは完治させた』
あかりはあまりの急な状況の変化についていけず、目をパチパチしていた。すると今まで青白い顔で倒れていたグリフが起き上がり、笑顔であかりに言った。
「メリッサ。さっきの言葉、嘘じゃねぇよな?メリッサは俺の娘だ」
あかりは号泣しながらグリフに抱きつくと、グリフの胸をコブシでドンドン叩いた。あかりはグリフが死んでしまいそうだった恐怖と、グリフが助かった安心感で訳が分からなくなり、うわ言のようにグリフに言った。
「グリフのバカァ、グリフのバカァ!」
「あれぇ、メリッサァ。そこはパパ大好き!じゃないの?」
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