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スキーラ子爵

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 マージとガイオと出会えたプリシラたちは地上を目指した。地下にいては退路をたたれてしまうからだ。

 これからプリシラはスキーラ子爵と話しをつけてガイオの首輪をはずしてもらわなければいけない。

 プリシラたちが黙々と地下道を歩いていると、正面から光が近づいて来た。先頭を歩いていたガイオが娘のエレナを背後にかばった。

「チッ。スキーラの野郎だ」

 どうやらプリシラたちは、地下道を抜ける前に敵とそうぐうしてしまったようだ。ランプを持った小さな魔法使いの先導で、スキーラ子爵は偉そうに真ん中を歩いていた。背後にはたくさんの部下が続いている。

 スキーラ子爵は、ランプを持っているガイオとエレナに気づいたのだろう。

「騒ぎを聞きつけて来てみれば、エレナがいるではないか。親子ともども早く捕まえて部屋に閉じ込めておけ」

 まるでガイオとエレナを物のように扱う発言に、プリシラの怒りは頂点に達した。プリシラはガイオのとなりに立つと、スキーラ子爵にあいさつをした。

「お久しぶりですね?スキーラ子爵。社交界以来ですわね?」

 スキーラ子爵は、プリシラの事がわからないようで、ジロジロとぶしつけな視線を送ってから、手を叩いて叫んだ。

「これはこれはパルヴィス公爵家のご令嬢プリシラさまではありませんか。何故我が屋敷に勝手に侵入されたのですか?とてもご令嬢のする事とは思えません」
「スキーラ子爵、お言葉を返すようですが。貴方は私の恩人であるマージさんに暴力をふるい、なおかつ監禁までしました。この落とし前はつけさせてもらいます」
「ほう、どのように?」
「まずはエレナの父親の首輪をはずしてください」
「連れて来た女の事は謝罪しましょう。私の持ち物の側にいたもので。ですがこの男と娘は私の所有物なのですよ?」
「人が人を所有するなど、あってはならない事です!ガイオさんとエレナに所有者がいるとすれば、彼ら自身が所有者です」
「話になりませんなぁ。プリシラさまは貴族になりたててでいらっしゃるから、貴族の何たるかが理解できないのです。貴族と平民には大きな違いがあるのです。貴族とは、神にも等しい存在なのです。貴族が平民を支配するのは必然なのです」

 スキーラ子爵のあまりの思考に、プリシラは奥歯を噛み締めた。まるで話しが通じない。かくなる上は父であるパルヴィス公爵に話しをするしかないと考えていた時、スキーラ子爵はとんでもない事を発言した。

「プリシラさま。このような場所で何ですが、私は正式に貴女さまに結婚を申し込みます。いずれお父上にあいさつにうかがいます」

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