究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

ゼゴとエラルド

　戻ったエラルドたちが席につくと食事が運ばれてきた。食事をしながらエラルドが自己紹介をしてくれた。

「皆、こいつはゼゴだ。俺の弟子になる、仲良くしてやってくれ」

　実にシンプルな紹介だ。エラルドの妹だと紹介されたプラチナブロンドの少女、ロレーナは目を大きく見開いた。

「ゼゴさんは私の弟弟子になるんだね！姉弟子の私の言う事を聞くんだよ！」
「ああ、よろしく頼む」

　ロレーナの言葉にエラルドは顔をしかめた。

「ロレーナ。ゼゴはお前の弟弟子だがお前よりも年上だぞ。それなりの敬意を払え」
「はぁい」

　エラルドにしかられたロレーナはうなだれる。ゼゴはエラルドに言った。

「いいんだ、エラルド。俺が一番下の弟子である事には変わらない」

　エラルドたちは不思議そうにゼゴを見つめた。何かおかしな事を言っただろうか。マイラがため息をつきながら口を開いた。

「ゼゴ。貴方が誠実な人間だという事はよくわかったわ。だけどね、ロレーナはまだ子供だし、エラルドだって剣の実力はあっても世間知らずの子供なの。だからね、ゼゴ。貴方はエラルドの弟子で、ロレーナの弟弟子だけれど、二人の側にいる大人として接してほしいの」
「・・・。善処する」

　ゼゴはこれまで群れる事なく一人で生きてきた。これからは共に生活する者たちができるのだ。ゼゴが今後に不安を感じていると、マイラの妹のパティが声をかけた。

「ゼゴさん。エラルドとロレーナはとてもいい子たちだからそんなに難しく考えないでください」
「・・・。ああ、」

　パティの発言が気にさわったのか、エラルドが顔をしかめて言った。

「パティ、俺は子供じゃない」
「ええ、そうよ。エラルドは私よりも年上だわ。だけどとてもまっすぐで素直すぎるのよ。エラルドの雇い主の貴族たちにいいように働かされてたら火剣の掃除屋なんておかしな事になってしまったじゃない」

　パティの追うちの言葉に、エラルドはグググと黙ってしまった。きっと自分でも身に覚えがあるのだろう。

　食事が終わった頃、エラルドがゼゴに言った。

「ゼゴ。お前を弟子に取るとは言ったが、俺たちは冒険者だ。働かないと生活できない。そこでお前にも冒険者になってほしい。やってもらえるか？」
「ああ、それについては問題ない」

　ゼゴがうなずくと、心得たようにマイラが書類を取り出した。

「じゃあゼゴ。この書類に記入して？明日私が協会に提出するわ」
　
　何て手回しがいいのだ。ゼゴは驚きながらも書類に記入した。

　エラルドは書類の書き終わったゼゴを満足そうに見て言った。

「よし、ゼゴ。晴れてお前は俺の弟子になった！腹ごなしに修行に行くか！」
「おお！それはありがたい！ぜひ行こう！」
「よし！ロレーナとパティも行くぞ！」

　エラルドの発言にロレーナとパティは嫌な顔をした。マイラは顔を真っ赤にして怒った。

「何言ってるのよ！この脳筋バカ！パティとロレーナは依頼から帰ってきて疲れているのよ！あんたたちだけで行きなさいよ！」
「口出しするなマイラ。ロレーナとパティがどのように敵と戦ったのかを確認するのにも早い方がいいのだ。さぁ、お前たち！練習場所の森までランニングだ！」

　エラルドの無茶振りはいつもの事なのか、ロレーナとパティは顔をしかめながら外に出た。

　ゼゴはエラルドの背中を追いかけながら、これからの自分の人生が輝かしいものになるのを確信した。