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マフサとジョナサン
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マフサは十五歳まで暮らしたドミノ村の広場を見渡した。
村人たちは数人のかたまりにされ、団員たちに剣を突きつけられて震えている。
団長であるイエーリは、パティが来るまで村長の家で待つ事になった。
都合がいい。パティがやって来たらジョナサンとチコリを殺して、それからパティを殺してやろう。
マフサは愉快で仕方なかった。これから憎きパティが嘆き悲しむ姿を見る事ができるのだ。
マフサは知らずに口元がゆるんでいたようだ。チコリと共にその場に座り込んでいたジョナサンが声をかけた。
「マフサ。パティが憎いか?」
「あっ?何だジジイ、命乞いか?ああ、俺はパティが憎い。殺してやりたいほどな」
「何故お前がパティを憎いか教えてやろうか?」
ジョナサンはマフサが聞いてもいない事をペラペラ話し出した。
「それはな、マフサは凡人で、パティは神から選ばれた存在だからだ」
「はぁ?!ふざけんな!選ばれた存在はこの俺だ!」
ジョナサンはシワだらけの顔にふべつの笑みを浮かべた。
「マフサが選ばれた存在ならば、何故《ファイヤーハンド》は剥奪されたのだ?」
「お前の孫娘のせいだろう!だから俺はパティに裁きを受けさせるんだ!くだらない事を言うとこの場で首を斬り落とすぞ!」
「やりたければ好きにするがいい。私は老い先短い身だ。死など恐れん」
マフサは頭に血がのぼり、手に持った剣をジョナサンの首に押しつけた。ジョナサンの首からはタラタラと鮮血がしたたり落ちた。だがジョナサンの顔には死の恐怖などみじんも浮かんでいなかった。
マフサは腹立たしかった。助けてくれと命乞いをすれば、少しは溜飲が下がったのに。
マフサがイライラしていると、周りが騒がしくなった。団員たちは空を見上げて叫んでいる。
マフサが空をあおぐと、巨大な鳥が猛スピードでこちらに向かっていた。
やっと来たな、パティ。
マフサは満面の笑みで剣を振りかぶった。狙いはジョナサンの首だ。
チコリがマフサを止めようと立ちあがろうとするのをジョナサンが制して抱き止める。
パティの大きなバカ鳥は、辺りに爆風をまき散らしながら着地した。
パティのボロいバッグからバカ犬とクソ猫が飛び出す。パティが険しい顔でマフサのところに駆けてこようとする。
それでは遅いのだ。パティの愛する祖父はマフサの手によって首を斬り落とされるのだ。
マフサが嬉々として剣を振り下ろそうとした瞬間、熱い痛みを肩に感じた。直後剣を取り落としてしまった。不思議に思って剣を拾おうとするのだが、マフサの右腕は動かなかった。
よく肩を観察すると、右肩に小さな穴が空いていた。身体の傷を認識すると、次に激痛がおとずれた。
「ギャアア!」
マフサは右肩を掴んで叫び声をあげた。
村人たちは数人のかたまりにされ、団員たちに剣を突きつけられて震えている。
団長であるイエーリは、パティが来るまで村長の家で待つ事になった。
都合がいい。パティがやって来たらジョナサンとチコリを殺して、それからパティを殺してやろう。
マフサは愉快で仕方なかった。これから憎きパティが嘆き悲しむ姿を見る事ができるのだ。
マフサは知らずに口元がゆるんでいたようだ。チコリと共にその場に座り込んでいたジョナサンが声をかけた。
「マフサ。パティが憎いか?」
「あっ?何だジジイ、命乞いか?ああ、俺はパティが憎い。殺してやりたいほどな」
「何故お前がパティを憎いか教えてやろうか?」
ジョナサンはマフサが聞いてもいない事をペラペラ話し出した。
「それはな、マフサは凡人で、パティは神から選ばれた存在だからだ」
「はぁ?!ふざけんな!選ばれた存在はこの俺だ!」
ジョナサンはシワだらけの顔にふべつの笑みを浮かべた。
「マフサが選ばれた存在ならば、何故《ファイヤーハンド》は剥奪されたのだ?」
「お前の孫娘のせいだろう!だから俺はパティに裁きを受けさせるんだ!くだらない事を言うとこの場で首を斬り落とすぞ!」
「やりたければ好きにするがいい。私は老い先短い身だ。死など恐れん」
マフサは頭に血がのぼり、手に持った剣をジョナサンの首に押しつけた。ジョナサンの首からはタラタラと鮮血がしたたり落ちた。だがジョナサンの顔には死の恐怖などみじんも浮かんでいなかった。
マフサは腹立たしかった。助けてくれと命乞いをすれば、少しは溜飲が下がったのに。
マフサがイライラしていると、周りが騒がしくなった。団員たちは空を見上げて叫んでいる。
マフサが空をあおぐと、巨大な鳥が猛スピードでこちらに向かっていた。
やっと来たな、パティ。
マフサは満面の笑みで剣を振りかぶった。狙いはジョナサンの首だ。
チコリがマフサを止めようと立ちあがろうとするのをジョナサンが制して抱き止める。
パティの大きなバカ鳥は、辺りに爆風をまき散らしながら着地した。
パティのボロいバッグからバカ犬とクソ猫が飛び出す。パティが険しい顔でマフサのところに駆けてこようとする。
それでは遅いのだ。パティの愛する祖父はマフサの手によって首を斬り落とされるのだ。
マフサが嬉々として剣を振り下ろそうとした瞬間、熱い痛みを肩に感じた。直後剣を取り落としてしまった。不思議に思って剣を拾おうとするのだが、マフサの右腕は動かなかった。
よく肩を観察すると、右肩に小さな穴が空いていた。身体の傷を認識すると、次に激痛がおとずれた。
「ギャアア!」
マフサは右肩を掴んで叫び声をあげた。
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