究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

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戦闘開始

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 パティはじっと目を閉じていた。横ではロレーナがしきりにガラに話しをしている。ガラは迷惑そうにロレーナの話しをあいまいに聞いていた。

 時刻は正午を過ぎている。パティはひたすら友達の声を待っていた。アクアとドム。ピンキーとノアの結果を。

 最初に聞いたのはピンキーの声だった。ノアは《スキップ》の魔法で屋敷内を走り回り、無理矢理連れてこられたフロンの人たちに伝言を伝えた。

 お昼に必ず厨房に集まるように、と。フロンの人々の結束はかたく、ピンキーはフロンの人たちを風防御ドームで守る事に成功した。

 次はアクアからの声だ。アンチ魔法を持つ見張りを倒し、囚われた女の子たちを水防御ドームで保護した、と。だがアンチ魔法の盗賊は氷漬けにしただけで、意識を取り戻せばアンチ魔法で逃げ出してしまうだろうとの事だった。

 女の子たちのところへは早急に対処しに行かなければいけない。

 パティはピンキーとアクアに了解と返事をした。そして、声に出して言った。

「マイラ。こちらは完了したわ。エラルドに伝えて」
〔パティ。わかったわ〕

 ガラはロレーナをうるさそうに見ていた視線を、ひとり言をいうパティに移した。

 パティはスクッと立ち上がって言った。

「ロレーナ、マックス、チャーミー。作戦開始よ」
「オッケー、パティ」
「ワン!」
「ニャア!」

 ロレーナとマックスとチャーミーも続く。マックスとチャーミーはパティのショルダーバックから飛び出し、元の大きさに戻った。

 ガラは突然大きくなった犬と猫をポカンと見つめていた。

「ガラさん。私たちここの暮らしに飽きたので帰る事にします。ガラさんも一緒に行きますか?もし、本当に囚われていたらの話しですけど」

 それまで不安そうだったガラの美しい顔がみにくくゆがんだ。

「ようやくしっぽを出したね?クソガキども。私はねぇ、アンタが嘘をついていた事知っていたんだよ?驚いたかい?私の魔法は《トゥルース》だからね」

 パティはドキリとした。ガラもトグサと同じ嘘を見抜き、真実を突き止める魔法なのだ。だからパティが魔法は《テイム》だと答えた時、ガラはおかしな顔をしたのだ。

 パティはある違和感に気づいた。ロレーナの魔法は《セルフヒーリング》ではなく《ガーディアン》だ。それなのにガラはロレーナの嘘には反応しなかった。

 そこでパティはハッとした。トグサの言葉を思い出したからだ。

 《トゥルース》の魔法を持つ者は、あえて魔法は強化させない。何故なら、相手の本心がすべてわかってしまえば、精神に異常をきたしてしまう恐れがあるからだ。

 おそらくガラは相手の嘘だけに反応できるのだろう。ロレーナは本当に病気の身体なため《ガーディアン》が発動されていなければ動く事もできないのだ。

 ガラは大声で、ドアの外に立っている見張りに叫んだ。

「アンチ魔法を発動しな!ガキどもが逃げるよ!」
「それは困るわ。マックス、火攻撃魔法でドアを破壊して」
「ワン!」

 パティは対して困ってなさそうな声でマックスに指示した。

 マックスは火の玉を作り出すと、分厚いドアにぶち当てた。ドアは激しい音を立てて倒れた。

 パティはロレーナとマックスたちをうながして廊下に出た。後ろを振り向くと、ガラが恐怖の目でパティたちを見ていた。ガラは盗賊の仲間で、相手の嘘を見抜くための要員だ。おそらく戦闘能力は低いだろう。

 パティはガラをそのままにしておく事にした。

 

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