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パティの決意2
しおりを挟む パティはもうすぐ十五歳になる。冒険者になる事ができる年齢になるのだ。
パティとマックスたちの魔法の練習にも熱が入る。パティはマックスたちをグループに分けて、魔法の模擬戦を繰り返し行っていた。
今日は、マックスとアクア、チャーミーとピンキーとの対決だ。パティのかけ声と共に魔法攻撃が始まった。
マックスは得意の火攻撃魔法をチャーミーとピンキーに放った。パティはすかさずピンキーに風防御魔法を指示する。
ピンキーの風防御魔法がマックスの火攻撃魔法を無効化した。次はチャーミーが鉄生成魔法でたくさんの刃を作って、マックスとアクアに攻撃を放った。
パティはアクアに水防御魔法を指示した。アクアが魔法を発動させると、巨大な水の壁が出現し、チャーミーの刃攻撃魔法を無効化した。
パティは魔法訓練を積み重ね、友達の皆が確実に強くなっている事を実感した。
パティは次の行動に移る事にした。それは教会の側に井戸を作る事だ。今ではアクアが水がめに水を入れてくれるので、川まで水をくみに行く必要がなくなった。だがパティがアクアたちと教会を出て行ったら、ジョナサンは自分で水をくみに行かなければいけない。
ジョナサンにはすでにその体力はないのだ。井戸を作るためには専門的な知識が必要だ。パティは村の建築仕事を一手に引き受けているゴンゾの家を訪ねた。
パティがゴンゾの家のドアをノックすると、ゴンゾが出て来て顔をしかめた。
「何だ、忌子のパティ!俺の家に来やがって!とっとあっちに行きやがれ!」
パティがゴンゾに嫌悪されるのはわかっていた事だ。だがここでひるんではいけない。パティは深々と頭を下げて言った。
「ゴンゾさん、お願いがあります。私に井戸の作り方を教えてください」
「はぁっ?!なんで忌子なんかに俺がわざわざ井戸の作り方を教えなけりゃいけねぇんだよ!目障りだ、消え失せろ!」
「ゴンゾさん!私はもうすぐ村を出て行きます。ですが、教会に残る神父さまに恩返しがしたいのです。作り方を教えていただけるだけで結構です。どうか教えてください」
「うるせぇ!勝手に村から出て行け!神父の事は心配するな。俺たちが面倒みるから!」
それだけ言うとゴンゾは扉を閉めてしまった。パティの側にマックスたちが心配そうに擦り寄ってくる。パティはしゃがみ込んでマックスとチャーミーの頭を撫でた。パティの肩にはピンキーがとまり、ポケットからはアクアが顔をだしている。
「皆、ごめんね?私のわがままに付き合わせて。だけどここで諦めるわけにはいかないの」
パティはスクッと立ち上がると、ゴンゾの家の前に立ち続けた。
辺りは夕闇に包まれ、真っ暗になった。それでもパティはゴンゾの家の前から動かなかった。マックスたちもパティの側にいてくれている。
真夜中過ぎにゴンゾの家のドアが開き、呆れ顔のゴンゾが言った。
「おい、神父が心配する。教会に帰れ」
「神父さまには、今日はチコリおばあさんの家に泊めてもらうらと言ってあります」
ゴンゾは顔をしかめて、大きなため息をついてから、パティたちを手招いた。
ゴンゾは家のとなりにある作業場にパティたちを案内した。
「ゴンゾさん。井戸の作り方を教えてくれるんですか?」
「これで目障りなお前が消えてくれるなら、安いものだ」
「あ、ありがとうございます!」
パティは深々と頭を下げた。ゴンゾはガサゴソと設計図の紙を開いてパティに見せた。設計図には、井戸を掘る深さ、幅などが書かれていた。パティは井戸の設計図を食い入るように見つめた。
ゴンゾがため息をつきながら言った。
「おい、素人か設計図を見たからといって、おいそれと作れるものじゃねぇぞ」
「はい、私一人では何もできません。ですが、私の友達が一緒なら必ずできます」
