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月の下の約束
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レティシアは大きくなったチップの背中に乗っていた。後ろにはマティアス王子。
レティシアたちは一足先にザイン王国に戻る事になった。レティシアが地上を見ると、野営をしていた森が見えてきた。
マティアス王子はこれからザイン王国の城に凱旋するのだ。これでマティアス王子とも会えなくなってしまう。レティシアは胸がズキズキ痛かった。
「レティシア。少し下に降りないか?」
背後のマティアスが、レティシアに声をかけた。レティシアは王子に振り向いた。
「王子殿下、お疲れですか?」
「いや、まぁ、そうだな」
レティシアはチップにお願いして森に降りてもらった。レティシアとマティアス王子は草の上に腰を下ろした。レティシアが何気なく夜空を見上げると、三日月が輝いていた。
「綺麗、」
レティシアは思わず呟いた。マティアスもつられたように空を見上げる。
「綺麗?月が?俺にはよくわからないな」
「王子殿下には、月はどう見えるのですか?」
「俺か?月を見れば暦がわかるんだ。弟のルイスが言ってた。だから俺は月を見て、もうだいぶ時間が経ったなって思う」
「・・・。ルイス第二王子殿下は博識でいらっしゃるのですね」
「ああ!ルイスはとても頭がいいんだ。俺の自慢の弟だ!」
マティアスは弟を褒められた事がよほど嬉しかったようで、小さな子供のように笑った。
マティアスの色々な表情が見られるのが嬉しい。彼の表情の一つ一つを心に刻もうとレティシアは誓った。マティアスは厳しい顔に戻ってレティシアに向き直った。
「そうそう。レティシア、霊獣どの。この度は大義だった。ザイン王国の第一王子として礼を言う」
「もったいないお言葉です。王子殿下」
「レティシア。そなたに褒美をとらせたい。何でも申してみよ」
レティシアの肩に乗ったチップがはしゃぐ。
『いいじゃないの、レティシア。大きな屋敷と財宝を頼もうよ!』
レティシアはチップを優しく撫でて諭した。褒美。レティシアの願いは、これからもマティアス王子の元で働く事だ。王子の護衛騎士団に入れたらとも思う。
だがこれからマティアス王子は王妃を娶り国王となるのだ。そんな彼を見続ける事は苦痛でもある。
やはりかねてからの予定通り、マティアス王子の元を去った方がよいと判断した。
しかし王子が褒美を言えといっているのに、何も要求しないのもかえって失礼だ。ティアラをもらうのはどうだろうか。ティアラはレティシアの愛馬であり親友だ。これからも一緒に暮らせたらとても嬉しい。
だがレティシアとチップはこれから食うや食わずの流浪生活をする事になる。そのような過酷な生活をティアラに課すのは気が引けた。
考えたすえ、レティシアは褒美を決めた。
レティシアたちは一足先にザイン王国に戻る事になった。レティシアが地上を見ると、野営をしていた森が見えてきた。
マティアス王子はこれからザイン王国の城に凱旋するのだ。これでマティアス王子とも会えなくなってしまう。レティシアは胸がズキズキ痛かった。
「レティシア。少し下に降りないか?」
背後のマティアスが、レティシアに声をかけた。レティシアは王子に振り向いた。
「王子殿下、お疲れですか?」
「いや、まぁ、そうだな」
レティシアはチップにお願いして森に降りてもらった。レティシアとマティアス王子は草の上に腰を下ろした。レティシアが何気なく夜空を見上げると、三日月が輝いていた。
「綺麗、」
レティシアは思わず呟いた。マティアスもつられたように空を見上げる。
「綺麗?月が?俺にはよくわからないな」
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「・・・。ルイス第二王子殿下は博識でいらっしゃるのですね」
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マティアスは弟を褒められた事がよほど嬉しかったようで、小さな子供のように笑った。
マティアスの色々な表情が見られるのが嬉しい。彼の表情の一つ一つを心に刻もうとレティシアは誓った。マティアスは厳しい顔に戻ってレティシアに向き直った。
「そうそう。レティシア、霊獣どの。この度は大義だった。ザイン王国の第一王子として礼を言う」
「もったいないお言葉です。王子殿下」
「レティシア。そなたに褒美をとらせたい。何でも申してみよ」
レティシアの肩に乗ったチップがはしゃぐ。
『いいじゃないの、レティシア。大きな屋敷と財宝を頼もうよ!』
レティシアはチップを優しく撫でて諭した。褒美。レティシアの願いは、これからもマティアス王子の元で働く事だ。王子の護衛騎士団に入れたらとも思う。
だがこれからマティアス王子は王妃を娶り国王となるのだ。そんな彼を見続ける事は苦痛でもある。
やはりかねてからの予定通り、マティアス王子の元を去った方がよいと判断した。
しかし王子が褒美を言えといっているのに、何も要求しないのもかえって失礼だ。ティアラをもらうのはどうだろうか。ティアラはレティシアの愛馬であり親友だ。これからも一緒に暮らせたらとても嬉しい。
だがレティシアとチップはこれから食うや食わずの流浪生活をする事になる。そのような過酷な生活をティアラに課すのは気が引けた。
考えたすえ、レティシアは褒美を決めた。
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