87 / 118
魔王との対決
しおりを挟む
あかりたちはドラゴンのフローラを助けに出発した。キツネの霊獣ヘレンは、自分もフローラを救出に行くと言って聞かなかった。だが身体は疲弊し、魔法の攻撃を受けた後遺症もあるためヒョウの霊獣セレーナにあずける事にした。あかりがセレーナを呼び出すと、彼女はこころよくヘレンを保護してくれた。あかりはセレーナに、これからフローラを助けに魔物の所に行く事を告げた。そして、もし危険になったらセレーナを呼んでよいかたずねると、セレーナは真剣な顔でうなずいた。
あかりたちはヘレンに言われた広い平地に出た。そこには小山のような大きなドラゴンがうずくまっていた。ドラゴンのグラキエースは大声で声を張り上げた。
『フローラ!』
グラキエースの声に気づいたドラゴンが顔を上げた。ドラゴンは答えて言った。
『坊や!会いたかった。最後に一目でも会いたかったの』
『何を言っとるんじゃフローラ!』
『魔物に心臓を取られてしまったの。私は魔物の命令で、大地に魔法をかけて植物が育たないようにしたわ。これから沢山の命を奪ったりしなければいけなくなるわ。私はそんな事したくないの、だから自分で命を絶つ事にしたの。だけど死ぬ前に坊やに会いたかったの。願いが叶ったわ』
巨大なドラゴンは微笑んでハラハラと涙を流した。グラキエースは声を張り上げて叫んだ。
『バカな事を言うでない!フローラ、必ず助けるからヤケを起こすな!』
あかりはグラキエースに聞いた。
「グラキエース、フローラは自ら死ぬ気なの?」
『ああ、わしらドラゴンは自然界の気を身体に取り入れて生きておる。おそらくフローラは自ら自然界の気を取り入れる事をやめておるのじゃ。いずれフローラは衰えて死ぬ事になる』
「じゃあ餓死するって事?!」
『人間でいえばそうじゃな』
「分かったわグラキエース。少しだけフローラと話をさせて?」
グラキエースはあかりにうなずいた。あかりは大声でフローラに話しかけた。
「聞いて、グラキエースの守護者さん!私たちはあなたを助けたいの。グラキエースはあなたの事が大好きなのよ、だから死んじゃうなんて悲しい事言わないで!」
フローラは養い子のグラキエースの側にいるあかりに気づいて言った。
『優しい人間のお嬢さん、ありがとう。でも私を使役した魔物はとても強力な魔力を有しているの。だからお願いここから逃げて?!』
「その通りだ。このまま引けば見逃してやるぞ?」
フローラの側に突然フードの人物が現れた。その人物は自身に風魔法をかけているのか空中に浮いていた。おそらくこのフードの人物がフローラの心臓を抜き取って言う事を聞かせているのだろう。あかりはフードの人物に大声で言った。
「あなたがフローラの優しさにつけこんで心臓を奪ったのね?!」
「いかにもこのドラゴンはわしの思い通りなのだ」
「フローラの心臓を返して!」
フードの人物はこれ見よがしに、フードの中から小箱を取り出して言った。
「この箱の中にお前の欲しいものが入っているぞ?欲しいなら取りにくるがよい。できるものならな。魔力の無い無力な娘よ」
フードの人物はもったいつけた動作で小箱をフードの中にしまった。あかりは覚悟を決めて仲間を見た。アスランたちもうなずいている。あかりはフードの人物をにらんで叫んだ。
「私は確かに無力な人間よ?だけど仲間がいるわ。レオ!セレーナ!ルプス!エルク!」
あかりの周りに、あかりと契約してくれた霊獣たちが現れた。雄々しいライオンのレオ、美しいヒョウのセレーナ、霊獣のリーダー狼のルプス、気高いヘラジカのエルク。あかりは霊獣たちにお願いをした。
「皆、お願い。あのフードの人から小箱を取り戻してほしいの」
霊獣のレオたちは皆いっせいにうなずいてくれた。霊獣たちは強力な攻撃魔法をフードの人物に放った。だがその攻撃は鉱物防御魔法により防がれてしまった。フローラの魔法だ。フードの人物はフローラにあかりたちの攻撃を命令した。フローラはかぶりを振って拒否をする。するとフローラが苦しみ出した。どうやらフローラがフードの人物の命令に背くと、フローラを苦痛が襲うようだ。グラキエースが悲痛な声で自身の守護者を呼んだ。
