究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

犯人

　馬車はひたすら走り続けた。きっと誘拐犯たちのアジトに向かっているのだろう。

　馬車の外に出たマックスたちから、パティに状況報告がしきりにきていた。パティとマックスたちは、心がつながっているため、離れていても意識を共有する事ができるのだ。

　ピンキーが上空から幌馬車を見下ろすと、城下町からおよそ一キロ離れた場所だという事がわかった。

　マックスとチャーミーは姿隠しの魔法を使ったまま、馬車と並走していた。パティの合図でいつても助けに入れる状態だ。

　パティはジェシカとセーラと共にひたすら待ち続けた。ふとパティの脳裏に声が響いた。姉であるマイラの声だ。

〔パティ、聞こえる？〕

　マイラ。パティは嬉しくなって思わずうなずいた。マイラの《ボイス》は一方通行。パティの声はマイラに聞こえない。

〔パティ、落ち着いて聞いて？パティたちは今、城下町を騒がせている少女誘拐犯たちに捕まっているの。パティたちの立っていたステージの上に、三つの大きな石が出現したわ。犯人はパティたちと石を入れ替えたの。トグサが言うには、この魔法は《リプレイス》物体を入れ替える魔法なの。これからトグサの話しを伝えるわ〕

　城下町で犯罪を起こす少女誘拐犯。そういえばデイジーたちが手がけていた冒険者の依頼だ。

　パティが美少女コンテストに参加する前、デイジーに仕事は大丈夫なのかとたずねると、おおかた解決したから大丈夫だと答えていた。

　おそらくデイジーたちは美少女コンテストの上位者が誘拐されるとふんでいたのだ。マイラの声は続く。

〔エリオが《バードアイ》でパティたちの乗っている馬車を見つけたわ。何かあったらすぐに助けに行ける。だけど、トグサたちは誘拐犯のアジトを突き止めたいの。他にも捕まっている女の子たちがいるはずだから。パティ、そのまま誘拐犯たちのアジトまで行ってほしいの〕

　パティはコクリとうなずいた。マイラはひと呼吸置いてから言葉を続ける。

〔パティ、トグサたちが言うには、機動力のためにマックスとチャーミーを城下町の広場によこしてほしい、ですって〕

　パティはうなずいてマックスとチャーミーに意思を送った。城下町に戻ってトグサたちと落ち合って、と。

　マックスとチャーミーはすぐさま答えて、馬車と反対方向に走り出した。