究極妹属性のぼっち少女が神さまから授かった胸キュンアニマルズが最強だった

盛平

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パティのお手伝い

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 マイラが冒険者協会の受付の仕事に行っている間、パティとマックスたちはマイラの家の掃除をする事にした。

 二日もお世話になっているのだ、パティたちは働かなければいけない。マイラの家は小さいので、掃除はすぐに終わった。

 次は薪作りだ。パティはマックスたちを連れて森に入ると、チャーミーにお願いした。木を育てて、と。チャーミーはニャッと返事をして、前脚で地面をつついた。

 地面から木の芽が伸び出し、巨木になった。次にピンキーが風魔法で大木に薪の大きさにカットした。その次にアクアが水魔法で雨を降らせ、木の中の樹液を洗い流した。こうすると早く薪を乾燥させられるのだ。

 最後はマックスの火魔法で薪を乾燥させる。パティは出来上がった薪を二本、両手に持ってカンと打ちつけた。乾いた高い音がする。良い薪の完成だ。

 大きくなったマックスとチャーミーの背中にたくさんの薪を積み上げて運んでもらう。今夜はマイラのためにパティが料理をするのだ。

 パティたちがマイラの家に戻ると、昼頃だった。デイジーがパティたちを昼食に誘いに来た。トグサたちとお昼を一緒にしようというのだ。

 トグサたちはパティの家族だ。パティは喜んでデイジーとマックスたちと一緒に店に向かった。

 トグサたちが冒険者の依頼から戻ると、いつもねぐらにしている宿屋の一階が食堂になっている。

 パティたちが食堂に入ると、気づいたコジモが手を振ってくれた。パティは小さくなったマックスたちが入ったショルダーバックを膝に置いて、席についた。パティの肩にはピンキーがとまる。

 エリオは食事の間、パティたちと離れていた間の冒険者の依頼の事を面白おかしく話してくれた。

 トグサたちはパティたちがどのような冒険者の依頼をこなしたのかしきりに質問した。

 パティは教会を作る手伝いをした事。歩く練習をしている時に出会った不死の老人の事を話した。トグサはひとしきりパティの話しを聞いた後、うなずいた。

「パティが経験したすべての事が学びになる。不死を願った老人の気持ちは、パティにはわからないかもしれない。私だって、彼の気持ちは理解できない。だが人は理解しなければいけない存在ではないと私は思う。パティは不死の老人を隣人として受け入れた。それで充分なのではないかな」

 トグサのおだやかな言葉が、パティの心にじんわり広がった。パティは不死の老人と出会って、少なからず動揺した。

 神さまの授ける魔法にじゃっかんの恐怖を感じたのも事実だ。トグサたちに胸のうちを話して、少しだけ心が軽くなった。

 重い空気になってしまったテーブルで、デイジーが口を開いた。

「ねぇ、聞いて?パティがね、今度の城下町のお祭りで、美少女コンテストに出場するの!」
「何?!パティが?それなら優勝したも同然だな!俺たちも応援に行こうぜ!」

 エリオは手に持ったエールのジョッキをかかげて大声で言った。

「エ、エリオさん!私なんかが優勝するわけないじゃないですか!」

 盛り上がるエリオを、パティは慌てて止める。エリオのとなりで肉にかぶりついているコジモが言った。

「そんな事ないよ。何たってパティは僕らの妹なんだ。きっと優勝するよ」


 パティは美少女コンテストに出て、観客に罵倒されたら嫌だなと思ったが、パティの家族たちが応援に来てくれるなら参加してみてもいいかと思った。
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