最恐魔女の姉に溺愛されている追放令嬢はどん底から成り上がる

盛平

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マージの思い

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 マージはホッと息を吐いた。どうやらトビーたちを仕事に送り出す事に成功したようだ。マージは今もなお自分の首に腕を回し、ナイフを突きつけている男に言った。

「ちょっと、トビーたちは出発したんだから、この手を離してよ。苦しくてしょうがないわ」
「キモの座った女だなぁ、あんた」

 銀髪の男は呆れたような声で言うと、マージを離した。マージはフゥッと深呼吸してから、男をにらんで答えた。

「だてに女子供だけで会社起こしちゃいないわよ。それにね、わかったんだ。あんたに私を殺す気はないって」

 男はピクリと身体をこわばらせてマージをにらんだ。マージはふふんと笑ってから言った。

「あんた、トビーが私と人質交換しようと言った時、ためらったね?子供に怖い思いをさせたくないって思ったんじゃないか?それに、あの木箱。あんたはとても丁寧に床におろしていた、中に人が入っていたんだろ?あんたの大切な人、あんたの子供かい?」

 銀髪の男はお手上げだとでもいうように苦笑した。

「ああ、あんたにはすべてお見通しのようだな。木箱の中に、娘がいる。俺の命よりも大切な娘だ」

 マージは銀髪の男を観察した。男は長身のハンサムだった。身なりは貧しい。だが不自然に高価な首輪をつけている。金の首輪だ。真ん中には、ルビーだろうか、真っ赤な宝石が埋め込まれている。はっきり言って男には似合っていなかった。

 マージはついつい本音を言ってしまった。

「あんたのその首輪。ちっとも似合ってないよ?」
「俺もそう思う。大嫌いなんだ、この首輪」

 男の名はガイオと言った。ガイオは何故マージの会社に娘をたくしたのかを話してくれた。それはトビーを自分の息子のように思っているマージとしても、はらわたが煮えくりかえりそうになる内容だった。

 ガイオの娘エレナは類まれな魔法を使う少女だった。それに目をつけたスキーラ子爵は父親のガイオを人質にして、娘のエレナを操ろうとしていたのだ。

 ガイオはスキーラ子爵の隙をついて、エレナを連れて子爵の屋敷を抜け出したのだ。マージは、何故エレナだけ外国に逃して、ガイオはここに残ったのかをたずねた。ガイオは歯がみしながら答えた。

「この首輪のせいだ。俺はウィード国の王都と城下町から一歩でも出た途端、バンッて爆発しちまうんだと」

 ガイオは何が面白いのか、ゲラゲラ笑いながら言った。ガイオの娘の魔法は、歌った事が現実になるという。その魔法でガイオの首輪を外す事はできないのかと質問すると、ガイオは苦笑しながら言った。

「俺も、エレナにそう言ったさ。だけど、もしお父さんが死んでしまったら嫌だっていうからな。俺が死ぬのはかまわないが、エレナが責任を感じて生きていくのは嫌だ」

 マージは、ガイオが二度と娘に会えないのではないかと心配になった。マージの表情で察したのだろう。ガイオは笑って言った。

「俺は死ぬ気はないぜ。エレナが安全な場所に行ったら、何が何でもこの首輪を外して、エレナを探しに行くんだ」

 ガイオの諦めない姿に、マージは安どした。

 

 

 
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