156 / 212
エラルドたちの初仕事2
しおりを挟む
気を取り直したパティは依頼の入っている棚に歩き出しながらエラルドとロレーナに言った。
「ええ、私とマックスたちがいればどんな依頼も心配いらないわ。どんな依頼がいいかしら?教会の修理の依頼?農家のお手伝い?」
「いいや。俺たちはアンチ魔法を持つ者と戦う依頼がいいのだ」
「?。アンチ魔法?」
「ああ。パティが以前言っていたよな?アンチ魔法を持つ者と戦う時、マックスたちを守るために強くなりたいと」
パティはトグサたちと行った初めての依頼でアンチ魔法を使う敵と出会った。アンチ魔法の敵の前では、マックスたちの魔法は無効化されてしまうのだ。
パティは大切な友達を守るために血のにじむような努力をして杖を学んでいるのだ。
「ええ。アンチ魔法を使う敵と出会った事があるわ。でも、私は何もできなかった。私を指導してくれた冒険者たちが魔法を使わずに戦って倒してくれたの。だけど、アンチ魔法の敵だなんて危ないわ。最初はもっと簡単な依頼がいいんじゃないかしら」
「いいや。俺たちは急がなければいけない。いつまでもパティたちの世話になっているわけにはいかないんだ」
パティの提案に、エラルドは厳しい言葉で返した。
「それに、ロレーナの魔法は《ガーディアン》。もしロレーナが魔法を使えなくなったら、ロレーナの病気は再発する」
「!。そうだったわね、」
エラルドの言葉にパティはハッとした。元気なロレーナばかり見ていてつい忘れていたが、ロレーナは本当はとても病気がちだ。ロレーナが《ガーディアン》の魔法を発動できなければ、ロレーナは重い心臓病が再発してしまう。
「ロレーナが学ばなければいけない事はアンチ魔法の敵との戦い方だ」
「・・・、そうね。だけどアンチ魔法を使う敵と戦う依頼だなんて、とてもレベルが高い依頼よ?冒険者レベル1のエラルドでは受けられないわ?」
パティの疑問に、エラルドはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「パティ。お前の冒険者レベルはいくつだ?」
「えっ?えっと、53です」
「声が小さい!」
「はい!レベル53です!」
パティは杖の指導を受ける時のように、大声で返事をした。パティは護衛の依頼なのに、大規模盗賊団の捕縛になったり、美少女コンテストに出ただけなのに、少女誘拐犯の捕縛になったりと、予期せぬ任務遂行が多かった。
それに加えてマックスたちのおかげで、こまごました依頼は全て完了する事ができるため、パティは新人冒険者にもかかわらず、わずか半年で冒険者レベルが53まではねあがってしまった。パティとしては大変不本意だ。
「ほう、わずか半年でレベル53か。すごいじゃないかパティ。それなら話しは早い。パティを冒険者パーティの代表にして、冒険者レベル50の依頼を受ける」
「ええ!私がパティのリーダーになるの?!」
「仕方ないだろう。パティのレベルでなければ受けられないのだから」
パティは不安になり姉のマイラを見た。マイラはロレーナの肩に手を置きながらエラルドに向かって口を開いた。
「エラルド。それはロレーナにとって必要な事?」
「ああ。ロレーナが生きていくために必要な事だ」
マイラはロレーナを軽く抱きしめてからパティに向かって言った。
「パティ。エラルドの依頼を受けてちょうだい」
「!。はい!」
「ええ、私とマックスたちがいればどんな依頼も心配いらないわ。どんな依頼がいいかしら?教会の修理の依頼?農家のお手伝い?」
「いいや。俺たちはアンチ魔法を持つ者と戦う依頼がいいのだ」
「?。アンチ魔法?」
「ああ。パティが以前言っていたよな?アンチ魔法を持つ者と戦う時、マックスたちを守るために強くなりたいと」
パティはトグサたちと行った初めての依頼でアンチ魔法を使う敵と出会った。アンチ魔法の敵の前では、マックスたちの魔法は無効化されてしまうのだ。
パティは大切な友達を守るために血のにじむような努力をして杖を学んでいるのだ。
