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新たな刺客
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エドモンドがうんうん唸っていると、自室に続く廊下のドアからドンッと音がした。どうやらエドモンドを守る兵士が出した音のようだ。エドモンドは未だに暗殺者に狙われている。そのため兵士たちは夜を徹してエドモンドを警護すると言いはってきかないのだ。エドモンドとしては兵士たちにキチンと睡眠をとってもらいたい。そのため警護の兵士は三時間ごとに交代してもらっている。
今の時間はケインの番なはずだ。ケインは身体が大きいいかつい外見の若者だが、気持ちが優しく少し抜けた所がある。きっとうたた寝をしてドアにぶつかったのだろう、エドモンドはクスリと笑い、ケインをからかいに行くため廊下に続くドアを開けた。だがケインの姿がない。どうしたのかと思い下の床を見ると、大柄なケインが倒れていた。
エドモンドは慌ててケインを抱き起す、すると手にべっとりと何かが付着した。何かと思い自身の手のひらを見ると、真っ赤な血だった。ケインは脇腹に大怪我をしていた。エドモンドほケインの鎧を脱がせ、自身の着ていたガウンを折りたたんで、ケインの傷に当て、自身が巻いていたガウンのひもで強く結んで止血した。止血の痛みでケインが意識を取り戻した。
「王よ、刺客です。お逃げください」
「ああ、ケインも一緒だ。逃げよう」
「っ、私の事はいいのです、さぁ早く」
「余がそなたを置いていけるわけがない。さぁ、余の肩につかまるのだ」
エドモンドは大柄なケインの腕を肩にまわし、歩き出した。ケインはとても重くエドモンドはゆっくりと歩いた。そこでエドモンドは廊下の陰に誰かがいる事に気づいた。
少女だ。エドモンドの娘くらいの少女が廊下にぼぉっと立っていた。エドモンドはいぶかしんだ。エドモンドは城に働く者、一人一人を記憶しているのだ。メイドの子供にいたるまで。だが廊下に立っている少女は全く見たことがなかった。だが少女をこのままにしておくわけにはいかない。エドモンドは少女に手を伸ばした。
「娘、ここは危ない。余たちと一緒に逃げるのだ」
するとケインがエドモンドのシャツを掴んだ。
「王よ、お逃げください。あの娘が刺客です」
ケインの言葉に、エドモンドは信じられないものを見るように少女を見た。少女がスッと右手をエドモンドに向ける、すると少女の手から炎の魔法があふれ出した。炎魔法はエドモンドの右肩に当たり、エドモンドは吹っ飛んだ。エドモンドの右肩からは焼け焦げた傷と共にぼうだと血が流れた。
エドモンドは再び立ち上がると何事もなかったようにケインを担ぎ上げると歩き出した。ケインは再三自分を置いて逃げろと言うがエドモンドは聞かなかった。エドモンドはとても弱いが一つの風魔法が使えた。
その魔法は、小さな風を起こして対象相手に当て、その風が自身に返ってくると、相手の心が読めるのだ。つまり読心術だ。他人の心が読めるなど、気味悪がられるのでエドモンドは誰にもこの事は言っていないが、生き馬の目を抜くような王宮ではこの風の囁き〈ウィスパーオブザウィンドウ〉が大いに役立った。
この風魔法を使えばエドモンドを暗殺しようと考える者の心が分かってしまうのだ。エドモンドは刺客の少女にも風の囁き〈ウィスパーオブザウィンドウ〉を使った。すると少女は何者かに操られていて、少女自身はエドモンドも、兵士たちも誰も殺したくないと心の中で叫んでいた。
だが身体の自由がきかず、強靭な精神力でエドモンドたちを攻撃しないよう溢れ出しそうの魔力を抑えているのだ。エドモンドはすぐさまあわれな少女を助けたかったが、エドモンドではどうする事もできない。エドモンドが今少女にしてやれる事は、少女の標的であるエドモンドが目の前からいなくなる事だ。
