最恐魔女の姉に溺愛されている追放令嬢はどん底から成り上がる

盛平

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助っ人の魔法使い

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 ドリスはしばらく押し黙ってから、口を開いた。

「プリシラ、お前の気持ちは理解した。だがドウマ国制圧の許可は出せない」
「何故ですか?!」

 ドリスの言葉に、プリシラはくってかかった。ドリスは幼い子供をたしなめるような表情で答えた。

「プリシラたちが召喚士である事は理解している。お前たちが強大な魔力を持つ精霊や霊獣と契約している事も知っている。だがなお前たちは普通の女の子だ。わたくしがエスメラルダを単独でドウマ国に送り出したのは、魔女としてのエスメラルダをかっているからだ。もし数日してもエスメラルダが戻らなければ、城の魔法使いを偵察におくる。それまで待つのだ」

 ドリスの考えはもっともだ。だがプリシラは諦めるわけにはいかなかった。プリシラはなおもドリスに食い下がった。

「ドリス王女。ならば優秀な魔法使いが同行すれば問題ありませんよね?」

 プリシラは言うが早いか、左手の小指にしている魔法具の指輪に声をかけた。

「リベリオ、今からこられる?」
「はいはーい。プリシラのお願いならなんでも聞くよ?ちょっと待っててね」

 指輪からは陽気な青年の声が聞こえる。しばらくすると空間の出入り口が開き、リベリオが姿を現した。

「プリシラ、今日の君も一段と美しい、ってあれ?ここどこ?」

 リベリオは自分が現れた場所がどこだかわからず、キョロキョロしていると、ニヤニヤと意味ありげな笑顔を浮かべているドリスが口を開いた。

「ずいぶんとご機嫌ですね?デムーロ伯爵」
「ひいっ!ドリス王女さま!」

 リベリオはすぐさま片膝をついて低頭した。視線だけプリシラに向けて情けない声を出す。

「プリシラァ、ドリス王女さまがいらっしゃるなら先に言ってくれよぉ」
「あら、私が説明する前にリベリオが通信を切ってしまったじゃない」

 プリシラが涼しい顔で答えると、リベリオはググッと息をのんだ。ドリスはプリシラとリベリオの会話が落ち着くと、口を開いた。

「デムーロ伯爵、これより命令を与えます。プリシラとチコとサラをともなって、ドウマ国に向かいなさい。そして魔女のエスメラルダを連れて無事に帰還しなさい。もし一人でもケガをしているようでしたらデムーロ伯爵家は無くなるものと思いなさい」
「ひっ、ひどすぎる。王女のご命令とあれば。デムーロ伯爵家に誓って遂行いたします」  

 プリシラはドウマ国に行く事が許された。
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