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パティ対イエーリ

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 パティは盗賊団の親玉と思われる細目の男をにらんだ。細目の男は一歩一歩とパティに近づいてきた。

 パティはグッと奥歯を噛み締めた。トグサに口をすっぱくして言われた事がある。

 敵の魔法がわからない時は、相手の魔法がわかるまで決して気を緩めるな。

 おそらく細目の男はマフサからパティの魔法を知らされているはずだ。それなのにも関わらず、パティとの距離を縮めようとしている。

 パティとの距離を縮める事が、細目の男の魔法発動に必要なのだろうか。

 おそらくそうなのだろう。では細目の男の魔法とは何だろう。アンチ魔法だろうか。それならば理解できる。アンチ魔法の範囲に入ってしまえばマックスたちは魔法が使えない。

 そうなればパティは杖で戦わなければいけない。これは細目の男の剣技が強かった場合非常に危険だ。

 パティは身体中じっとりと汗をかいていた。緊張で息苦しいほどだった。

 細目の男の余裕のある態度からして、必ずパティを制圧できる魔法なはずだ。パティは細目の男の魔法を予想して行動しなければいけない。

 ふと右手の甲が温かくなった。マックスがペロリとパティの手をなめたのだ。

 力を抜いて。パティ一人じゃないよ。僕たちが側にいるよ。

 マックスの暖かい心がパティの心の中を満たしていく。マックスだけではない。チャーミーもピンキーもアクアも。

 パティにはかけがいのない友達がいつも側にいてくれるのだ。パティの身体から力がフッと抜けた。

「おじさん、そこで止まって。」

 パティはキッパリとした声で言った。

「何故だい?」

 細目の男はそらとぼけて空とぼけて答えた。

「私に近づく事がおじさんの魔法に必要なんでしょ?止まってくれないと火魔法で火だるまにするわよ?」
「信用がないね。おじさんはお嬢ちゃんと仲良くしたいだけなのに」
「おじさんと仲良くなる必要はないわ。これからおじさんたちは全員騎士団に捕縛されるんだから」
「それは困るなぁ」
「じゃあ、この距離から私と魔法で対決してみる?」

 パティは足元のチャーミーにチラリと視線をおくった。

「チャーミー!鉱物攻撃魔法!あの男を倒して!」
「ニャッ!」

 チャーミーは土鉱物魔法で、たくさんの先の尖ったクリスタルを作り出し、細目の男めがけて放った。

 もしチャーミーの魔法が細目の男に届かず解除された場合、男の魔法はアンチ魔法になるはずだ。もしそうでなければ。

 チャーミーの鉱物攻撃魔法は、細目の男に後一歩で当たりそうになっても解除される事はなかった。
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