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姉たちへの贈り物
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パティとマックスたちは冒険者協会で依頼される小さな依頼を率先して受けた。農家のお手伝いや壊れてしまった家の修復。
普通の冒険者が嫌がるような、報酬の安い期間の長い仕事だ。パティの尊敬する冒険者であり、愛すべき家族であるトグサたちは、このような依頼を多くこなしている。
今回のパティたちの依頼は、オプラという街の古くなった集会所の修復のお手伝いだった。チャーミーの土魔法で木材を作り、大きくなったマックスが木材を運んでいく。
いつものようにパティは街の女性たちと一緒にお茶運びだ。ようやく集会所の修復も終わり、依頼は完了した。パティは依頼料としていくばくかの金を手にした。
パティは肩にピンキーを乗せショルダーバックに小さくなったマックスとチャーミー、アクアを入れて街のショッピング街をおとずれた。
王都の城下町ほどではないが、オプラはにぎやかな街だった。パティはここで探し物をしていた。大好きな姉たちへの贈り物だ。
パティは姉であるマイラとデイジーからドレスをプレゼントしてもらった。そのお返しにマイラとデイジーに何か贈り物をしたいと考えていた。
マイラはともかくデイジーは冒険者だ。旅をしている者にかさばる贈り物はよくない。そのため彼女たちにアクセサリーを贈ろうと考えたのだが、これが中々決まらない。
デイジーは褐色の肌に、真っ赤な赤毛の美女だ。対するマイラは金髪に青い瞳の美しい女性だ。二人とも美しい女性だが、タイプが違いすぎるのだ。
マイラとデイジーはくだらない事でいつも言い合いをしている。やれパティは私の事が一番好きなのだ。いいやあたしの方がパティに好かれている、と。
パティがマイラとデイジーに別々のアクセサリーを贈れば、きっとケンカが起きるだろう。二人への贈り物は同じアクセサリーが望ましい。
パティが真剣な顔で露店を見ていると、アクセサリーを売る店を見つけた。店先には赤や青や黄色など色とりどりの宝石のペンダントやバングルがところせましと並んでいた。
パティはマイラとデイジーの顔を思い浮かべながらどれがいいかと考えていると、店主に声をかけてられた。
「美しいお嬢さん。何をお探しでしょう?」
パティがギクリとして顔をあげると、満面の笑みを浮かべた店主の男が立っていた。
パティはしどろもどろになりながら二人の姉へのプレゼントを探していると伝えた。
「それならばお姉さんたちの髪や瞳の色で宝石を選ぶのはいかがでしょうか?」
店主のアドバイスに、パティは二人には同じ物を贈りたいと伝えた。
「では、どの方にも似合うダイヤモンドのペンダントはいかがでしょう?」
店主はそう言って、露店に並んでいるしずく型にカットされた透明な宝石のペンダントをパティに手渡した。
これがダイヤモンド。パティはずっと村で暮らしていたため、宝石などの宝飾品に縁がなかった。そのため宝石など実際に目にしたのは冒険者になってからだ。
パティはたくさんの宝石店で宝石を見ても、良し悪しはよくわからなかった。ダイヤモンドは確かにキラキラして綺麗だった。
パティの心が動いていると見てとった店主はこう提案した。
「では二人のお姉さんのために、本来ならこのダイヤのペンダントは金貨十枚の値段ですが、二つで金貨十枚でお譲りいたしますよ?」
金貨十枚。パティは頭を鈍器で殴られたような衝撃を覚えた。ダイヤモンドとはそんなに高いものなのか。
パティは冒険者になって生まれて初めて仕事をして報酬を受け取った。生まれ育った村では考えられないような金を持っている。
そう、金ならある。護衛のお手伝いが大規模盗賊団の捕縛になったり、祭りの美少女コンテストに出場したら、少女誘拐犯を捕まえたりして受け取った金だ。
この金で大切なジョナサン神父とチコリおばあちゃんに贈り物ができたのだ。
パティの大好きな姉であるマイラとデイジーにも贈り物がしたい。パティはゴクリとツバを飲み込んでから答えた。
「はい、ダイヤモンドのネックレス。金貨十枚でお譲りください」
パティの言葉に、店主は少しちゅうちょする表情をした。
パティは背中のリュックサックをおろして、ガサゴソと金の入った袋を取り出そうとした時、ある者が声をかけた。
「おい、店主。それがダイヤなどと、嘘を申すでない」
普通の冒険者が嫌がるような、報酬の安い期間の長い仕事だ。パティの尊敬する冒険者であり、愛すべき家族であるトグサたちは、このような依頼を多くこなしている。
今回のパティたちの依頼は、オプラという街の古くなった集会所の修復のお手伝いだった。チャーミーの土魔法で木材を作り、大きくなったマックスが木材を運んでいく。
いつものようにパティは街の女性たちと一緒にお茶運びだ。ようやく集会所の修復も終わり、依頼は完了した。パティは依頼料としていくばくかの金を手にした。
パティは肩にピンキーを乗せショルダーバックに小さくなったマックスとチャーミー、アクアを入れて街のショッピング街をおとずれた。
王都の城下町ほどではないが、オプラはにぎやかな街だった。パティはここで探し物をしていた。大好きな姉たちへの贈り物だ。
パティは姉であるマイラとデイジーからドレスをプレゼントしてもらった。そのお返しにマイラとデイジーに何か贈り物をしたいと考えていた。
マイラはともかくデイジーは冒険者だ。旅をしている者にかさばる贈り物はよくない。そのため彼女たちにアクセサリーを贈ろうと考えたのだが、これが中々決まらない。
デイジーは褐色の肌に、真っ赤な赤毛の美女だ。対するマイラは金髪に青い瞳の美しい女性だ。二人とも美しい女性だが、タイプが違いすぎるのだ。
マイラとデイジーはくだらない事でいつも言い合いをしている。やれパティは私の事が一番好きなのだ。いいやあたしの方がパティに好かれている、と。
パティがマイラとデイジーに別々のアクセサリーを贈れば、きっとケンカが起きるだろう。二人への贈り物は同じアクセサリーが望ましい。
パティが真剣な顔で露店を見ていると、アクセサリーを売る店を見つけた。店先には赤や青や黄色など色とりどりの宝石のペンダントやバングルがところせましと並んでいた。
パティはマイラとデイジーの顔を思い浮かべながらどれがいいかと考えていると、店主に声をかけてられた。
「美しいお嬢さん。何をお探しでしょう?」
パティがギクリとして顔をあげると、満面の笑みを浮かべた店主の男が立っていた。
パティはしどろもどろになりながら二人の姉へのプレゼントを探していると伝えた。
「それならばお姉さんたちの髪や瞳の色で宝石を選ぶのはいかがでしょうか?」
店主のアドバイスに、パティは二人には同じ物を贈りたいと伝えた。
「では、どの方にも似合うダイヤモンドのペンダントはいかがでしょう?」
店主はそう言って、露店に並んでいるしずく型にカットされた透明な宝石のペンダントをパティに手渡した。
これがダイヤモンド。パティはずっと村で暮らしていたため、宝石などの宝飾品に縁がなかった。そのため宝石など実際に目にしたのは冒険者になってからだ。
パティはたくさんの宝石店で宝石を見ても、良し悪しはよくわからなかった。ダイヤモンドは確かにキラキラして綺麗だった。
パティの心が動いていると見てとった店主はこう提案した。
「では二人のお姉さんのために、本来ならこのダイヤのペンダントは金貨十枚の値段ですが、二つで金貨十枚でお譲りいたしますよ?」
金貨十枚。パティは頭を鈍器で殴られたような衝撃を覚えた。ダイヤモンドとはそんなに高いものなのか。
パティは冒険者になって生まれて初めて仕事をして報酬を受け取った。生まれ育った村では考えられないような金を持っている。
そう、金ならある。護衛のお手伝いが大規模盗賊団の捕縛になったり、祭りの美少女コンテストに出場したら、少女誘拐犯を捕まえたりして受け取った金だ。
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パティの大好きな姉であるマイラとデイジーにも贈り物がしたい。パティはゴクリとツバを飲み込んでから答えた。
「はい、ダイヤモンドのネックレス。金貨十枚でお譲りください」
パティの言葉に、店主は少しちゅうちょする表情をした。
パティは背中のリュックサックをおろして、ガサゴソと金の入った袋を取り出そうとした時、ある者が声をかけた。
「おい、店主。それがダイヤなどと、嘘を申すでない」
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