64 / 212
アルバイト
しおりを挟む
パティは寝室に置かれている、トルソーに着せられたドレスをため息をつきながら見つめていた。
何度見ても美しかった。パティは淡いブルーのドレスのフリルに指をはわせた。このドレスをこれから着る事ができるのだ。美少女コンテストに出る事は気が進まないが、このドレスにそでを通せる事が楽しみで仕方なかった。
「また見てたの?」
「はい、マイラ。このドレス、とっても綺麗なんですもの」
「そうよ、何たって私とデイジーが丹精こめてデザインしたんだから」
「ええ、本当にありがとうございます」
デイジーはトグサたちと一緒に、短期の依頼に出発した。パティの出場する、美少女コンテストには絶対応援に行くと宣言して。
パティもマックスたちと短期の冒険者の依頼に行きたかったが、マイラに止められた。美少女コンテストまでに確実に帰ってこられる保証がないというのだ。
パティたちは美少女コンテストのあるお祭りまで、ずっとマイラの家にいたらいいと言ってもらった。だが働かないわけにはいかない。
働かざる者食うべからずだ。パティはマイラの家に厄介になっている間、マイラの家の事一切をやる事にした。炊事洗濯掃除。これまで教会でやっていた事なので、苦にはならなかった。
パティは家事の空いた時間に仕事をしたいと考えた。パティはお金を貯めたかった。お金を貯めて、お世話になったジョナサン神父とチコリばあさんに恩返しがしたかったのだ。
パティがマイラに相談すると、彼女はある提案をしてくれた。
「それならアルバイトをしなさいよ、パティ。パティたちの作ってくれた薪、とてもよく燃えるわ。これなら商品として売れる」
パティたちはたくさんの薪を作って、マイラが紹介してくれた食堂に薪を売りに行く事にした。
マイラは知り合いの食堂や宿屋の名前と場所を書いたリストを渡してくれた。指示された食堂に行くと、店主の女房がこころよく対応してくれた。
「ああ、マイラが紹介してくれた冒険者だね?マイラの連れてくる子たちはとてもいい子だからね」
マイラは勝手のわからない新人冒険者のアルバイト先をあっせんする事もあるらしい。
マイラがこの人物ならばと思った新人冒険者を、知り合いの食堂や宿屋で一定期間働かせてくれるのだ。
このシステムはよく機能して、仕事でうまく成果の出ない新人冒険者は、いいこづかい稼ぎになるし、食堂側としても、忙しい時に短期のアルバイトを雇えると喜んでいるのだ。
食堂の女房は、パティが手渡した薪を両手に持って、カンと叩いて鳴らした。澄んだ高い音が鳴る。
「これはいい薪だね。そこにあるの全部買わせてもらうよ」
パティは一瞬にして、マックスの背中に乗っていた薪を売る事ができた。
パティたちはたくさんの薪を作って売り、お祭りまでにたくさんの金を稼ぐ事ができた。
何度見ても美しかった。パティは淡いブルーのドレスのフリルに指をはわせた。このドレスをこれから着る事ができるのだ。美少女コンテストに出る事は気が進まないが、このドレスにそでを通せる事が楽しみで仕方なかった。
「また見てたの?」
「はい、マイラ。このドレス、とっても綺麗なんですもの」
「そうよ、何たって私とデイジーが丹精こめてデザインしたんだから」
「ええ、本当にありがとうございます」
デイジーはトグサたちと一緒に、短期の依頼に出発した。パティの出場する、美少女コンテストには絶対応援に行くと宣言して。
パティもマックスたちと短期の冒険者の依頼に行きたかったが、マイラに止められた。美少女コンテストまでに確実に帰ってこられる保証がないというのだ。
パティたちは美少女コンテストのあるお祭りまで、ずっとマイラの家にいたらいいと言ってもらった。だが働かないわけにはいかない。
働かざる者食うべからずだ。パティはマイラの家に厄介になっている間、マイラの家の事一切をやる事にした。炊事洗濯掃除。これまで教会でやっていた事なので、苦にはならなかった。
パティは家事の空いた時間に仕事をしたいと考えた。パティはお金を貯めたかった。お金を貯めて、お世話になったジョナサン神父とチコリばあさんに恩返しがしたかったのだ。
パティがマイラに相談すると、彼女はある提案をしてくれた。
「それならアルバイトをしなさいよ、パティ。パティたちの作ってくれた薪、とてもよく燃えるわ。これなら商品として売れる」
パティたちはたくさんの薪を作って、マイラが紹介してくれた食堂に薪を売りに行く事にした。
マイラは知り合いの食堂や宿屋の名前と場所を書いたリストを渡してくれた。指示された食堂に行くと、店主の女房がこころよく対応してくれた。
「ああ、マイラが紹介してくれた冒険者だね?マイラの連れてくる子たちはとてもいい子だからね」
マイラは勝手のわからない新人冒険者のアルバイト先をあっせんする事もあるらしい。
マイラがこの人物ならばと思った新人冒険者を、知り合いの食堂や宿屋で一定期間働かせてくれるのだ。
このシステムはよく機能して、仕事でうまく成果の出ない新人冒険者は、いいこづかい稼ぎになるし、食堂側としても、忙しい時に短期のアルバイトを雇えると喜んでいるのだ。
食堂の女房は、パティが手渡した薪を両手に持って、カンと叩いて鳴らした。澄んだ高い音が鳴る。
「これはいい薪だね。そこにあるの全部買わせてもらうよ」
パティは一瞬にして、マックスの背中に乗っていた薪を売る事ができた。
パティたちはたくさんの薪を作って売り、お祭りまでにたくさんの金を稼ぐ事ができた。
114
お気に入りに追加
433
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
婚約者の浮気現場に踏み込んでみたら、大変なことになった。
和泉鷹央
恋愛
アイリスは国母候補として長年にわたる教育を受けてきた、王太子アズライルの許嫁。
自分を正室として考えてくれるなら、十歳年上の殿下の浮気にも目を瞑ろう。
だって、殿下にはすでに非公式ながら側妃ダイアナがいるのだし。
しかし、素知らぬふりをして見逃せるのも、結婚式前夜までだった。
結婚式前夜には互いに床を共にするという習慣があるのに――彼は深夜になっても戻ってこない。
炎の女神の司祭という側面を持つアイリスの怒りが、静かに爆発する‥‥‥
2021年9月2日。
完結しました。
応援、ありがとうございます。
他の投稿サイトにも掲載しています。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる