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リベリオの決断

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 リベリオはダニエラの家をたずねて以来、すっかり彼女に懐いてしまった。ダニエラは美人で優しくて、リベリオの話しをよく聞いてくれた。

 父親のイヴァンは、リベリオがたずねてくるといつも機嫌が悪いが、ダニエラは歓迎してくれた。

 今日も今日とても、リベリオはダニエラにどうしたらプリシラに思いを告げられるか相談をしていた。

 ダニエラはうんうんと、リベリオの話しを聞いてからこう言った。

「リベリオがプリシラに告白する勇気を持てないのは、後ろめたいからなのね?」

 その通りだ。リベリオはこれまでだらしのない生活を送っていた。好みの女の子に声をかけては、適当に付き合って別れて、またすぐに女の子に声をかけていた。

 こんな自分が、天使のようなプリシラに愛を告白する資格などないと考えてしまうのだ。リベリオがコクリとうなずくと、ダニエラも一つうなずいてから口を開いた。

「ならリベリオが付き合った女の子全員に、心から謝ってみたらどうかしら?」
「ええ?!今更別れた女の子に会うんですか?!俺殺されてしまいますよ!」
「大丈夫よ。女の子たちだって、リベリオを殺して騎士団に捕まるなんてバカげた事なんかしないわ。せいぜい半殺しよ」
「・・・。それもそうですね。ていうか、ダニエラさん。俺の事結構けいべつしていますね?」
「そうね、客観的に見て女の敵かなって?」
「・・・。ですよね?」
「だけど、リベリオが心の底から謝れば、女の子たちはきっと許してくれるはずよ?そして許される事がリベリオの新たな一歩になるはずよ?」

 リベリオはダニエラの叱咤激励を胸にこれまで付き合った女性たちに謝罪行脚をする事にした。

 大体の女の子が激怒していた。君の気の済むようにしてくれと言えば、平手打ち、グーパンチは可愛いもので。クギを打った角材や、石を入れた袋で殴られた事もあった。

 中には、すでに恋人や夫ができたので、帰ってくれという女の子もいた。

 リベリオは数日に渡る、謝罪行脚でボロボロになっていた。お茶に招待したプリシラは、リベリオの姿に目を丸くして言った。

「どうしたんですか?リベリオさま。ズタボロではありませんか?」
「い、いや、ちょっとね。これからは真面目に生きようと思ってね。過去の清算をしていたんだ」
「過去の清算?」
「うん。プリシラも聞いた事があるだろ?俺はこれまであまり誠実じゃなかった」
「そうですね。舞踏会に行くと、貴族の方たちがいつも忠告してくれますよ?リベリオさまには近づかない方がいいって」
「・・・。だろうね」

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