薄幸召喚士令嬢もふもふの霊獣の未来予知で破滅フラグをへし折ります

盛平

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作戦

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 マティアスは甘いドライフルーツをそしゃくしてゴクンと飲み込んでから口を開いた。

「心配するな、ヴィヴィ。俺の風の剣でこれまで通りイグニア軍をなぎはらってやる」

 マティアスの言葉に、ヴィヴィアンは顔をしかめた。

「マティアス。貴方の楽観的なところどうにかしなさいよ。イグニア軍はね、貴方の風の剣を封じるために、アンチ魔法を使う魔法使いたちを大量に雇ったの。だから貴方の魔法剣は使えないと考えた方がいいわ」
「うーん、そうか。なら、地道にイグニア軍を倒すまでだ!」
「・・・」

 マティアスの返事に、ヴィヴィアンは無言になる。リカオンは姉を思いやるように穏やかな声で言った。

「心配するな、ヴィヴィ。俺たちだって遊んでいたわけじゃない。切り札を見つけたんだ。霊獣と契約した娘だ」
「それって、レティシアお嬢さまの事?」
「ああ。ヴィヴィの弟子なんだろ?」
「ええ。・・・、やっぱりザイン王国軍に入ったのね」
「大丈夫だよ、ヴィヴィ。レティシア嬢には霊獣がいる。それに俺たちだって彼女は最優先で守る」
「・・・。そうね」

 リカオンがいくらヴィヴィアンを励まそうとしても、ヴィヴィアンの不安はぬぐえないようだ。マティアスだとて、霊獣の契約者で剣が強いとはいえ、女性を戦場に連れて行くのは不安だ。

 ヴィヴィアンはマティアスにとっては鬼のよう恐ろしい剣の師匠だ。だが同時に、マティアスの事を心から愛してくれる姉でもある。ヴィヴィアンはとても強いがそれ以上に深い心を持っている。レティシアを立派な剣士として育てたのだ。きっとレティシアにも深い愛情を感じているだろう。

 リカオンは困った顔をしてから、マティアスをチラリと見てニヤリと笑った。

「なぁ、ヴィヴィ。マティアスの奴がな、レティシア嬢に惚れてしまったんだ」
「あぶぁっぷ!」

 リカオンの突然の発言に、マティアスは変な声が出てしまった。ヴィヴィアンはマティアスをギロリとにらんだ。

「マティアス。貴方本気でレティシアお嬢さまに恋してるの?」
「?。うーん、恋ってのはよくわからない。だけどリカオンが、レティシアを戦争に巻き込むなら、一生大切にする気持ちがないとだめって言われたから、レティシアに結婚を申し込みに行ったんだ。そしたら、レティシアは求婚なんて無かったみたいに兵士に志願してたしさ。だけど、俺、あんなに綺麗な心の人間見たの初めてかもしれない」
「マティアス!貴方、レティシアお嬢さまの心を読んだの?!なんてハレンチな!」
「ご、ごめんなさい!だけど、レティシアが何で兵士になりたいのかわからないといけないからさぁ、」

 言い訳がましいマティアスに対して、ヴィヴィアンは怒りの形相だ。
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