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出発
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パティはドミノ村を出る日にちを誕生日の翌日と決めた。月日はあっという間に過ぎ、パティの誕生日になった。いつものように神父のジョナサンとチコリばあさん、それにマックスたちがパティをお祝いしてくれた。
チコリばあさんは翌日にはパティが村を出る事を知って、悲しみの涙を流したが、パティの出発を喜んでくれた。
チコリを送って行った後、パティは教会に帰り、慣れ親しんだ自分の部屋を見つめた。
小さい頃はベッドに登るために踏み台を使わないといけなかった。パティはとても大きくなったのだ。
パティは物心ついてから、ジョナサンのとの事を思い出していた。パティが村の者たちに泣かされて帰ってくると、ジョナサンはいつもパティを抱きしめて言ってくれた。
大丈夫。いつかパティが幸せだと思える日がきっと来るから。
パティはジョナサンにしがみつきながら、彼の言葉をいつも聞いていた。パティがぼんやりと物思いにふけっていると、ジョナサンに声をかけられた。
「パティ。明日は早いんだ、もう寝なさい」
「はい、神父さま」
パティはジョナサンに深々と頭をさげて言った。
「神父さま。これまで私を育ててくれて本当にありがとうございました。私はマックスたちと冒険者になって、たくさんお金を稼いで、きっと神父さまに恩返ししに戻ってきます」
「パティ。贈り物なら、私はパティからたくさんもらったよ」
パティは何の事かと不思議に思い、顔をあげると、ジョナサンは優しい笑顔で言った。
「パティがこの教会に来てくれて、私はいつも幸せだった。誰が何と言おうと、パティは私の可愛い可愛い孫娘だ」
ジョナサンの言葉に、パティは胸がギュッと締めつけらるように熱くなった。パティはジョナサンに抱きついて言った。
「私も、私もよ。ジョナサンおじいちゃん。どんなに辛い事があっても、ジョナサンおじいちゃんがいてくれたから、私はいつも幸せだったの!」
「ああ、ああ。パティ、これから楽しい事、幸せな事がきっとたくさんあるんだ。気をつけて行っておいで」
ジョナサンにお休みのあいさつをした後も、パティは期待と不安でなかなか寝つけなかった。パティのベッドの足元で丸くなっているマックスとチャーミーが見かねて早く寝るようにと鳴いた。パティは、はぁいと答えてから目を閉じた。
翌日いつものようにジョナサンと朝食を取り、後片づけをしてから、パティはショルダーバッグ一つを持って教会を出た。
パティは肩に乗っているピンキーにお願いした。大きくなってと。ピンキーはピィと鳴いてからぐんぐん大きくなった。パティはマックスとチャーミーにも声をかけた。小さくなって、と。
マックスとチャーミーは仔犬と仔猫の頃のように小さくなった。パティがしゃがんで、アクアが入っているショルダーバッグを開いた。マックスとチャーミーはぴょこんと中に飛び込んだ。パティはジョナサンに別れのあいさつをした。
「神父さま、行って来ます」
「ああ、パティ、皆。気をつけて行っておいで。おおそうだ、パティに渡さなければと思っていたんだ」
ジョナサンはポケットから古い手紙を出した。
「これはパティが教会にやって来た時に持っていた手紙だよ。パティのお母さんなのか、女性の文字で書かれていたんだ。文字から察するにとても教養のある女性のようだ」
パティはジョナサンから何度もその話をしてもらったが、実際に手紙を読むのは初めてだった。
手紙には一言、名前はパティです。どうか可愛がってください。とだけ書かれていた。パティは手紙を肩がけカバンの内ポケットに大切にしまった。
パティは大きくなったピンキーに飛び乗ると、ジョナサンに大きく手を振った。ジョナサンが笑顔で手を振りかえしてくれたのを合図に、ピンキーは大空に飛び立った。
チコリばあさんは翌日にはパティが村を出る事を知って、悲しみの涙を流したが、パティの出発を喜んでくれた。
チコリを送って行った後、パティは教会に帰り、慣れ親しんだ自分の部屋を見つめた。
小さい頃はベッドに登るために踏み台を使わないといけなかった。パティはとても大きくなったのだ。
パティは物心ついてから、ジョナサンのとの事を思い出していた。パティが村の者たちに泣かされて帰ってくると、ジョナサンはいつもパティを抱きしめて言ってくれた。
大丈夫。いつかパティが幸せだと思える日がきっと来るから。
パティはジョナサンにしがみつきながら、彼の言葉をいつも聞いていた。パティがぼんやりと物思いにふけっていると、ジョナサンに声をかけられた。
「パティ。明日は早いんだ、もう寝なさい」
「はい、神父さま」
パティはジョナサンに深々と頭をさげて言った。
「神父さま。これまで私を育ててくれて本当にありがとうございました。私はマックスたちと冒険者になって、たくさんお金を稼いで、きっと神父さまに恩返ししに戻ってきます」
「パティ。贈り物なら、私はパティからたくさんもらったよ」
パティは何の事かと不思議に思い、顔をあげると、ジョナサンは優しい笑顔で言った。
「パティがこの教会に来てくれて、私はいつも幸せだった。誰が何と言おうと、パティは私の可愛い可愛い孫娘だ」
ジョナサンの言葉に、パティは胸がギュッと締めつけらるように熱くなった。パティはジョナサンに抱きついて言った。
「私も、私もよ。ジョナサンおじいちゃん。どんなに辛い事があっても、ジョナサンおじいちゃんがいてくれたから、私はいつも幸せだったの!」
「ああ、ああ。パティ、これから楽しい事、幸せな事がきっとたくさんあるんだ。気をつけて行っておいで」
ジョナサンにお休みのあいさつをした後も、パティは期待と不安でなかなか寝つけなかった。パティのベッドの足元で丸くなっているマックスとチャーミーが見かねて早く寝るようにと鳴いた。パティは、はぁいと答えてから目を閉じた。
翌日いつものようにジョナサンと朝食を取り、後片づけをしてから、パティはショルダーバッグ一つを持って教会を出た。
パティは肩に乗っているピンキーにお願いした。大きくなってと。ピンキーはピィと鳴いてからぐんぐん大きくなった。パティはマックスとチャーミーにも声をかけた。小さくなって、と。
マックスとチャーミーは仔犬と仔猫の頃のように小さくなった。パティがしゃがんで、アクアが入っているショルダーバッグを開いた。マックスとチャーミーはぴょこんと中に飛び込んだ。パティはジョナサンに別れのあいさつをした。
「神父さま、行って来ます」
「ああ、パティ、皆。気をつけて行っておいで。おおそうだ、パティに渡さなければと思っていたんだ」
ジョナサンはポケットから古い手紙を出した。
「これはパティが教会にやって来た時に持っていた手紙だよ。パティのお母さんなのか、女性の文字で書かれていたんだ。文字から察するにとても教養のある女性のようだ」
パティはジョナサンから何度もその話をしてもらったが、実際に手紙を読むのは初めてだった。
手紙には一言、名前はパティです。どうか可愛がってください。とだけ書かれていた。パティは手紙を肩がけカバンの内ポケットに大切にしまった。
パティは大きくなったピンキーに飛び乗ると、ジョナサンに大きく手を振った。ジョナサンが笑顔で手を振りかえしてくれたのを合図に、ピンキーは大空に飛び立った。
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