『フローラ!』
フローラはうめくようにグラキエースに答えた。
『坊や、お願い逃げて。ねぇ坊や、キツネの霊獣を見なかった?私の友達なの』
『ああ、ヘレンは無事じゃ。フローラの事を案じておったぞ』
『良かったわ。それだけ聞ければもう悔いはないわ。坊や、さよなら』
フローラはそれだけ言うと植物ツタ魔法を発動させた。あかりたちとフードの人物をへだてるようにツタの壁を作ったのだ。後ろに控えていたグリフが叫んだ。
「メリッサ!一旦ここを離れるぞ。ノックス!」
グリフの側に彼の契約霊獣、狼のノックスが現れた。グリフはノックスに叫んだ。
「ノックス!この場の皆を安全な所に!」
狼の霊獣ノックスは、自身の闇魔法を発動させた。あかりたちを巨大な暗闇のベールが包んだ。
あかりたちはヘレンに言われた広い平地に出た。そこには小山のような大きなドラゴンがうずくまっていた。ドラゴンのグラキエースは大声で声を張り上げた。
『フローラ!』
グラキエースの声に気づいたドラゴンが顔を上げた。ドラゴンは答えて言った。
『坊や!会いたかった。最後に一目でも会いたかったの』
『何を言っとるんじゃフローラ!』
『魔物に心臓を取られてしまったの。私は魔物の命令で、大地に魔法をかけて植物が育たないようにしたわ。これから沢山の命を奪ったりしなければいけなくなるわ。私はそんな事したくないの、だから自分で命を絶つ事にしたの。だけど死ぬ前に坊やに会いたかったの。願いが叶ったわ』
巨大なドラゴンは微笑んでハラハラと涙を流した。グラキエースは声を張り上げて叫んだ。
『バカな事を言うでない!フローラ、必ず助けるからヤケを起こすな!』
あかりはグラキエースに聞いた。
「グラキエース、フローラは自ら死ぬ気なの?」
『ああ、わしらドラゴンは自然界の気を身体に取り入れて生きておる。おそらくフローラは自ら自然界の気を取り入れる事をやめておるのじゃ。いずれフローラは衰えて死ぬ事になる』
「じゃあ餓死するって事?!」
『人間でいえばそうじゃな』
「分かったわグラキエース。少しだけフローラと話をさせて?」
グラキエースはあかりにうなずいた。あかりは大声でフローラに話しかけた。
「聞いて、グラキエースの守護者さん!私たちはあなたを助けたいの。グラキエースはあなたの事が大好きなのよ、だから死んじゃうなんて悲しい事言わないで!」
フローラは養い子のグラキエースの側にいるあかりに気づいて言った。
『優しい人間のお嬢さん、ありがとう。でも私を使役した魔物はとても強力な魔力を有しているの。だからお願いここから逃げて?!』
「その通りだ。このまま引けば見逃してやるぞ?」
フローラの側に突然フードの人物が現れた。その人物は自身に風魔法をかけているのか空中に浮いていた。おそらくこのフードの人物がフローラの心臓を抜き取って言う事を聞かせているのだろう。あかりはフードの人物に大声で言った。
「あなたがフローラの優しさにつけこんで心臓を奪ったのね?!」
「いかにもこのドラゴンはわしの思い通りなのだ」
「フローラの心臓を返して!」
フードの人物はこれ見よがしに、フードの中から小箱を取り出して言った。
「この箱の中にお前の欲しいものが入っているぞ?欲しいなら取りにくるがよい。できるものならな。魔力の無い無力な娘よ」
フードの人物はもったいつけた動作で小箱をフードの中にしまった。あかりは覚悟を決めて仲間を見た。アスランたちもうなずいている。あかりはフードの人物をにらんで叫んだ。
「私は確かに無力な人間よ?だけど仲間がいるわ。レオ!セレーナ!ルプス!エルク!」
あかりの周りに、あかりと契約してくれた霊獣たちが現れた。雄々しいライオンのレオ、美しいヒョウのセレーナ、霊獣のリーダー狼のルプス、気高いヘラジカのエルク。あかりは霊獣たちにお願いをした。
「皆、お願い。あのフードの人から小箱を取り戻してほしいの」
