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エラルド対統領2

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 ウェゴの顔があまりにもこっけいだったので、エラルドは笑いながら言った。

「アハハ。今屋敷内で暴れているのは俺の弟子たちだ。どうだ?とらえたと思っていた娘たちにいっぱい食わされる気分は?」

 ウェゴは何も答えずエラルドをにらみつけてから部下に言った。

「防御魔法を使う奴らを前線に出して持久戦に持ち込め。いくら娘たちが強くても、時間をかければ必ず疲れて弱る」

 盗賊の部下ははい、と返事をして部屋を出て行った。

 ウェゴの言う通りだ。いくらロレーナとパティが強くても、まだ二人は子供だ。早く勝負をつけないと、体力が持たない。

 それにロレーナは今回が初の実戦だ。ムダに張り切りすぎて体力の配分を見誤ってはまずい。

 エラルドは心の内を読まれないように無表情を決め込んでウェゴに言った。

「ウェゴ、早くしろ。この場でお前を斬り殺していいのだぞ?」
「死に急ぐなこぞう。ゼゴ、お前は小娘どもの制圧に行け」

 ウェゴはエラルドを見ないでとなりに立つ部下に言った。ゼゴはウェゴの側から離れずに言った。

「いえ、何かあった時に加勢します」
「どっちにだよ?」

 指示に従わないゼゴを、ウェゴは忌々しそうににらんだ。

 ウェゴは悠々とした動作で席を立った。エラルドに背中を見せたまま部屋を出る。

 エラルドとゼゴはウェゴの後を追った。ウェゴは屋敷の外に出た。続いて外に出たエラルドは腰の剣を抜いて構えた。

「ウェゴ、お前は丸腰だ。剣をゼゴから受け取れ」

 ウェゴはエラルドを小馬鹿にしたような仕草をしてから右手を振った。ウェゴの手には大剣が握られていた。ウェゴの魔法は《ソード》だったのだ。

 エラルドは剣を上段に構えた。ウェゴの構えは中段だ。ウェゴは正しく剣術を学んでいるのだ。

 エラルドは素早く間合いをつめると、ウェゴに一刀を打ち込んだ。ウェゴはエラルドの剣を軽く受けて流し、返す刀でエラルドに斬りかかった。

 エラルドはウェゴの剣先を読み、打ち返す。エラルドとウェゴの剣が打ち合う度、キィーンと高い金属音が鳴り響く。

 エラルドとウェゴの剣の腕は互角といってよかった。経験の差からいって、ウェゴの方が有利かもしれない。

 エラルドは知らず知らずのうちに焦っていた。そんなエラルドの心を見透かしてか、ウェゴはニヤニヤ笑いながら言った。

「屋敷の中にいる弟子たちが心配か?安心しろ、お前を八つ裂きにしたら、しっかり躾けて高値で売ってやる」

 ウェゴの挑発の言葉に、エラルドの怒りが頂点に達した。大切な妹と弟子を売るなど、口に出すのも腹立たしい。

 エラルドはオウッと鋭く声を出すと、ウェゴに猛然と斬りかかった。

 
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