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フロンの町
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パティたちは大きくなったピンキーに乗り、はるか東を目指した。ザイラム盗賊団のアジトがあると思われる場所に向かうためだ。
馬車で向かえば五日はかかるという道のりだが、ピンキーにかかれば半日で到着してしまう。
ピンキーに乗ったロレーナは、相変わらず大はしゃぎだ。
「キャァ!速い速いピンキー!もっと速く飛んで?!」
「こら、ロレーナ。乗り出すな。落ちるだろう」
エラルドははしゃぐ妹をたしなめる。パティは苦笑いをしながら後ろを振り向く。パティの腰にしっかりと手を回したロレーナ。その後ろには苦虫をかみつぶしたような表情のエラルド。
どうにも緊張感のない一行だが、パティたちはこれから凶悪な強盗団を捕縛するために東に向かって出発したのだ。
パティたちはまずザイラム盗賊団が潜伏していると思われる森の近くにあるフロンの町を目指した。
ピンキーが張り切って猛スピードで空を飛んでくれたため、パティたちは夕方にはフロンの町に到着する事ができた。
フロンの町は、王都の城下町に比べるとあまり活気のない町だった。
「なんか元気のない町ねぇ」
ロレーナは不服顔で町を歩く。フロンの町は大きな町と聞いていたロレーナは、どんなところなのかとても楽しみにしていたのだ。
パティもうなずきながら町並みをながめる。王都の城下町ならば、商品を売る店主の威勢のいい声が響きわたり。大通りは冒険者や旅行者、旅の商人たちでごったがえしている。
だがフロンの町の大通りは、閑散としていた。エラルドは町並みに目を向ける事なく宿屋を目指した。エラルドは一軒の宿屋で足を止めた。宿屋の名前はハイバネと書いてある。大きな宿屋だったが、人の気配はまばらだった。
パティたちが宿屋に入ると、一人の男がカウンターに暇そうに座っていた。
「いらっしゃい。お泊まりですか?」
「ああ、部屋を二つ頼む」
受付の手続きはエラルドに任せ、パティは宿屋の中を見回した。どうやら一階は食堂で、二階が宿屋のようだった。
客はおらず閑散としていて、掃除も行きとどいていないようだった。
エラルドは宿屋の店主に食事を頼んだ。店主はうなずいて奥に引っ込んだ。
パティたちがテーブルについて待っていると、なんと店主がスープとパンを持ってあらわれた。どうやらこの宿は店主一人できりもりしているらしい。
「粗末な料理ですまないなぁ。料理人が辞めてしまって、俺の料理なんだ」
「いや。心づくしの料理感謝する」
すまなそうにする店主に、エラルドは頭をさげた。パティとロレーナも続いて頭を下げる。
どうやら新鮮な野菜はおいていないようなので、マックスたちの夕食は後でチャーミーに作ってもらう事にした。
馬車で向かえば五日はかかるという道のりだが、ピンキーにかかれば半日で到着してしまう。
ピンキーに乗ったロレーナは、相変わらず大はしゃぎだ。
「キャァ!速い速いピンキー!もっと速く飛んで?!」
「こら、ロレーナ。乗り出すな。落ちるだろう」
エラルドははしゃぐ妹をたしなめる。パティは苦笑いをしながら後ろを振り向く。パティの腰にしっかりと手を回したロレーナ。その後ろには苦虫をかみつぶしたような表情のエラルド。
どうにも緊張感のない一行だが、パティたちはこれから凶悪な強盗団を捕縛するために東に向かって出発したのだ。
パティたちはまずザイラム盗賊団が潜伏していると思われる森の近くにあるフロンの町を目指した。
ピンキーが張り切って猛スピードで空を飛んでくれたため、パティたちは夕方にはフロンの町に到着する事ができた。
フロンの町は、王都の城下町に比べるとあまり活気のない町だった。
「なんか元気のない町ねぇ」
ロレーナは不服顔で町を歩く。フロンの町は大きな町と聞いていたロレーナは、どんなところなのかとても楽しみにしていたのだ。
パティもうなずきながら町並みをながめる。王都の城下町ならば、商品を売る店主の威勢のいい声が響きわたり。大通りは冒険者や旅行者、旅の商人たちでごったがえしている。
だがフロンの町の大通りは、閑散としていた。エラルドは町並みに目を向ける事なく宿屋を目指した。エラルドは一軒の宿屋で足を止めた。宿屋の名前はハイバネと書いてある。大きな宿屋だったが、人の気配はまばらだった。
パティたちが宿屋に入ると、一人の男がカウンターに暇そうに座っていた。
「いらっしゃい。お泊まりですか?」
「ああ、部屋を二つ頼む」
受付の手続きはエラルドに任せ、パティは宿屋の中を見回した。どうやら一階は食堂で、二階が宿屋のようだった。
客はおらず閑散としていて、掃除も行きとどいていないようだった。
エラルドは宿屋の店主に食事を頼んだ。店主はうなずいて奥に引っ込んだ。
パティたちがテーブルについて待っていると、なんと店主がスープとパンを持ってあらわれた。どうやらこの宿は店主一人できりもりしているらしい。
「粗末な料理ですまないなぁ。料理人が辞めてしまって、俺の料理なんだ」
「いや。心づくしの料理感謝する」
すまなそうにする店主に、エラルドは頭をさげた。パティとロレーナも続いて頭を下げる。
どうやら新鮮な野菜はおいていないようなので、マックスたちの夕食は後でチャーミーに作ってもらう事にした。
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