パティはその後も細かな質問をし、ゴンゾの家を辞するのは明け方近くなった。
パティとマックスたちの魔法の練習にも熱が入る。パティはマックスたちをグループに分けて、魔法の模擬戦を繰り返し行っていた。
今日は、マックスとアクア、チャーミーとピンキーとの対決だ。パティのかけ声と共に魔法攻撃が始まった。
マックスは得意の火攻撃魔法をチャーミーとピンキーに放った。パティはすかさずピンキーに風防御魔法を指示する。
ピンキーの風防御魔法がマックスの火攻撃魔法を無効化した。次はチャーミーが鉄生成魔法でたくさんの刃を作って、マックスとアクアに攻撃を放った。
パティはアクアに水防御魔法を指示した。アクアが魔法を発動させると、巨大な水の壁が出現し、チャーミーの刃攻撃魔法を無効化した。
パティは魔法訓練を積み重ね、友達の皆が確実に強くなっている事を実感した。
パティは次の行動に移る事にした。それは教会の側に井戸を作る事だ。今ではアクアが水がめに水を入れてくれるので、川まで水をくみに行く必要がなくなった。だがパティがアクアたちと教会を出て行ったら、ジョナサンは自分で水をくみに行かなければいけない。
ジョナサンにはすでにその体力はないのだ。井戸を作るためには専門的な知識が必要だ。パティは村の建築仕事を一手に引き受けているゴンゾの家を訪ねた。
パティがゴンゾの家のドアをノックすると、ゴンゾが出て来て顔をしかめた。
「何だ、忌子のパティ!俺の家に来やがって!とっとあっちに行きやがれ!」
パティがゴンゾに嫌悪されるのはわかっていた事だ。だがここでひるんではいけない。パティは深々と頭を下げて言った。
「ゴンゾさん、お願いがあります。私に井戸の作り方を教えてください」
「はぁっ?!なんで忌子なんかに俺がわざわざ井戸の作り方を教えなけりゃいけねぇんだよ!目障りだ、消え失せろ!」
「ゴンゾさん!私はもうすぐ村を出て行きます。ですが、教会に残る神父さまに恩返しがしたいのです。作り方を教えていただけるだけで結構です。どうか教えてください」
「うるせぇ!勝手に村から出て行け!神父の事は心配するな。俺たちが面倒みるから!」
それだけ言うとゴンゾは扉を閉めてしまった。パティの側にマックスたちが心配そうに擦り寄ってくる。パティはしゃがみ込んでマックスとチャーミーの頭を撫でた。パティの肩にはピンキーがとまり、ポケットからはアクアが顔をだしている。
「皆、ごめんね?私のわがままに付き合わせて。だけどここで諦めるわけにはいかないの」
パティはスクッと立ち上がると、ゴンゾの家の前に立ち続けた。
辺りは夕闇に包まれ、真っ暗になった。それでもパティはゴンゾの家の前から動かなかった。マックスたちもパティの側にいてくれている。
真夜中過ぎにゴンゾの家のドアが開き、呆れ顔のゴンゾが言った。
「おい、神父が心配する。教会に帰れ」
「神父さまには、今日はチコリおばあさんの家に泊めてもらうらと言ってあります」
ゴンゾは顔をしかめて、大きなため息をついてから、パティたちを手招いた。
ゴンゾは家のとなりにある作業場にパティたちを案内した。
「ゴンゾさん。井戸の作り方を教えてくれるんですか?」
「これで目障りなお前が消えてくれるなら、安いものだ」
「あ、ありがとうございます!」
パティは深々と頭を下げた。ゴンゾはガサゴソと設計図の紙を開いてパティに見せた。設計図には、井戸を掘る深さ、幅などが書かれていた。パティは井戸の設計図を食い入るように見つめた。
ゴンゾがため息をつきながら言った。
「おい、素人か設計図を見たからといって、おいそれと作れるものじゃねぇぞ」
「はい、私一人では何もできません。ですが、私の友達が一緒なら必ずできます」
パティはその後も細かな質問をし、ゴンゾの家を辞するのは明け方近くなった。
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