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ロレーナのひとり言7
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「マ、マイラ?パティは大丈夫よ?あんな三下に負けるパティじゃないわ」
「ええ、そうなのかもしれない。だけどね、女の子は男が守らなければいけないのよ、何よエラルド。パティを助けもしないで」
どうやらマイラはかなりご立腹のようだ。マイラのエラルドに対する評価がどんどん下がっていく。ロレーナはマイラに気づかれないように小さくため息をついた。
ロレーナは仕方なくパティとゴロツキたちの戦いを観戦する事にした。パティはロレーナとエラルドと何度も対戦した。ゴロツキなどには負けないだろう。
だが万に一つもパティが真剣を怖がる素振りを見せれば、状況は変わってくる。
真剣での戦いにおいて、相手を倒そうとする気概の強い者が勝者になるのだ。ロレーナは無意識に腰に下げた剣を握りしめた。
兄のエラルドが用意してくれたロレーナ用の剣だ。この剣はまだ研がれていない。つまり刃のないただの鉄の棒だ。
エラルドはロレーナがまだ未熟な事を熟知している。ロレーナがはんぱな剣技で相手を傷つけてしまう事を心配しているのだ。
ロレーナが自身の剣で相手を斬っても、相手を斬り裂く事はできない。相手は打撲跡が残る程度だ。たがロレーナの剣でも真剣を受ける事はできる。
もしパティが劣勢になった場合ロレーナはパティの戦いにわって入る気持ちでいた。
エラルドはパティがゴロツキどもに勝てると踏んでいるが、勝負に絶対などという言葉は存在しないのだ。
ロレーナが固唾を飲んで見守っていると、パティが動いた。パティは腹の出た男に向かって走った。
腹の出た男はオタオタと剣を水平に構えた。どうやらゴロツキたちはパティを傷つけようとする意図はないようだ。
パティは男の剣を軽くはねると、杖で男の胸を打った。男はポーンと吹っ飛ばされてしまった。
見物人たちがどっと湧き立つ。ロレーナはホッと息をはいた。
もう一人の男は、仲間を倒されて頭に血がのぼったようだ。剣をたてに構えてパティを斬り殺す心づもりだ。
ロレーナは素早く観察する。パティは動かない。エラルドもしかり。ロレーナの剣を握る手に力が入る。
パティは男の剣をはじくと、杖を回転させ男の肩に叩き込んだ。ロレーナはつめていた息をゆっくりと吐いた。
パティは戦いに勝利したのだ。ロレーナは嬉しくなってパティに走り寄ろうとするよりも早く、マイラがパティにかけ寄った。
マイラはパティを守るようにしながらエラルドを叱責している。ロレーナはあんたんたる気持ちで兄の側まで走った。
「ええ、そうなのかもしれない。だけどね、女の子は男が守らなければいけないのよ、何よエラルド。パティを助けもしないで」
どうやらマイラはかなりご立腹のようだ。マイラのエラルドに対する評価がどんどん下がっていく。ロレーナはマイラに気づかれないように小さくため息をついた。
ロレーナは仕方なくパティとゴロツキたちの戦いを観戦する事にした。パティはロレーナとエラルドと何度も対戦した。ゴロツキなどには負けないだろう。
だが万に一つもパティが真剣を怖がる素振りを見せれば、状況は変わってくる。
真剣での戦いにおいて、相手を倒そうとする気概の強い者が勝者になるのだ。ロレーナは無意識に腰に下げた剣を握りしめた。
兄のエラルドが用意してくれたロレーナ用の剣だ。この剣はまだ研がれていない。つまり刃のないただの鉄の棒だ。
エラルドはロレーナがまだ未熟な事を熟知している。ロレーナがはんぱな剣技で相手を傷つけてしまう事を心配しているのだ。
ロレーナが自身の剣で相手を斬っても、相手を斬り裂く事はできない。相手は打撲跡が残る程度だ。たがロレーナの剣でも真剣を受ける事はできる。
もしパティが劣勢になった場合ロレーナはパティの戦いにわって入る気持ちでいた。
エラルドはパティがゴロツキどもに勝てると踏んでいるが、勝負に絶対などという言葉は存在しないのだ。
ロレーナが固唾を飲んで見守っていると、パティが動いた。パティは腹の出た男に向かって走った。
腹の出た男はオタオタと剣を水平に構えた。どうやらゴロツキたちはパティを傷つけようとする意図はないようだ。
パティは男の剣を軽くはねると、杖で男の胸を打った。男はポーンと吹っ飛ばされてしまった。
見物人たちがどっと湧き立つ。ロレーナはホッと息をはいた。
もう一人の男は、仲間を倒されて頭に血がのぼったようだ。剣をたてに構えてパティを斬り殺す心づもりだ。
ロレーナは素早く観察する。パティは動かない。エラルドもしかり。ロレーナの剣を握る手に力が入る。
パティは男の剣をはじくと、杖を回転させ男の肩に叩き込んだ。ロレーナはつめていた息をゆっくりと吐いた。
パティは戦いに勝利したのだ。ロレーナは嬉しくなってパティに走り寄ろうとするよりも早く、マイラがパティにかけ寄った。
マイラはパティを守るようにしながらエラルドを叱責している。ロレーナはあんたんたる気持ちで兄の側まで走った。
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