傷ついた右肩がズキズキと痛む、エドモンドはケインを抱えひたすら歩いた。長い廊下の角を曲がれば何とか身を隠す事ができる。だが背後の少女の様子をチラリとみやると、少女が自身を抑えきれなくなったらしく、少女のまわりにはたくさんの炎魔法と氷魔法が出現していて、今にもエドモンドたちに襲いかかってきそうだ。
エドモンドは観念して、ケインの頭と胴体を抱き込んだ。何としてもケインの命だけは助けたかった。頭に死んだ妻と幼い娘の顔が浮かぶ、天国に行ったら妻に謝らなければ、娘の幸せを見届けると約束したのに。
エドモンドはかたく目をつむるが魔法攻撃による痛みはおとずれなかった。おそるおそる目を開けると、そこには召喚詠唱もしていないのに召喚霊獣の天馬がいた。天馬は美しい白馬で、背には白鳥のような白い翼が生えていた。
天馬はエドモンドに当たるはずだった強力な攻撃魔法を、風壁防御魔法でふせいでいた。エドモンドは天馬に助けてくれた礼を言ったが、天馬はエドモンドに対してすごく怒っていた。エドモンドは困ってしまった。
「ごめんよ、シルフィ。すぐに君を呼ばなくて」
天馬はブルルッといなないて抗議する。
「ああ、俺はシルフィよりも、ケインよりもずっと弱いよ。でも俺は、俺のせいで誰にも怪我してほしくないんだ」
エドモンドにそう言われると天馬は黙ってしまった。エドモンドは契約霊獣の天馬の前では、シンドリア国王ではなく、唯一ただのエドモンドに戻れるのだ。
エドモンドの契約霊獣、天馬は風魔法で風のように早く飛ぶ事ができる。その風魔法を使って、若い頃のエドモンドは天馬は共に手紙や、薬などの物資を運ぶ、運び屋の仕事をしていた。だが天馬に乗れるのは一人だけなのだ。それ以上の人間が乗れば天馬の速度は落ちてしまう。エドモンドは天馬の顔に手をそえて、切々とうったえた。
「頼むシルフィ、ケインを乗せて安全な場所まで連れて行ってくれないか。俺はシルフィの作ってくれたシールドがあるから大丈夫だ」
天馬はブルルとうなった。エドモンドとの長い付き合いの中で、エドモンドは大変頑固で、一度言い出したら絶対に意見を曲げない事を知っているからだ。エドモンドと天馬の押し問答が続く中、彼らは気づかなかったのだ。刺客の少女の膨大な炎の攻撃魔法が天馬の風壁防御魔法飛び越えて自分たちに迫っている事を。エドモンドたちが気づいた時にはたくさんの炎の塊が迫っていた。天馬はかん高い鋭いいななきを上げ、エドモンドとケインを翼の下にかばった。
今の時間はケインの番なはずだ。ケインは身体が大きいいかつい外見の若者だが、気持ちが優しく少し抜けた所がある。きっとうたた寝をしてドアにぶつかったのだろう、エドモンドはクスリと笑い、ケインをからかいに行くため廊下に続くドアを開けた。だがケインの姿がない。どうしたのかと思い下の床を見ると、大柄なケインが倒れていた。
エドモンドは慌ててケインを抱き起す、すると手にべっとりと何かが付着した。何かと思い自身の手のひらを見ると、真っ赤な血だった。ケインは脇腹に大怪我をしていた。エドモンドほケインの鎧を脱がせ、自身の着ていたガウンを折りたたんで、ケインの傷に当て、自身が巻いていたガウンのひもで強く結んで止血した。止血の痛みでケインが意識を取り戻した。
「王よ、刺客です。お逃げください」
「ああ、ケインも一緒だ。逃げよう」
「っ、私の事はいいのです、さぁ早く」
「余がそなたを置いていけるわけがない。さぁ、余の肩につかまるのだ」
エドモンドは大柄なケインの腕を肩にまわし、歩き出した。ケインはとても重くエドモンドはゆっくりと歩いた。そこでエドモンドは廊下の陰に誰かがいる事に気づいた。
少女だ。エドモンドの娘くらいの少女が廊下にぼぉっと立っていた。エドモンドはいぶかしんだ。エドモンドは城に働く者、一人一人を記憶しているのだ。メイドの子供にいたるまで。だが廊下に立っている少女は全く見たことがなかった。だが少女をこのままにしておくわけにはいかない。エドモンドは少女に手を伸ばした。
「娘、ここは危ない。余たちと一緒に逃げるのだ」
するとケインがエドモンドのシャツを掴んだ。
「王よ、お逃げください。あの娘が刺客です」
