29 / 118
後始末
しおりを挟む
アスランは領主たちに気づかれないようにカーテンを被りながら、抜き足差し足歩き出した。だが出入り口のドアまで後もう少しの所で、ある声に呼び止められた。男の声、領主に違いない。領主は顔を見せろと言う。そんな事できるわけがない。性転換の魔法薬で女になっていればいいが、現在のアスランは魔法薬が切れて男に戻ってしまい、足は裸足、ドレスはボロボロ、男なのに化粧をして完全な変質者と化していたのだ。絶対にカーテンを脱ぐわけにはいかない。
だがアスランのがんばりに反して、カーテンをあっさりと取り除かれてしまった。そこには痩せ型の顔色の悪い男がニヤニヤ気味の悪い笑みを浮かべていた。あろう事か気味の悪い男はアスランの左手を掴んで引き寄せようとしたのだ。アスランの背筋がゾゾッと冷たくなり、全身に鳥肌が立った。
アスランは無意識のうちに右の拳を握りしめ、ポンパの領主の左ほほに右ストレートをお見舞いしていた。領主はポーンと吹っ飛んで、床に転がると動かなくなった。アスランはハァハァと荒い息をしていた。小さなアポロンは心配そうにアスランの周りを飛び回っていた。
「何だ領主を殴り倒しちゃったのか?」
突然背後から声がした。アスランが振り向くと、うさん臭い男グリフがニヤニヤしながら立っていた。アスランはこの男に怒りがわいて仕方なかった。グリフの魔法薬のせいでこんな目にあっているのだ。アスランは怒りのままにグリフのえりくびを掴んだ。グリフはニヤニヤしながらアスランの手を払いのけて言った。
「おいおい俺はお前を助けに来てやったんだぜ?メリッサが言うんだ。アスランは人を傷つける事ができないから、ひどい目にあってるかもしれないから助けに行ってあげてって、可愛くお願いされたからな」
グリフは倒れて動かない領主の所に行くと、領主の状況を確認して言った。
「あーあー、顔の骨折れてんじゃねぇか」
グリフは治癒魔法で領主のケガを治してやっていた。グリフは立ち上がると、アスランを無視して捕らわれた娘たちに声をかけた。
「お嬢さんたち助けに来ましたよ。みんな四、五年経ったら俺とデートしようね」
捕らわれた町娘たちは、アスランとグリフに気がつくと、いっせいに悲鳴をあげた。
「きゃあ!変態よ!変態だわ!」
「落ち着いてください、変態はコイツだけで俺は紳士ですよ」
グリフは慌ててアスランを指差しながら言う。アスランは反論できない状態なので黙っている。混乱した状況は、新たな人物の登場により静かになった。
「ちょっと何やってるの?グリフ、アスラン」
メリッサの声だ。アスランは反射的にカーテンを被った。グリフに今の姿を罵られるのはどうでもいい。たが、大好きなメリッサに変態、気持ち悪いと言われたら立ち直れない。アスランが目をつむっていると、またもやカーテンが取られた。目を開けると、目の前にメリッサが立っていた。メリッサは大きな目をさらに大きくしてアスランを見た。嫌われる、アスランは反射的にメリッサから視線をそらした。メリッサが叫んだ。
「アスラン綺麗!アスランって男の時でもお化粧すると綺麗になるのね」
アスランはほぉっと息をはいた。どうやらメリッサに嫌われなくて済んだようだ。グリフがメリッサに、目が悪のかと聞いている。メリッサは山育ちだから目はいいのだと自慢していた。二人の会話は噛み合っていないようだったがアスランにはどうでもいい事だった。
メリッサは、遠巻きにアスランたちを見ている女性たちに声をかけた。
「皆さん安心してください。私たちは貴女たちを助けに来ました。もう貴女たちは自由です」
捕らわれた町娘たちはメリッサの言葉をジッと聞いてから、歓声をあげた。メリッサが外に面した大きな窓を開けると、そこにはティグリスとグラキエースがいた。彼らの側にはいかつい人間たちが倒れていた。おそらく領主が雇ったゴロツキたちだろう。メリッサは先頭に立って町娘たちを促した。アスランは再びカーテンを被り直してメリッサの後を追った。
町娘たちを町まで送って行くと、町の人たちは喜びに湧き上がった。食堂の主人は、依頼の報酬としてアスランたちに金貨を支払ってくれた。娘をさらわれた家の人々から集めたものだ。アスランはメリッサとグリフで報酬を分けた。今夜はポンパの宿屋で一泊する事にした。アスランはトランド国王に向けて手紙をしたためた。ポンパの領主の悪行、早急に新たな領主を派遣してほしい事。アスランは手紙を書き終わると、魔法で手紙を鳩にして夜空に放った。グリフが呟いた。