「ええ。アンチ魔法を使う敵と出会った事があるわ。でも、私は何もできなかった。私を指導してくれた冒険者たちが魔法を使わずに戦って倒してくれたの。だけど、アンチ魔法の敵だなんて危ないわ。最初はもっと簡単な依頼がいいんじゃないかしら」
「いいや。俺たちは急がなければいけない。いつまでもパティたちの世話になっているわけにはいかないんだ」
パティの提案に、エラルドは厳しい言葉で返した。
「それに、ロレーナの魔法は《ガーディアン》。もしロレーナが魔法を使えなくなったら、ロレーナの病気は再発する」
「!。そうだったわね、」
エラルドの言葉にパティはハッとした。元気なロレーナばかり見ていてつい忘れていたが、ロレーナは本当はとても病気がちだ。ロレーナが《ガーディアン》の魔法を発動できなければ、ロレーナは重い心臓病が再発してしまう。
「ロレーナが学ばなければいけない事はアンチ魔法の敵との戦い方だ」
「・・・、そうね。だけどアンチ魔法を使う敵と戦う依頼だなんて、とてもレベルが高い依頼よ?冒険者レベル1のエラルドでは受けられないわ?」
パティの疑問に、エラルドはニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「パティ。お前の冒険者レベルはいくつだ?」
「えっ?えっと、53です」
「声が小さい!」
「はい!レベル53です!」
パティは杖の指導を受ける時のように、大声で返事をした。パティは護衛の依頼なのに、大規模盗賊団の捕縛になったり、美少女コンテストに出ただけなのに、少女誘拐犯の捕縛になったりと、予期せぬ任務遂行が多かった。
それに加えてマックスたちのおかげで、こまごました依頼は全て完了する事ができるため、パティは新人冒険者にもかかわらず、わずか半年で冒険者レベルが53まではねあがってしまった。パティとしては大変不本意だ。
「ほう、わずか半年でレベル53か。すごいじゃないかパティ。それなら話しは早い。パティを冒険者パーティの代表にして、冒険者レベル50の依頼を受ける」
「ええ!私がパティのリーダーになるの?!」
「仕方ないだろう。パティのレベルでなければ受けられないのだから」
パティは不安になり姉のマイラを見た。マイラはロレーナの肩に手を置きながらエラルドに向かって口を開いた。
「エラルド。それはロレーナにとって必要な事?」
「ああ。ロレーナが生きていくために必要な事だ」
マイラはロレーナを軽く抱きしめてからパティに向かって言った。
「パティ。エラルドの依頼を受けてちょうだい」
「!。はい!」
48
お気に入りに追加
433
あなたにおすすめの小説
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
【完結】さようならと言うしかなかった。
ユユ
恋愛
卒業の1ヶ月後、デビュー後に親友が豹変した。
既成事実を経て婚約した。
ずっと愛していたと言った彼は
別の令嬢とも寝てしまった。
その令嬢は彼の子を孕ってしまった。
友人兼 婚約者兼 恋人を失った私は
隣国の伯母を訪ねることに…
*作り話です
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
[完結]回復魔法しか使えない私が勇者パーティを追放されたが他の魔法を覚えたら最強魔法使いになりました
mikadozero
ファンタジー
3月19日 HOTランキング4位ありがとうございます。三月二十日HOTランキング2位ありがとうございます。
ーーーーーーーーーーーーー
エマは突然勇者パーティから「お前はパーティを抜けろ」と言われて追放されたエマは生きる希望を失う。
そんなところにある老人が助け舟を出す。
そのチャンスをエマは自分のものに変えようと努力をする。
努力をすると、結果がついてくるそう思い毎日を過ごしていた。
エマは一人前の冒険者になろうとしていたのだった。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる