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パティの願い
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ジョナサンはこのところ元気のないパティが心配でならなかった。パティは急にはしゃいだかと思うと、突然ふさぎ込んでいた。
何か心配な事があるのかと、それとなく聞いてみても、大丈夫と答えるばかりだった。
パティの友達が教会で共に暮らすようちなって、ジョナサンたちの生活はとても豊かになった。
水魔法を操るアクアのおかげで、パティは水くみをしなくてよくなったし、チャーミーの土魔法で畑の作物がたくさん育つようになった。マックスは暖炉の火をすぐにつけてくれるし、外出の際には大きくなったピンキーが空を飛んで連れて行ってくれた。
そんなある日、パティがジョナサンにお願い事を言った。教会の裏に井戸を掘ってよいかというのだ。ジョナサンはついに来たかと思った。
井戸を掘るという事は、パティとアクアたちが教会を出て行くという事だ。優しいパティは、自分が教会を出た後のジョナサンの事が心配なのだろう。
パティの気持ちもわからなくはない。村人たちはパティに冷たく当たり、この村にパティの居場所はない。
パティが無力な少女だったならば、ジョナサンはパティを手放さなかっただろう。だがパティが神さまから授かった友達は、強い魔力を持つ者たちだ。きっとパティを守ってくれるだろう。
ジョナサンは神父としてパティを手放す気持ちはあるが、養父としてはどうしてもふんぎりがつかなかった。十五年も愛し育ててきたパティが、ジョナサンの元を去る。考えただけでも身を切られるように辛かった。
しかしそれがパティのためになるならば、ジョナサンはパティの足かせになってはいけないのだ。
その日の夕食、パティはいつものように今日あった事を楽しそうに話していた。
「それでね、神父さま。マックスったらピンキーと同じくらい空を飛べるって言い張って、高い崖から飛び降りちゃったの。私たち慌ててピンキーに乗せてもらって崖下に降りたら、マックスは無傷だったんだけど、すねちゃって」
マックスは、そんな話しないでよ、と言うようにクウンと鳴いていた。パティは優しい笑顔でマックスの頭を撫でた。
ジョナサンは頃合いだと思い、口を開いた。
「なぁ、パティ。お前はここを出て行くつもりなんだな?」
パティはヒュッと息を飲んで身体をこわばらせた。ジョナサンはパティを驚かせないように笑顔で言った。
「パティ。本当の事を言うと、私は寂しい。だがパティのこれからの事を考えるなら、マックスたちとこの村を出る事は正しい選択だと私は思う」
驚いたパティの顔が、クシャリと泣き顔になった。パティは席から立ち上がると、ジョナサンに抱きついて言った。
「神父さま!私も、私も寂しい。でも、私外の世界を見てみたいの。外の世界には私と同じように黒い髪で黒い瞳の人もいるかもしれない。いろんな場所に行って、たくさんの人に出会えるかもしれない。だけど、神父さまと離れるのが怖いの!」
パティはジョナサンの死を怖がっているのだ。ジョナサンは高齢だ、パティが村を出て、再び戻って来た時に元気でいられるとは断言できない。パティが村を出る時が最後になるかもしれないのだ。
パティはジョナサンの胸に顔をうずめてわんわん泣きながら言った。
「神父さま、誕生日のプレゼント。私、神父さまとまた会える約束がほしいんです」
「・・・。パティ、人の寿命は神さまが決められる事なのだ。私がいつ神に召されるかなど誰にもわからないのだよ」
「・・・。神父さま、一つだけ方法があるんです。神父さまは、チコリおばあちゃんが急に元気になった事をとても驚いていたでしょ?」
ジョナサンは五年前の事を思い出していた。その頃チコリは持病の神経痛が悪化して、とても辛そうだった。だがある日突然、つえも無しにスタスタと歩き出したのだ。心なしか若くなったように見えた。