「へぇいい魔法だな」
アスランは意地の悪い声で答えた。
「僕が長年かけて完成させた魔法だ。教えてなんかやらないぞ、まぁどうしても教えてほしいっていうなら、土下座でも」
「いや、もう覚えた」
アスランが言葉を言い終わらないうちに、グリフはそういい放った。そしてグリフは紙とペンを取り出すと、何かをしたため、折りたたんで呪文を唱えた。するとグリフの手に雄々しいタカが出現した。タカは夜空に飛び立ち、空中を旋回してからアスランの腕にとまった。するとタカは元の紙に戻った。アスランが紙を見ると、一言変態と書いてあった。
アスランは紙を握りしめ、炎魔法で消し炭にして歯噛みした。認めたくない事だが、どうやらグリフという魔法使いは卓越した魔法のセンスがあるようだ。アスランはどちらかというと不器用な魔法使いで、コツコツと努力して魔法を研究している。だがグリフは一度見た魔法も瞬時に覚えてしまう。そして性転換の魔法薬。アスランが魔法薬を研究しなかったのは、臭いがひどい事と、もう一つ魔法薬はとても繊細なものなのだ。わずかな薬草の分量の違いで、失敗したり全く別の魔法薬になってしまう。
だがグリフはぞんざいな動作で鍋に薬草を入れ、性転換魔法薬という高度な魔法薬をこともなげに作ってしまったのだ。一つだけはっきりしている事がある。アスランはグリフという男が大嫌いだ。だが共にいるのも今回で最後だ、もう二度と会う事はないだろう。アスランがそう思っていると、グリフがとんでもない事を言った。
「なぁメリッサ、変態男と一緒にいるより俺と旅をしようぜ?」
なんとグリフはメリッサを連れて行こうとしているのだ。アスランはたまらず叫んだ。
「メリッサはご両親からお預かりした大切な子だ!お前みたいなうさん臭い奴に渡せるわけないだろう!」
メリッサもアスランに同調する。
「グリフ、心配してくれる気持ちは嬉しいけど、私はアスランと一緒に行くわ。アスランは私が一緒にいないと危なっかしいんですもの」
「メリッサァ、ありがとう」
アスランは心底安堵した。もうメリッサに情けないと思われていてもどうでもいい。メリッサが側にいてくれるなら道化にだってなれると思えた。グリフはアスランをさげすむように見て言った。
「なら俺はメリッサについて行く!アスランだけじゃ心配だ、なぁいいだろメリッサ?」
断ってくれたらいいのにメリッサは笑顔で答えだ。
「ありがとうグリフ、貴方が一緒にいてくれたら心強いわ」
アスランたちの旅の同行者に、大嫌いな奴が加わった。
だがアスランのがんばりに反して、カーテンをあっさりと取り除かれてしまった。そこには痩せ型の顔色の悪い男がニヤニヤ気味の悪い笑みを浮かべていた。あろう事か気味の悪い男はアスランの左手を掴んで引き寄せようとしたのだ。アスランの背筋がゾゾッと冷たくなり、全身に鳥肌が立った。
アスランは無意識のうちに右の拳を握りしめ、ポンパの領主の左ほほに右ストレートをお見舞いしていた。領主はポーンと吹っ飛んで、床に転がると動かなくなった。アスランはハァハァと荒い息をしていた。小さなアポロンは心配そうにアスランの周りを飛び回っていた。
「何だ領主を殴り倒しちゃったのか?」
突然背後から声がした。アスランが振り向くと、うさん臭い男グリフがニヤニヤしながら立っていた。アスランはこの男に怒りがわいて仕方なかった。グリフの魔法薬のせいでこんな目にあっているのだ。アスランは怒りのままにグリフのえりくびを掴んだ。グリフはニヤニヤしながらアスランの手を払いのけて言った。
「おいおい俺はお前を助けに来てやったんだぜ?メリッサが言うんだ。アスランは人を傷つける事ができないから、ひどい目にあってるかもしれないから助けに行ってあげてって、可愛くお願いされたからな」
グリフは倒れて動かない領主の所に行くと、領主の状況を確認して言った。
「あーあー、顔の骨折れてんじゃねぇか」
グリフは治癒魔法で領主のケガを治してやっていた。グリフは立ち上がると、アスランを無視して捕らわれた娘たちに声をかけた。
「お嬢さんたち助けに来ましたよ。みんな四、五年経ったら俺とデートしようね」
捕らわれた町娘たちは、アスランとグリフに気がつくと、いっせいに悲鳴をあげた。
「きゃあ!変態よ!変態だわ!」
「落ち着いてください、変態はコイツだけで俺は紳士ですよ」
グリフは慌ててアスランを指差しながら言う。アスランは反論できない状態なので黙っている。混乱した状況は、新たな人物の登場により静かになった。
「ちょっと何やってるの?グリフ、アスラン」
メリッサの声だ。アスランは反射的にカーテンを被った。グリフに今の姿を罵られるのはどうでもいい。たが、大好きなメリッサに変態、気持ち悪いと言われたら立ち直れない。アスランが目をつむっていると、またもやカーテンが取られた。目を開けると、目の前にメリッサが立っていた。メリッサは大きな目をさらに大きくしてアスランを見た。嫌われる、アスランは反射的にメリッサから視線をそらした。メリッサが叫んだ。
「アスラン綺麗!アスランって男の時でもお化粧すると綺麗になるのね」
アスランはほぉっと息をはいた。どうやらメリッサに嫌われなくて済んだようだ。グリフがメリッサに、目が悪のかと聞いている。メリッサは山育ちだから目はいいのだと自慢していた。二人の会話は噛み合っていないようだったがアスランにはどうでもいい事だった。
メリッサは、遠巻きにアスランたちを見ている女性たちに声をかけた。
「皆さん安心してください。私たちは貴女たちを助けに来ました。もう貴女たちは自由です」
捕らわれた町娘たちはメリッサの言葉をジッと聞いてから、歓声をあげた。メリッサが外に面した大きな窓を開けると、そこにはティグリスとグラキエースがいた。彼らの側にはいかつい人間たちが倒れていた。おそらく領主が雇ったゴロツキたちだろう。メリッサは先頭に立って町娘たちを促した。アスランは再びカーテンを被り直してメリッサの後を追った。
町娘たちを町まで送って行くと、町の人たちは喜びに湧き上がった。食堂の主人は、依頼の報酬としてアスランたちに金貨を支払ってくれた。娘をさらわれた家の人々から集めたものだ。アスランはメリッサとグリフで報酬を分けた。今夜はポンパの宿屋で一泊する事にした。アスランはトランド国王に向けて手紙をしたためた。ポンパの領主の悪行、早急に新たな領主を派遣してほしい事。アスランは手紙を書き終わると、魔法で手紙を鳩にして夜空に放った。グリフが呟いた。
「へぇいい魔法だな」
アスランは意地の悪い声で答えた。
「僕が長年かけて完成させた魔法だ。教えてなんかやらないぞ、まぁどうしても教えてほしいっていうなら、土下座でも」
「いや、もう覚えた」
アスランが言葉を言い終わらないうちに、グリフはそういい放った。そしてグリフは紙とペンを取り出すと、何かをしたため、折りたたんで呪文を唱えた。するとグリフの手に雄々しいタカが出現した。タカは夜空に飛び立ち、空中を旋回してからアスランの腕にとまった。するとタカは元の紙に戻った。アスランが紙を見ると、一言変態と書いてあった。
アスランは紙を握りしめ、炎魔法で消し炭にして歯噛みした。認めたくない事だが、どうやらグリフという魔法使いは卓越した魔法のセンスがあるようだ。アスランはどちらかというと不器用な魔法使いで、コツコツと努力して魔法を研究している。だがグリフは一度見た魔法も瞬時に覚えてしまう。そして性転換の魔法薬。アスランが魔法薬を研究しなかったのは、臭いがひどい事と、もう一つ魔法薬はとても繊細なものなのだ。わずかな薬草の分量の違いで、失敗したり全く別の魔法薬になってしまう。
だがグリフはぞんざいな動作で鍋に薬草を入れ、性転換魔法薬という高度な魔法薬をこともなげに作ってしまったのだ。一つだけはっきりしている事がある。アスランはグリフという男が大嫌いだ。だが共にいるのも今回で最後だ、もう二度と会う事はないだろう。アスランがそう思っていると、グリフがとんでもない事を言った。
「なぁメリッサ、変態男と一緒にいるより俺と旅をしようぜ?」
なんとグリフはメリッサを連れて行こうとしているのだ。アスランはたまらず叫んだ。
「メリッサはご両親からお預かりした大切な子だ!お前みたいなうさん臭い奴に渡せるわけないだろう!」
メリッサもアスランに同調する。
「グリフ、心配してくれる気持ちは嬉しいけど、私はアスランと一緒に行くわ。アスランは私が一緒にいないと危なっかしいんですもの」
