155 / 175
作戦
しおりを挟む
エスメラルダは空間魔法で一旦城下町の宿屋に帰った。この宿屋の一室は、エスメラルダが一年借り切っているので、エスメラルダの自宅といってもいい場所だ。
だがエスメラルダの私物は何も無い。エスメラルダの衣類や生活用品は隠しの魔法で保存する事ができるので、物を部屋に置いておく必要が無いのだ。
エスメラルダは自身の身体が汗くさい事に顔をしかめた。日の当たる場所にずっといた後、慣れない力仕事をしたためだ。
普段着にしている黒いドレスを脱ぐと、エスメラルダは水魔法でドレスを洗った。次に風魔法で温かい風を起こし、ドレスを乾かした。ドレスをハンガーにかけると、今度は自分の番だ。
エスメラルダは風呂場に入ると、水魔法で湯を発生させた。ペチコートも下着もすべて脱いでから湯船に浸かる。ホウッとため息が出た。
身体が温まってくると、身体中の疲労感が抜けて、意識がはっきりしてくる。
ドウマ国の中に入った時に感じた住人の人数はおよそ三十人ほど。そして粗末な石造りの城にはドウマ国を治める国王がいる。
ドウマ国の住人一人一人ならばエスメラルダの敵ではないが、全員から魔法攻撃されてはエスメラルダだとて手に余る。
エスメラルダはドウマ国に潜入して、ある事に気づいた。ドウマ国の周りには強い結界を張っているのだ。おそらく侵入者の魔力を制限する結界。
ドウマ国に入った時、エスメラルダは変身魔法という比較的魔力量を必要としない魔力だけ使っていたので、変身魔法が解除されずに済んだが、魔力の弱い者が変身魔法を使用してドウマ国内に入れば、瞬時に魔法が解除されてしまうだろう。
エスメラルダがドウマ国に入るためには、魔力制御を回避する作戦が必要だった。エスメラルダは湯につかりながら目をつむった。
エスメラルダはその次の日もドウマ国の偵察に行った。空間魔法を使えばすぐにドウマ国に行く事ができる。
エスメラルダは時間を決めて定期的にドウマ国を調べた。ドウマ国に入れるのは、二週間に一回の物資を運んでいる馬車のみ。
物資の中には食材や酒などの嗜好品も含まれている。物資は一旦城に保管され、定期的に国民に均等に分配されている。
ではこの国民たちは一体何のためにいるのか。それは近隣諸国にある町や村への定期的な攻撃だ。
魔法で襲撃された町人や村人は、仕方なく金品を渡すしかなかった。街では金持ちの屋敷が狙われ、攻撃を止める代わりに金品を要求していた。
ドウマ国を偵察していて、エスメラルダは怒りが湧いて仕方なかった。魔法使いとは人より優れた存在だ。ならば魔法使いは困っている人間を助けるのが本来の姿だ。
魔法を使って人々を苦しめ金品を奪うなど言語道断。エスメラルダはドウマ国の住人をすべて拘束し、王都の騎士団に突き出す事に決めた。
だがエスメラルダの私物は何も無い。エスメラルダの衣類や生活用品は隠しの魔法で保存する事ができるので、物を部屋に置いておく必要が無いのだ。
エスメラルダは自身の身体が汗くさい事に顔をしかめた。日の当たる場所にずっといた後、慣れない力仕事をしたためだ。
普段着にしている黒いドレスを脱ぐと、エスメラルダは水魔法でドレスを洗った。次に風魔法で温かい風を起こし、ドレスを乾かした。ドレスをハンガーにかけると、今度は自分の番だ。
エスメラルダは風呂場に入ると、水魔法で湯を発生させた。ペチコートも下着もすべて脱いでから湯船に浸かる。ホウッとため息が出た。
身体が温まってくると、身体中の疲労感が抜けて、意識がはっきりしてくる。
ドウマ国の中に入った時に感じた住人の人数はおよそ三十人ほど。そして粗末な石造りの城にはドウマ国を治める国王がいる。
ドウマ国の住人一人一人ならばエスメラルダの敵ではないが、全員から魔法攻撃されてはエスメラルダだとて手に余る。
エスメラルダはドウマ国に潜入して、ある事に気づいた。ドウマ国の周りには強い結界を張っているのだ。おそらく侵入者の魔力を制限する結界。
ドウマ国に入った時、エスメラルダは変身魔法という比較的魔力量を必要としない魔力だけ使っていたので、変身魔法が解除されずに済んだが、魔力の弱い者が変身魔法を使用してドウマ国内に入れば、瞬時に魔法が解除されてしまうだろう。
エスメラルダがドウマ国に入るためには、魔力制御を回避する作戦が必要だった。エスメラルダは湯につかりながら目をつむった。
エスメラルダはその次の日もドウマ国の偵察に行った。空間魔法を使えばすぐにドウマ国に行く事ができる。
エスメラルダは時間を決めて定期的にドウマ国を調べた。ドウマ国に入れるのは、二週間に一回の物資を運んでいる馬車のみ。
物資の中には食材や酒などの嗜好品も含まれている。物資は一旦城に保管され、定期的に国民に均等に分配されている。
ではこの国民たちは一体何のためにいるのか。それは近隣諸国にある町や村への定期的な攻撃だ。
魔法で襲撃された町人や村人は、仕方なく金品を渡すしかなかった。街では金持ちの屋敷が狙われ、攻撃を止める代わりに金品を要求していた。
ドウマ国を偵察していて、エスメラルダは怒りが湧いて仕方なかった。魔法使いとは人より優れた存在だ。ならば魔法使いは困っている人間を助けるのが本来の姿だ。
魔法を使って人々を苦しめ金品を奪うなど言語道断。エスメラルダはドウマ国の住人をすべて拘束し、王都の騎士団に突き出す事に決めた。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる