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アンジェ2
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アンジェは決してグルニア国の有力者たちの前に姿はあらわさず、自身の家臣たちを操って、グルニア国の様子を探っていた。
その間アンジェはグルニア国にある街々に自分の屋敷を建てた。アンジェは永遠に十歳の姿なのだ。アンジェは数年ごとに住む場所を点々としなければ、アンジェの事を怪しむ者が出てくるとも限らなかった。
数百年は変わらぬ日々が続いた。だがついにグルニア国は、アンジェの母国であるパンドール国に牙をむいたのだ。
それまで歴史の長いパンドール国を先進の国と尊ぶようなそぶりを見せていて、本心はパンドール国の高い技術や資源を奪う事が目的だったのだ。
アンジェは母国を守るため立ち上がった。すぐさまパンドール国にいる忠臣たちの子孫に指示を送り、アンジェが蓄えていた財産でパンドール国を守るようにした。
グルニア国内部でもアンジェは手を回した。アンジェは長い年月と共に、グルニア国の貴族と太いパイプを築いていたのだ。
アンジェは貴族からグルニア国王に、パンドール国民の命だけは助けてくれるように働きかけた。
アンジェのかげの努力が功を奏し、パンドール国王の処刑、パンドール国の王子家族をグルニア国の人質にする事、パンドール国から技術者と美しい者たちを送る事で平和条約が締結された。
パンドール国の犠牲は少なくはなかったが、アンジェの愛するパンドール国を守る事には成功した。
アンジェの次の仕事は、グルニア国に送られた奴隷たちを買い戻す事だ。アンジェはグルニア国のほとんどの大きな街に屋敷を持ち、そこに忠実な部下たちをおいている。
部下たちにはただちに奴隷商人たちとコンタクトを取らせ、奴隷にされたパンドール国民を買い戻していった。
その中の一人がターニャだった。ターニャは奴隷としてグルニア国に連れてこられた時は十二歳だった。ターニャはその美しさが災いして奴隷として連れてこられたのだ。
アンジェはターニャを一目で気に入り、自分のメイドとして側に置いた。ターニャが成長してからは、アンジェの母親として共にいる事が当たり前になった。
そこまで話し終えるとアンジェはフウッと息をついて言葉を切った。
パティはいつの間にか泣いていた。アンジェの長い長い人生を聞いて。そしてアンジェはこれからも生きていかなければならないのだ。
泣いているパティを見て、アンジェは軽口をたたいた。
「パティ、何を泣いている?神の怒りをかったわたくしを憐れんでいるのか?」
「いいえ、いいえ違います。神さまはアンジェさんに怒ってなんかいません!神さまは、強くて高潔な心を持っているアンジェさんだから、《不老不死》を授けたんです。アンジェさんが私たちパンドール国民の事を守ってくれていたなんて。私、アンジェさんにお会いできて本当に良かったです」
「パティ、」
アンジェは驚いた表情で、パティを見つめた。
その間アンジェはグルニア国にある街々に自分の屋敷を建てた。アンジェは永遠に十歳の姿なのだ。アンジェは数年ごとに住む場所を点々としなければ、アンジェの事を怪しむ者が出てくるとも限らなかった。
数百年は変わらぬ日々が続いた。だがついにグルニア国は、アンジェの母国であるパンドール国に牙をむいたのだ。
それまで歴史の長いパンドール国を先進の国と尊ぶようなそぶりを見せていて、本心はパンドール国の高い技術や資源を奪う事が目的だったのだ。
アンジェは母国を守るため立ち上がった。すぐさまパンドール国にいる忠臣たちの子孫に指示を送り、アンジェが蓄えていた財産でパンドール国を守るようにした。
グルニア国内部でもアンジェは手を回した。アンジェは長い年月と共に、グルニア国の貴族と太いパイプを築いていたのだ。
アンジェは貴族からグルニア国王に、パンドール国民の命だけは助けてくれるように働きかけた。
アンジェのかげの努力が功を奏し、パンドール国王の処刑、パンドール国の王子家族をグルニア国の人質にする事、パンドール国から技術者と美しい者たちを送る事で平和条約が締結された。
パンドール国の犠牲は少なくはなかったが、アンジェの愛するパンドール国を守る事には成功した。
アンジェの次の仕事は、グルニア国に送られた奴隷たちを買い戻す事だ。アンジェはグルニア国のほとんどの大きな街に屋敷を持ち、そこに忠実な部下たちをおいている。
部下たちにはただちに奴隷商人たちとコンタクトを取らせ、奴隷にされたパンドール国民を買い戻していった。
その中の一人がターニャだった。ターニャは奴隷としてグルニア国に連れてこられた時は十二歳だった。ターニャはその美しさが災いして奴隷として連れてこられたのだ。
アンジェはターニャを一目で気に入り、自分のメイドとして側に置いた。ターニャが成長してからは、アンジェの母親として共にいる事が当たり前になった。
そこまで話し終えるとアンジェはフウッと息をついて言葉を切った。
パティはいつの間にか泣いていた。アンジェの長い長い人生を聞いて。そしてアンジェはこれからも生きていかなければならないのだ。
泣いているパティを見て、アンジェは軽口をたたいた。
「パティ、何を泣いている?神の怒りをかったわたくしを憐れんでいるのか?」
「いいえ、いいえ違います。神さまはアンジェさんに怒ってなんかいません!神さまは、強くて高潔な心を持っているアンジェさんだから、《不老不死》を授けたんです。アンジェさんが私たちパンドール国民の事を守ってくれていたなんて。私、アンジェさんにお会いできて本当に良かったです」
「パティ、」
アンジェは驚いた表情で、パティを見つめた。
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