ジョナサンが驚いてチコリに聞くと、彼女は少女のようにイタズラっぽい顔で笑って内緒と答えた。チコリは今もすこぶる元気だ。
何か心配な事があるのかと、それとなく聞いてみても、大丈夫と答えるばかりだった。
パティの友達が教会で共に暮らすようちなって、ジョナサンたちの生活はとても豊かになった。
水魔法を操るアクアのおかげで、パティは水くみをしなくてよくなったし、チャーミーの土魔法で畑の作物がたくさん育つようになった。マックスは暖炉の火をすぐにつけてくれるし、外出の際には大きくなったピンキーが空を飛んで連れて行ってくれた。
そんなある日、パティがジョナサンにお願い事を言った。教会の裏に井戸を掘ってよいかというのだ。ジョナサンはついに来たかと思った。
井戸を掘るという事は、パティとアクアたちが教会を出て行くという事だ。優しいパティは、自分が教会を出た後のジョナサンの事が心配なのだろう。
パティの気持ちもわからなくはない。村人たちはパティに冷たく当たり、この村にパティの居場所はない。
パティが無力な少女だったならば、ジョナサンはパティを手放さなかっただろう。だがパティが神さまから授かった友達は、強い魔力を持つ者たちだ。きっとパティを守ってくれるだろう。
ジョナサンは神父としてパティを手放す気持ちはあるが、養父としてはどうしてもふんぎりがつかなかった。十五年も愛し育ててきたパティが、ジョナサンの元を去る。考えただけでも身を切られるように辛かった。
しかしそれがパティのためになるならば、ジョナサンはパティの足かせになってはいけないのだ。
その日の夕食、パティはいつものように今日あった事を楽しそうに話していた。
「それでね、神父さま。マックスったらピンキーと同じくらい空を飛べるって言い張って、高い崖から飛び降りちゃったの。私たち慌ててピンキーに乗せてもらって崖下に降りたら、マックスは無傷だったんだけど、すねちゃって」
マックスは、そんな話しないでよ、と言うようにクウンと鳴いていた。パティは優しい笑顔でマックスの頭を撫でた。
ジョナサンは頃合いだと思い、口を開いた。
「なぁ、パティ。お前はここを出て行くつもりなんだな?」
パティはヒュッと息を飲んで身体をこわばらせた。ジョナサンはパティを驚かせないように笑顔で言った。
「パティ。本当の事を言うと、私は寂しい。だがパティのこれからの事を考えるなら、マックスたちとこの村を出る事は正しい選択だと私は思う」
驚いたパティの顔が、クシャリと泣き顔になった。パティは席から立ち上がると、ジョナサンに抱きついて言った。
「神父さま!私も、私も寂しい。でも、私外の世界を見てみたいの。外の世界には私と同じように黒い髪で黒い瞳の人もいるかもしれない。いろんな場所に行って、たくさんの人に出会えるかもしれない。だけど、神父さまと離れるのが怖いの!」
パティはジョナサンの死を怖がっているのだ。ジョナサンは高齢だ、パティが村を出て、再び戻って来た時に元気でいられるとは断言できない。パティが村を出る時が最後になるかもしれないのだ。
パティはジョナサンの胸に顔をうずめてわんわん泣きながら言った。
「神父さま、誕生日のプレゼント。私、神父さまとまた会える約束がほしいんです」
「・・・。パティ、人の寿命は神さまが決められる事なのだ。私がいつ神に召されるかなど誰にもわからないのだよ」
「・・・。神父さま、一つだけ方法があるんです。神父さまは、チコリおばあちゃんが急に元気になった事をとても驚いていたでしょ?」
ジョナサンは五年前の事を思い出していた。その頃チコリは持病の神経痛が悪化して、とても辛そうだった。だがある日突然、つえも無しにスタスタと歩き出したのだ。心なしか若くなったように見えた。
ジョナサンが驚いてチコリに聞くと、彼女は少女のようにイタズラっぽい顔で笑って内緒と答えた。チコリは今もすこぶる元気だ。
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