霊獣のレオたちは皆いっせいにうなずいてくれた。霊獣たちは強力な攻撃魔法をフードの人物に放った。だがその攻撃は鉱物防御魔法により防がれてしまった。フローラの魔法だ。フードの人物はフローラにあかりたちの攻撃を命令した。フローラはかぶりを振って拒否をする。するとフローラが苦しみ出した。どうやらフローラがフードの人物の命令に背くと、フローラを苦痛が襲うようだ。グラキエースが悲痛な声で自身の守護者を呼んだ。
『フローラ!』
フローラはうめくようにグラキエースに答えた。
『坊や、お願い逃げて。ねぇ坊や、キツネの霊獣を見なかった?私の友達なの』
『ああ、ヘレンは無事じゃ。フローラの事を案じておったぞ』
『良かったわ。それだけ聞ければもう悔いはないわ。坊や、さよなら』
フローラはそれだけ言うと植物ツタ魔法を発動させた。あかりたちとフードの人物をへだてるようにツタの壁を作ったのだ。後ろに控えていたグリフが叫んだ。
「メリッサ!一旦ここを離れるぞ。ノックス!」
グリフの側に彼の契約霊獣、狼のノックスが現れた。グリフはノックスに叫んだ。
「ノックス!この場の皆を安全な所に!」
狼の霊獣ノックスは、自身の闇魔法を発動させた。あかりたちを巨大な暗闇のベールが包んだ。
0
お気に入りに追加
1,160
あなたにおすすめの小説
拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです
熊ごろう
ファンタジー
俺はどうやら事故で死んで、神様の計らいで異世界へと転生したらしい。
そこまではわりと良くある?お話だと思う。
ただ俺が皆と違ったのは……森の中、木にめり込んだ状態で転生していたことだろうか。
しかも必死こいて引っこ抜いて見ればめり込んでいた部分が木の体となっていた。次、神様に出会うことがあったならば髪の毛むしってやろうと思う。
ずっとその場に居るわけにもいかず、森の中をあてもなく彷徨う俺であったが、やがて空腹と渇き、それにたまった疲労で意識を失ってしまい……と、そこでこの木の体が思わぬ力を発揮する。なんと地面から水分や養分を取れる上に生命力すら吸い取る事が出来たのだ。
生命力を吸った体は凄まじい力を発揮した。木を殴れば幹をえぐり取り、走れば凄まじい速度な上に疲れもほとんどない。
これはチートきたのでは!?と浮かれそうになる俺であったが……そこはぐっと押さえ気を引き締める。何せ比較対象が無いからね。
比較対象もそうだけど、とりあえず生活していくためには人里に出なければならないだろう。そう考えた俺はひとまず森を抜け出そうと再び歩を進めるが……。
P.S
最近、右半身にリンゴがなるようになりました。
やったね(´・ω・`)
火、木曜と土日更新でいきたいと思います。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ドラゴネット興隆記
椎井瑛弥
ファンタジー
ある世界、ある時代、ある国で、一人の若者が領地を取り上げられ、誰も人が住まない僻地に新しい領地を与えられた。その領地をいかに発展させるか。周囲を巻き込みつつ、周囲に巻き込まれつつ、それなりに領地を大きくしていく。
ざまぁっぽく見えて、意外とほのぼのです。『新米エルフとぶらり旅』と世界観は共通していますが、違う時代、違う場所でのお話です。
異世界着ぐるみ転生
こまちゃも
ファンタジー
旧題:着ぐるみ転生
どこにでもいる、普通のOLだった。
会社と部屋を往復する毎日。趣味と言えば、十年以上続けているRPGオンラインゲーム。
ある日気が付くと、森の中だった。
誘拐?ちょっと待て、何この全身モフモフ!
自分の姿が、ゲームで使っていたアバター・・・二足歩行の巨大猫になっていた。
幸い、ゲームで培ったスキルや能力はそのまま。使っていたアイテムバッグも中身入り!
冒険者?そんな怖い事はしません!
目指せ、自給自足!
*小説家になろう様でも掲載中です
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる