56 / 212
出会い
しおりを挟む
パティは注意深くブーツを脱ぐと、靴下を見た。やはり血がにじんている。パティは気合いを入れて靴下を脱ぐと、涙が出るほど痛かった。
ショルダーバックの中のアクアがプクプク言う。血で汚れているから、そのまま治癒魔法はできない。まずは水で綺麗にする、との事。
パティは目をかたくつむってからお願いした。
「アクア、皆。お願い!」
次の瞬間、パティの足に勢いよく水がかかった。水は傷口に染みてとても痛かった。その直後、ズキズキとする痛みが潮を引くように消えていった。
パティが目を開くと、自分の両足がキラキラと輝いていた。
「皆ありがとう。もう痛くないわ」
パティは荷物から洗いざらしの靴下を取り出してはいた。マックスがパティを見上げて鳴いた。
「ワンワン」
「そうね。ちょっと休憩しようかしら」
マックスの提案でパティたちは休憩場所を探す事にした。ピンキーが先立って場所を探してくれる。
それまでパティは馬車道の横の草むらに座り込んでいた。
「ピィピィ!」
馬車道の横の、森の中を飛んでいたピンキーが、パティの頭上で激しく鳴いた。
「本当なの?!ピンキー。人が倒れているの?!」
ピンキーの鳴き声にパティは立ち上がってかけだした。ピンキーは空を飛びながらパティたちを先導する。
パティたちは森の中に入った。草むらのある場所で、ピンキーがはげしく旋回する。そこには白髪の老人が倒れていた。
「キャァ!おじいさん!おじいさん!大丈夫ですか?!」
パティは慌てて老人を抱き起こす。老人はガリガリにやせていて、医学の知識がないパティからしても、危険な状況がわかった。
何故瀕死の老人がこんなところにいるのだろうか。パティは混乱する頭で老人に声をかけ続けた。
「・・・、」
「何?!何ですか?!おじいさん!」
老人が何かを呟いた。パティは老人の口に耳をあて、注意深く聴いた。老人はうわ言のように、腹が空いたと言った。
パティはホッと息をはいてからチャーミーにお願いした。りんごを作って、と。
チャーミーがニャッと返事をするとら地面からニョキニョキと樹木が育ち、やがてたわわにりんごがなった。
ピンキーが大きくてツヤツヤのりんごを一つもいでくれた。パティは老人を抱き起こすと、口元にりんごを持っていった。
「おじいさん、りんごです。食べてください」
老人は薄目を開けてりんごを一べつしてから、悲しそうに言った。
「わしには歯がないんじゃ」
パティが老人の口の中を見てみると、歯が三本しかなかった。
ショルダーバックの中のアクアがプクプク言う。血で汚れているから、そのまま治癒魔法はできない。まずは水で綺麗にする、との事。
パティは目をかたくつむってからお願いした。
「アクア、皆。お願い!」
次の瞬間、パティの足に勢いよく水がかかった。水は傷口に染みてとても痛かった。その直後、ズキズキとする痛みが潮を引くように消えていった。
パティが目を開くと、自分の両足がキラキラと輝いていた。
「皆ありがとう。もう痛くないわ」
パティは荷物から洗いざらしの靴下を取り出してはいた。マックスがパティを見上げて鳴いた。
「ワンワン」
「そうね。ちょっと休憩しようかしら」
マックスの提案でパティたちは休憩場所を探す事にした。ピンキーが先立って場所を探してくれる。
それまでパティは馬車道の横の草むらに座り込んでいた。
「ピィピィ!」
馬車道の横の、森の中を飛んでいたピンキーが、パティの頭上で激しく鳴いた。
「本当なの?!ピンキー。人が倒れているの?!」
ピンキーの鳴き声にパティは立ち上がってかけだした。ピンキーは空を飛びながらパティたちを先導する。
パティたちは森の中に入った。草むらのある場所で、ピンキーがはげしく旋回する。そこには白髪の老人が倒れていた。
「キャァ!おじいさん!おじいさん!大丈夫ですか?!」
パティは慌てて老人を抱き起こす。老人はガリガリにやせていて、医学の知識がないパティからしても、危険な状況がわかった。
何故瀕死の老人がこんなところにいるのだろうか。パティは混乱する頭で老人に声をかけ続けた。
「・・・、」
「何?!何ですか?!おじいさん!」
老人が何かを呟いた。パティは老人の口に耳をあて、注意深く聴いた。老人はうわ言のように、腹が空いたと言った。
パティはホッと息をはいてからチャーミーにお願いした。りんごを作って、と。
チャーミーがニャッと返事をするとら地面からニョキニョキと樹木が育ち、やがてたわわにりんごがなった。
ピンキーが大きくてツヤツヤのりんごを一つもいでくれた。パティは老人を抱き起こすと、口元にりんごを持っていった。
「おじいさん、りんごです。食べてください」
老人は薄目を開けてりんごを一べつしてから、悲しそうに言った。
「わしには歯がないんじゃ」
パティが老人の口の中を見てみると、歯が三本しかなかった。
125
お気に入りに追加
434
あなたにおすすめの小説

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー
すもも太郎
ファンタジー
この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)
主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)
しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。
命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥
※1話1500文字くらいで書いております

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる