究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

杖の修行6

　パティとロレーナがポカンとしていると、口で説明する事が苦手なエラルドは早々に行動に移した。

「ロレーナ、模擬刀を持って立て」

　ロレーナは素直に従う。エラルドなロレーナに剣の構えをさせた。エラルドはロレーナの構えをしっかり確認してから一つうなずくと、目にも止まらない速さでロレーナの模擬刀を自身の模擬刀で打ちつけた。

　カンッと木のぶつかる高い音がする。パティが驚いてロレーナを見ると、驚いた事にロレーナはエラルドの一撃を受け止めていた。

　これまで何度もロレーナはエラルドと打ち合いをしていたが、そのたびに吹っ飛ばされていた。《ガーディアン》の効果で、ケガをする事はなかったが、見ているパティが心配になるほどの転がり方をしていた。

　そんなロレーナがエラルドの攻撃に対応できたのだ。ロレーナは現状が把握できないようで、ぼんやりとしていた。

「どうだ、ロレーナ。俺の攻撃を受ける事ができただろう」
「・・・。うん、そうだね、お兄ちゃん。でも何でだろう？」
「何だ、まだわからんのか？それはお前が正しい剣の構えをしているからだ。剣の威力は、鍛えた肉体からくる力だけではない。正しい姿勢、つまり大地の力を味方につけるのだ」
「大地の力？」
「ああ。俺だとて、自分よりも大きな人間と何度も戦った事がある。だが俺は一度も負けた事はない。何故ならそれは、俺が鍛錬をおこたらない事と、常に基本に基づいた訓練をしてれいるからだ」
「剣の基本の構えがそうなの？」

　ロレーナの質問に、やっと理解したのかというような顔のエラルドが答える。

「ああ、その通りだ。ロレーナがいつも面倒くさそうにやっている剣の基本の型こそが強くなるための最大の近道なのだ」
「何だぁ、そうならそうと最初から言ってくれればいいのに。それなら私だって最初から真剣にやったのに」

　ロレーナは不服そうに頬をふくらませる。エラルドは顔をしかめる。

「バカ者。そんな事は何度も言っている。ロレーナが勝手に、ただの基本動作だと軽んじていただけだ。それに、こういう事は口で言ってもわからん、自分の身体で理解しなければいけないのだ」

　エラルドはそれだけ言うと、ロレーナを無視してパティを呼んだ。

「次、パティ」
「はい！」

　パティは杖を持ってエラルドの前に立った。心臓がドキドキと音をたてている。ロレーナはエラルドの剣を受ける事に成功した。

　だがパティはどうだろうか。パティの目から見ても、ロレーナには剣の才能がある。

　パティには剣の才能も運動神経も、戦う覚悟だって無い。パティは杖を構えながらブルブルと震え出した。