究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

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ロレーナの危機

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 見張りがドアを開け、ロレーナに肩を貸したパティが外に出てしばらくすると、苦しそうだったロレーナの呼吸が少し落ち着いた。

 どうやら見はりのアンチ魔法の効果はニメートールほどのようだ。見はりは誰もいない廊下に向かって話している。

「おい、俺は持ち場を離れられない。誰かをよこしてくれ。娘を移動させる」

 どうやら相手は《ボイス》の魔法を持つ者のようだ。しばらくすると別な男がやって来た。

 ロレーナに肩を貸しているパティを見て、ロレーナを抱え上げようとした。パティは男にロレーナを触らせてたくなかったので身をよじって抵抗した。

「この子は私が運ぶわ。別な監禁場所に案内して」

 パティの生意気な態度に腹を立てたのか、男は舌打ちしてからあごをしゃくった。パティとロレーナは男の後に続いた。

 パティたちは先ほどの部屋よりは上等な部屋に案内された。部屋の中には美しい女性がいた。年齢は先ほどの部屋にいた少女たちよりもだいぶいっているようで、二十代半ばに見えた。

 女性は盗賊の男に怯えるそぶりを見せたが、男がドアから出ていくと、パティたちに微笑んでくれた。

「その子、具合がわるそうね?大丈夫?」
「はい、この子の魔法は《セルフヒーリング》なんです。アンチ魔法の人の側にいたから病気がぶり返してしまって」
「そうなのね。そこのソファに寝かせてあげて?」
「ありがとうございます」

 パティはロレーナをソファに寝かせると、自分のマントをはずして丸め、ロレーナの頭の下にはさんだ。

「パティ、苦しいよう。私、もう病気は治ったって思ってた。だけど違ったのね。《セルフヒーリング》で病気を押さえ込んでいるだけだった。この屋敷にいたら私死んじゃうよ」
「大丈夫よ、ロレーナ。アンチ魔法の人と離れてれば。魔法が効いていればロレーナは元気なの。さぁ、目をつむって?」
「・・・、うん」

 ロレーナはひどく疲れてしまったようで、しばらくするとスースーと寝息を立てて眠ってしまった。

 パティはロレーナの顔にかかる髪を指ではらってから女性に振り向いて言った。

「貴女も捕まってここに監禁されているんですか?」
「ええ。私もあの子と同じ、魔法が《セルフヒーリング》なの。だからあの部屋にいられなくって。ねぇ、貴女の魔法は何なの?魔法によっては監禁部屋から出してもらえないのに」

 女性は悲しそうに微笑んでから、不思議そうにパティに質問した。

「はい、私の魔法は《テイム》です」

 パティの発言に、女性はピクリと身体をふるわせた。

「そう、その肩にのっているインコがテイムした動物なの?」
「はい、ピンキーだけではないんです」

 パティはショルダーバックの中を見せた。中から小さなマックスとチャーミー、アクアが見上げている。

「あら、可愛いわね」

 女性はそれだけ言うとバックの中から視線を外した。言うほど動物が好きではないのかもしれない。女性は視線をパティに戻して言った。

「自己紹介がまだだったわね?私はガラよ。貴女は?」
「はい、私はパティです。あっちにいるのがロレーナです」
「そう、よろしくね」

 いつもならパティはマックスたちを紹介するのだが、何となくガラはマックスたちに興味がなさそうだったので言わない事にした。

 それきりガラはだまってしまったので、パティはロレーナが休んでいるソファの下にしゃがみ込み目を閉じた。

 これから盗賊団の捕縛が始まる。体力を温存しておかなければいけない。






 
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