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火剣の掃除屋の信念
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パティはチャーミーたちとマックスの背中に乗って、森の中を走った。火剣の掃除屋を探すためだ。
火剣の掃除屋はマフサの出血が止まらない事に驚いている様子だった。火剣の掃除屋の魔法は、斬った傷口を炎で焼き、出血を止めて相手の命を助けるためのものだったのだ。
パティは大きくなったピンキーに乗って、ずっと火剣の掃除屋とマフサのやりとりを傍観していた。
火剣の掃除屋の行動を見て、マイラの考えは正しいのだと確信した。火剣の掃除屋は誰も殺したくないのだ。それならば何故犯罪者の怨みを買うような掃除屋の仕事をしているのだろうか。パティはそれが知りたかった。
パティはマックスに乗ってかなりの速さで走っているが、中々火剣の掃除屋に追いつく事ができなかった。火剣の掃除屋の走る速度はとても速かった。
マックスはしばらく走ってから急に立ち止まり、ワンと鳴いた。この近くに火剣の掃除屋が隠れているというのだ。
パティはマックスからおりると、木々の陰に隠れているであろう火剣の掃除屋に声をかけた。
「火剣の掃除屋さん。出てきてくれないかしら?私たちは貴方の敵ではないわ。貴方と話しがしたいの」
しばらくすると、木々の間からスルリと人が現れた。長身の男で、顔を布でおおっていた。火剣の掃除屋だ。布におおわれていないアイスブルーの目だけがパティをジッと見つめていた。パティはその瞳が綺麗だと思った。
「俺が手を斬った男はどうなった?」
「マフサのケガは治したわ。命だけは助けた。だけど魔法は手に付与されていたの、もうマフサは魔法を使えない」
「・・・。それでいい。あの者は俺を倒そうとするために、平気で仲間を殺そうとした。人の命を奪う事に、何の良心の呵責の起こらない人間は、大きな力を持つにふさわしくない」
「・・・。大きな力?」
「ああ。俺は神から《ファイヤーソード》を授かった。とても強力で、使いようによってはたくさんの人の命を奪うかもしれない魔法だ。俺はこの魔法を、誰かを守るために使いたいのだ」
パティは火剣の掃除屋の信念に感激した。火剣の掃除屋は授かった魔法を己のためではなく、人のために使いたいといっているのだ。掃除屋はすんだ瞳でパティを見て言った。
「娘、お前の魔法は治癒なのか?」
「いいえ。私の魔法は《フレンド》。マックスは火魔法を、チャーミーは土魔法を、ピンキーは風魔法を、そしてアクアは水魔法を使います。そして皆が同時に魔法を使えば、生物の時間を巻き戻す事ができます。だからマフサの手を再生させて命を助ける事ができたんです」
火剣の掃除屋が目をみはった。パティの魔法の脅威に気づいたからだ。パティの魔法は考え方によっては恐ろしい魔法だ。だがパティは火剣の掃除屋に嘘をつきたくなかった。誠意をしめしたかったのだ。
火剣の掃除屋はマフサの出血が止まらない事に驚いている様子だった。火剣の掃除屋の魔法は、斬った傷口を炎で焼き、出血を止めて相手の命を助けるためのものだったのだ。
パティは大きくなったピンキーに乗って、ずっと火剣の掃除屋とマフサのやりとりを傍観していた。
火剣の掃除屋の行動を見て、マイラの考えは正しいのだと確信した。火剣の掃除屋は誰も殺したくないのだ。それならば何故犯罪者の怨みを買うような掃除屋の仕事をしているのだろうか。パティはそれが知りたかった。
パティはマックスに乗ってかなりの速さで走っているが、中々火剣の掃除屋に追いつく事ができなかった。火剣の掃除屋の走る速度はとても速かった。
マックスはしばらく走ってから急に立ち止まり、ワンと鳴いた。この近くに火剣の掃除屋が隠れているというのだ。
パティはマックスからおりると、木々の陰に隠れているであろう火剣の掃除屋に声をかけた。
「火剣の掃除屋さん。出てきてくれないかしら?私たちは貴方の敵ではないわ。貴方と話しがしたいの」
しばらくすると、木々の間からスルリと人が現れた。長身の男で、顔を布でおおっていた。火剣の掃除屋だ。布におおわれていないアイスブルーの目だけがパティをジッと見つめていた。パティはその瞳が綺麗だと思った。
「俺が手を斬った男はどうなった?」
「マフサのケガは治したわ。命だけは助けた。だけど魔法は手に付与されていたの、もうマフサは魔法を使えない」
「・・・。それでいい。あの者は俺を倒そうとするために、平気で仲間を殺そうとした。人の命を奪う事に、何の良心の呵責の起こらない人間は、大きな力を持つにふさわしくない」
「・・・。大きな力?」
「ああ。俺は神から《ファイヤーソード》を授かった。とても強力で、使いようによってはたくさんの人の命を奪うかもしれない魔法だ。俺はこの魔法を、誰かを守るために使いたいのだ」
パティは火剣の掃除屋の信念に感激した。火剣の掃除屋は授かった魔法を己のためではなく、人のために使いたいといっているのだ。掃除屋はすんだ瞳でパティを見て言った。
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火剣の掃除屋が目をみはった。パティの魔法の脅威に気づいたからだ。パティの魔法は考え方によっては恐ろしい魔法だ。だがパティは火剣の掃除屋に嘘をつきたくなかった。誠意をしめしたかったのだ。
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