ケインの言葉に、エドモンドは信じられないものを見るように少女を見た。少女がスッと右手をエドモンドに向ける、すると少女の手から炎の魔法があふれ出した。炎魔法はエドモンドの右肩に当たり、エドモンドは吹っ飛んだ。エドモンドの右肩からは焼け焦げた傷と共にぼうだと血が流れた。
エドモンドは再び立ち上がると何事もなかったようにケインを担ぎ上げると歩き出した。ケインは再三自分を置いて逃げろと言うがエドモンドは聞かなかった。エドモンドはとても弱いが一つの風魔法が使えた。
その魔法は、小さな風を起こして対象相手に当て、その風が自身に返ってくると、相手の心が読めるのだ。つまり読心術だ。他人の心が読めるなど、気味悪がられるのでエドモンドは誰にもこの事は言っていないが、生き馬の目を抜くような王宮ではこの風の囁き〈ウィスパーオブザウィンドウ〉が大いに役立った。
この風魔法を使えばエドモンドを暗殺しようと考える者の心が分かってしまうのだ。エドモンドは刺客の少女にも風の囁き〈ウィスパーオブザウィンドウ〉を使った。すると少女は何者かに操られていて、少女自身はエドモンドも、兵士たちも誰も殺したくないと心の中で叫んでいた。
だが身体の自由がきかず、強靭な精神力でエドモンドたちを攻撃しないよう溢れ出しそうの魔力を抑えているのだ。エドモンドはすぐさまあわれな少女を助けたかったが、エドモンドではどうする事もできない。エドモンドが今少女にしてやれる事は、少女の標的であるエドモンドが目の前からいなくなる事だ。
傷ついた右肩がズキズキと痛む、エドモンドはケインを抱えひたすら歩いた。長い廊下の角を曲がれば何とか身を隠す事ができる。だが背後の少女の様子をチラリとみやると、少女が自身を抑えきれなくなったらしく、少女のまわりにはたくさんの炎魔法と氷魔法が出現していて、今にもエドモンドたちに襲いかかってきそうだ。
エドモンドは観念して、ケインの頭と胴体を抱き込んだ。何としてもケインの命だけは助けたかった。頭に死んだ妻と幼い娘の顔が浮かぶ、天国に行ったら妻に謝らなければ、娘の幸せを見届けると約束したのに。
エドモンドはかたく目をつむるが魔法攻撃による痛みはおとずれなかった。おそるおそる目を開けると、そこには召喚詠唱もしていないのに召喚霊獣の天馬がいた。天馬は美しい白馬で、背には白鳥のような白い翼が生えていた。
天馬はエドモンドに当たるはずだった強力な攻撃魔法を、風壁防御魔法でふせいでいた。エドモンドは天馬に助けてくれた礼を言ったが、天馬はエドモンドに対してすごく怒っていた。エドモンドは困ってしまった。
「ごめんよ、シルフィ。すぐに君を呼ばなくて」
天馬はブルルッといなないて抗議する。
「ああ、俺はシルフィよりも、ケインよりもずっと弱いよ。でも俺は、俺のせいで誰にも怪我してほしくないんだ」
エドモンドにそう言われると天馬は黙ってしまった。エドモンドは契約霊獣の天馬の前では、シンドリア国王ではなく、唯一ただのエドモンドに戻れるのだ。
エドモンドの契約霊獣、天馬は風魔法で風のように早く飛ぶ事ができる。その風魔法を使って、若い頃のエドモンドは天馬は共に手紙や、薬などの物資を運ぶ、運び屋の仕事をしていた。だが天馬に乗れるのは一人だけなのだ。それ以上の人間が乗れば天馬の速度は落ちてしまう。エドモンドは天馬の顔に手をそえて、切々とうったえた。
「頼むシルフィ、ケインを乗せて安全な場所まで連れて行ってくれないか。俺はシルフィの作ってくれたシールドがあるから大丈夫だ」
天馬はブルルとうなった。エドモンドとの長い付き合いの中で、エドモンドは大変頑固で、一度言い出したら絶対に意見を曲げない事を知っているからだ。エドモンドと天馬の押し問答が続く中、彼らは気づかなかったのだ。刺客の少女の膨大な炎の攻撃魔法が天馬の風壁防御魔法飛び越えて自分たちに迫っている事を。エドモンドたちが気づいた時にはたくさんの炎の塊が迫っていた。天馬はかん高い鋭いいななきを上げ、エドモンドとケインを翼の下にかばった。
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