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マティアスとルイスの気持ち
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ルイスが言葉を発した途端、部屋の隅に二人の黒衣の男が現れた。腰には大剣をさしている。
「カイ、トール。いつもすまない。ルイスを頼む」
二人の黒衣の男は軽くうなずくと再び煙のように消えた。おそらく姿隠しの魔法を使ったのだろう。
マティアスはルイスから警護してくれるカイとトールだと説明されただけで、どっちがカイで、どっちがトールかわからなかった。二人と黒布で顔を隠し、目元だけしか見えないからだ。
カイとトールはエドワード・バルべ公爵がルイスのために用意してくれた護衛だ。エドワード・バルべ公爵はリカオンとヴィヴィアンの父親だ。
エドワードは表立ってはマティアスとルイスに力添えしている姿は見せない。叔父であるイエーリに援助者である事を悟られないためだ。
エドワードはあくまでも、子供のリカオンとヴィヴィアンがマティアスとルイスと仲が良いので、マティアスたちのやる事に目をつぶっているという姿勢を貫いている。
しかし裏ではリカオンの要請に従い、マティアスたちが戦場へおもむく際、ルイスの護衛をつけてくれるのだ。
マティアスはエドワード・バルべ公爵に頭があがらない。叔父のイエーリ一派を一掃した後は、深く感謝の意を述べなければいけない。
マティアスとルイスは、並んでマティアスのベッドに腰かけてつらつらと話しをしていた。
といっても、重い話しでも何でもない。庭園のバラが見ごろだとか、庭師の手伝いをしてもらったバラを食卓のテーブルに置いておいたのに、マティアスはまったく気づかなかっただの。取るに足らない日常の話しだ。
ルイスはマティアスが戦争に行く前の日、必ずマティアスと会話の時間をもうけるのだ。
まるで今生の別れを惜しむように。
「違うよ!そんなんじゃない!」
突然ルイスが叫ぶ。ルイスは読心の風魔法でマティアスの心を読んだのだろう。ルイスもマティアスと同じ風属性の魔法だ。そのためルイスもマティアスと同じ風魔法が使える。
「そんなんじゃないよ。確かに兄上はうっかり者だけど、歴戦の勇者だ。今回の戦いだってきっと勝利して帰ってくるんだ」
ルイスは膝の上においた自分の手をジッとみつめながらうめくように言った。
マティアスは自分の横に座っている愛しい存在を実感しながら答えた。
「ああ、その通りだ。この戦いに勝利すれば、ザイン王国はさらに領土を拡大するのだ」
「・・・。うん」
しばらくするとルイスの話しはだんだんとあやふやになっていった。そろそろか、マティアスがそう考えていると、ルイスがマティアスの肩によりかかってきた。睡魔に負けて眠ってしまったのだ。
マティアスはルイスを抱き上げてため息をついた。ルイスは抱き上げると、とても軽くて、ちっとも体重が増えない。食べ物の好き嫌いが多いからだ。
マティアスがルイスを抱いたままドアの前に立つと、スッとドアが開いた。きっとカイかトールが開けてくれたのだろう。
マティアスは弟を抱いたまま、ルイスの部屋に向かった。
「カイ、トール。いつもすまない。ルイスを頼む」
二人の黒衣の男は軽くうなずくと再び煙のように消えた。おそらく姿隠しの魔法を使ったのだろう。
マティアスはルイスから警護してくれるカイとトールだと説明されただけで、どっちがカイで、どっちがトールかわからなかった。二人と黒布で顔を隠し、目元だけしか見えないからだ。
カイとトールはエドワード・バルべ公爵がルイスのために用意してくれた護衛だ。エドワード・バルべ公爵はリカオンとヴィヴィアンの父親だ。
エドワードは表立ってはマティアスとルイスに力添えしている姿は見せない。叔父であるイエーリに援助者である事を悟られないためだ。
エドワードはあくまでも、子供のリカオンとヴィヴィアンがマティアスとルイスと仲が良いので、マティアスたちのやる事に目をつぶっているという姿勢を貫いている。
しかし裏ではリカオンの要請に従い、マティアスたちが戦場へおもむく際、ルイスの護衛をつけてくれるのだ。
マティアスはエドワード・バルべ公爵に頭があがらない。叔父のイエーリ一派を一掃した後は、深く感謝の意を述べなければいけない。
マティアスとルイスは、並んでマティアスのベッドに腰かけてつらつらと話しをしていた。
といっても、重い話しでも何でもない。庭園のバラが見ごろだとか、庭師の手伝いをしてもらったバラを食卓のテーブルに置いておいたのに、マティアスはまったく気づかなかっただの。取るに足らない日常の話しだ。
ルイスはマティアスが戦争に行く前の日、必ずマティアスと会話の時間をもうけるのだ。
まるで今生の別れを惜しむように。
「違うよ!そんなんじゃない!」
突然ルイスが叫ぶ。ルイスは読心の風魔法でマティアスの心を読んだのだろう。ルイスもマティアスと同じ風属性の魔法だ。そのためルイスもマティアスと同じ風魔法が使える。
「そんなんじゃないよ。確かに兄上はうっかり者だけど、歴戦の勇者だ。今回の戦いだってきっと勝利して帰ってくるんだ」
ルイスは膝の上においた自分の手をジッとみつめながらうめくように言った。
マティアスは自分の横に座っている愛しい存在を実感しながら答えた。
「ああ、その通りだ。この戦いに勝利すれば、ザイン王国はさらに領土を拡大するのだ」
「・・・。うん」
しばらくするとルイスの話しはだんだんとあやふやになっていった。そろそろか、マティアスがそう考えていると、ルイスがマティアスの肩によりかかってきた。睡魔に負けて眠ってしまったのだ。
マティアスはルイスを抱き上げてため息をついた。ルイスは抱き上げると、とても軽くて、ちっとも体重が増えない。食べ物の好き嫌いが多いからだ。
マティアスがルイスを抱いたままドアの前に立つと、スッとドアが開いた。きっとカイかトールが開けてくれたのだろう。
マティアスは弟を抱いたまま、ルイスの部屋に向かった。
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