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祭り

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 ついに祭りの日がやってきた。城下町は普段よりもさらに賑やかで、食事や菓子を売る露天がところせましと並んだ。

 パティは小さくなったマックスたちをショルダーバックに入れ、肩にピンキーを乗せて祭りをねり歩いた。

 マイラは昼は冒険者協会の仕事だが、夕方にはパティと合流して、美少女コンテストに出る手伝いをしてくれるのだ。

 パティは初めての祭りを楽しげに見てまわった。ドミノ村にも収穫祭はあったが、のけ者のパティは祭りに行く事ができなかった。

 パティはたくさんの人でごったがえす中、黒髪の人を見かけて微笑んだ。城下町にはたくさんの黒髪や黒い瞳をした者たちがせわしなく歩いていた。みな黒髪や黒い瞳で差別される事はないのだ。

 パティは昼食を、牛肉の焼き串に決めて、薪を売って稼いだお金で購入した。

 牛肉の焼き串は、歯応えのあるジュウシーな美味しさだった。マックスたちには珍しい果物を買った。

 プラムという甘酸っぱい果物でとても美味しかった。マックスたちも喜んで食べてくれる。チャーミーは食べながらニャッと言った。

 一度食べた果物は植物魔法で作る事ができると。それならば姉のマイラとデイジーにも食べさせてあげられると考え、パティは喜んだ。

 やがて日は暮れ、祭りは最高潮に達した。パティたちがマイラの家に帰ると、すでにマイラとデイジーが待っていた。パティは湯浴みをし、マイラに髪を結ってもらった。

 ついにドレスにとでを通すと、マイラとデイジーがため息をもらした。

「パティ、とっても素敵よ?」
「さっすが、あたしの妹だけあるわね」

 マックスたちもしきりに似合っていると言ってくれた。パティは自分の姿が見たくて、アクアにお願いをした。

 アクアは水魔法で大きな姿見の鏡を作ってくれた。パティがドキドキしながら鏡をのぞきこむと、そこには美しいドレスを着た、可愛らしい少女が頬を染めて立っていた。

 パティはここで、自分の容姿を客観的に見る事ができた。パティは小さい頃から、自分は醜いのだと考えて育ってきたが、素敵なドレスを着て飾り立てたら、そんなに悪くないのではないかと思った。

 デイジーは《フラワー》でスイートピーやマーガレットを出現させ、髪飾りを作ってくれた。パティが髪飾りを着けると、すべての支度が整った。

 パティは足元で嬉しそうにプクプク言っているアクアに手を差し伸べた。アクアがテコテコパティの手のひらに乗ってくる。

 パティがドレス作りで一つ注文をつけたのは、アクアが入れるポケットを作ってもらう事だ。

「アクア、狭くてごめんね?一緒にいてくれる?」
「プクプク!」

 アクアは任せておけと言ってくれた。パティはポケットにアクアを入れると、マックスたちにも声をかけた。

「皆、姿を消して私の側にいてくれる?」
「ワン!」
「ニャァ!」
「ピィ!」

 マックスたちが元気よく返事をすると、途端に姿を消した。それを見たマイラとデイジーは驚いた顔をした。マイラか心配そうにたずねた。

「マックスたちはどこに行っちゃったの?パティ」
「マックスたちには姿隠しの魔法を使ってもらっているんです」

 デイジーは便利ねぇ、と呟いた。
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