「メリッサァ、ありがとう」
アスランは心底安堵した。もうメリッサに情けないと思われていてもどうでもいい。メリッサが側にいてくれるなら道化にだってなれると思えた。グリフはアスランをさげすむように見て言った。
「なら俺はメリッサについて行く!アスランだけじゃ心配だ、なぁいいだろメリッサ?」
断ってくれたらいいのにメリッサは笑顔で答えだ。
「ありがとうグリフ、貴方が一緒にいてくれたら心強いわ」
アスランたちの旅の同行者に、大嫌いな奴が加わった。
0
お気に入りに追加
1,161
あなたにおすすめの小説
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
美味しい料理で村を再建!アリシャ宿屋はじめます
今野綾
ファンタジー
住んでいた村が襲われ家族も住む場所も失ったアリシャ。助けてくれた村に住むことに決めた。
アリシャはいつの間にか宿っていた力に次第に気づいて……
表紙 チルヲさん
出てくる料理は架空のものです
造語もあります11/9
参考にしている本
中世ヨーロッパの農村の生活
中世ヨーロッパを生きる
中世ヨーロッパの都市の生活
中世ヨーロッパの暮らし
中世ヨーロッパのレシピ
wikipediaなど
孤独な腐女子が異世界転生したので家族と幸せに暮らしたいです。
水都(みなと)
ファンタジー
★完結しました!
死んだら私も異世界転生できるかな。
転生してもやっぱり腐女子でいたい。
それからできれば今度は、家族に囲まれて暮らしてみたい……
天涯孤独で腐女子の桜野結理(20)は、元勇者の父親に溺愛されるアリシア(6)に異世界転生!
最期の願いが叶ったのか、転生してもやっぱり腐女子。
父の同僚サディアス×父アルバートで勝手に妄想していたら、実は本当に2人は両想いで…!?
※BL要素ありますが、全年齢対象です。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
料理を作って異世界改革
高坂ナツキ
ファンタジー
「ふむ名前は狭間真人か。喜べ、お前は神に選ばれた」
目が覚めると謎の白い空間で人型の発行体にそう語りかけられた。
「まあ、お前にやってもらいたいのは簡単だ。異世界で料理の技術をばらまいてほしいのさ」
記憶のない俺に神を名乗る謎の発行体はそう続ける。
いやいや、記憶もないのにどうやって料理の技術を広めるのか?
まあ、でもやることもないし、困ってる人がいるならやってみてもいいか。
そう決めたものの、ゼロから料理の技術を広めるのは大変で……。
善人でも悪人でもないという理由で神様に転生させられてしまった主人公。
神様からいろいろとチートをもらったものの、転生した世界は料理という概念自体が存在しない世界。
しかも、神様からもらったチートは調味料はいくらでも手に入るが食材が無限に手に入るわけではなく……。
現地で出会った少年少女と協力して様々な料理を作っていくが、果たして神様に依頼されたようにこの世界に料理の知識を広げることは可能なのか。
刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。
木山楽斗
ファンタジー
宿屋で働くフェリナは、ある日森で卵を見つけた。
その卵からかえったのは、彼女が見たことがない生物だった。その生物は、生まれて初めて見たフェリナのことを母親だと思ったらしく、彼女にとても懐いていた。
本物の母親も見当たらず、見捨てることも忍びないことから、フェリナは謎の生物を育てることにした。
リルフと名付けられた生物と、フェリナはしばらく平和な日常を過ごしていた。
しかし、ある日彼女達の元に国王から通達があった。
なんでも、リルフは竜という生物であり、国を繁栄にも破滅にも導く特別な存在であるようだ。
竜がどちらの道を辿るかは、その母親にかかっているらしい。知らない内に、フェリナは国の運命を握っていたのだ。
※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。
※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる