究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

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美少女コンテスト

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 美少女コンテストには城下町で評判の美少女が三十人も参加する。城下町の有識者たちが審査員となり、三十名から上位三名が選ばれる。そこから観覧者の投票で一番の美少女が決まるというのだ。

 パティは最初の審査で落とされると思っているので、落ち着いていた。周りには花が咲いたような美しい美少女だらけだったからだ。

 城下町の中心にある広場が美少女コンテストの会場で、三十人の少女たちは一人一人ステージに上がって自己紹介をしなければならない。

 それまでまったく緊張していなかったパティだったが、だんだんと自分の番が近づくにつれて緊張が高まってきた。

 ブルブル震えるパティの手に、フワフワの感触を感じた。マックスがパティの手にすり寄って、大丈夫だよといってくれたのだ。

 パティは一人ではない、いつも側にいてくれる友達がいるのだ。パティはグッとこぶしを握ると、ステージの階段を上がった。

 パティがステージ上に立った途端、それまで騒がしかった観衆が静かになった。

 やはりパティのような外見の者がしゃしゃり出てくるような場所ではなかったのだ。パティは後悔して身体が震え出した。ふと目の前の観衆の中に、マイラとデイジーを見つけた。

 パティの姉になってくれた大切な人たち。デイジーの側には、パティの家族であるエリオ、コジモ、トグサがいた。

 皆あたたかい目でパティを見上げていた。パティはスウッと息を吸ってから口を開いた。

「私はパティといいます。今年冒険者になった新人です。これからたくさん経験を積んで、皆さんのお役に立てる冒険者になります。よろしくお願いします」

 パティは自己紹介を言い終えると、深くおじぎをした。すると割れんばかりの拍手と歓声が広場中に響き渡った。パティはホッとしてステージを降りた。

 三十人の少女たちがあいさつを終え、審査の段階になった。パティは上位に上がれるとは思っていないので、ぼんやりとキャラキャラと楽しそうに話している少女たちを見つめていた。

 少女たちは皆知り合いらしく、楽しそうにドレスやアクセサリーの事を話していた。

 パティには同い年の女の子の友達はいなかった。チャーミーとピンキーは女の子ではあるのだが、ドレスやアクセサリーの話しはできない。

 パティはドミノ村で、楽しそうにおしゃべりをする女の子たちを羨望のまなざしで見ていた。

 ついに審査結果が出たようで、司会者がステージに上がって、上位三名の美少女の名前を読み上げた。

「ゼンダ商店のジェシカ。パルム服飾店のセーラ。冒険者のパティ」




 
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