109 / 175
リベリオの苦悩5
しおりを挟む
イヴァンはリベリオの事を煙たがり、手紙で要件を伝えるからすぐに帰れとおいかえそうとした。それをダニエラが止めて、お茶に招待してくれた。リベリオはようやく父が下宿している家に入れてもらえた。
ダニエラはかいがいしく紅茶を淹れてくれ、クッキーも出してくれた。とても美味しそうなクッキーと、形がいびつで黒く焦げているクッキーだ。
リベリオが綺麗なクッキーを手に取ろうとすると、すかさず父が制した。
「リベリオ、こっちのクッキーを食べろ」
「嫌ですよ。形が変だし、焦げてるし」
親子のやり取りを、ダニエラはクスクス笑いながら言った。
「このクッキーはイヴァンさまが焼いてくれたのですよ?」
「ほら見なさい。危うく毒物を食べるところでした。この危険物は父上が食べてください。俺はダニエラさんのクッキーを食べます」
「何だと?!リベリオ!」
リベリオと父の低レベルなケンカを見て、ダニエラは大笑いした。
中々父に会いに来た理由を言えないリベリオに、ダニエラは気さくに話しかけてくれた。ついにプリシラの相談をすると、父は渋い顔で言った。
「リベリオ、お前はプリシラの事を何もわかっていない。プリシラは爵位が高い低いで人の見方を変えるような女性ではない」
父の言葉にリベリオはホッとした直後、父が厳しい顔で言葉を続けた。
「だがな、リベリオ。プリシラはお前のような男は好きではないと思うぞ?」
「!。以前にも言ったではないですか、父上!俺はこれまでの態度を改めて、プリシラだけを思う、と」
「リベリオ、お前は何も理解していない。今のお前は、過去のお前の行いによってできているのだぞ?過去のお前は、自堕落な女ったらしだった。プリシラがその事を知ったらどう思うか考えるのだな。プリシラに愛を告白するのはその後だ」
父はそれだけ言うとリベリオを家から追い出してしまった。リベリオは仕方なく空を飛んで帰る事にした。
父の言葉は当たっているだけ、胸に応えた。父は伯爵という重い責務を長年続けていただけあって、人を見る目は確かだ。
プリシラという女性は、きっと爵位の高さで人を見ないというのは当たっているのだろう。だが、プリシラがリベリオの過去を知ってどう思うだろうか。
客観的に物事を考えてみよう。リベリオに愛を告白する女が現れたとする。その女は尻軽で男にだらしない女だ。その女が、もうこれまでの事は改める。これからは貴方だけを愛するから結婚してくれと言ってきた。
無理だ。そんな女、とても信用できない。リベリオはプリシラに同じ事をしようとしているのだ。
プリシラへの告白は、プリシラのリベリオへの信頼回復から始めなければいけないだろう。プリシラが、リベリオを信頼できる人間だと理解してくれるまで。
ダニエラはかいがいしく紅茶を淹れてくれ、クッキーも出してくれた。とても美味しそうなクッキーと、形がいびつで黒く焦げているクッキーだ。
リベリオが綺麗なクッキーを手に取ろうとすると、すかさず父が制した。
「リベリオ、こっちのクッキーを食べろ」
「嫌ですよ。形が変だし、焦げてるし」
親子のやり取りを、ダニエラはクスクス笑いながら言った。
「このクッキーはイヴァンさまが焼いてくれたのですよ?」
「ほら見なさい。危うく毒物を食べるところでした。この危険物は父上が食べてください。俺はダニエラさんのクッキーを食べます」
「何だと?!リベリオ!」
リベリオと父の低レベルなケンカを見て、ダニエラは大笑いした。
中々父に会いに来た理由を言えないリベリオに、ダニエラは気さくに話しかけてくれた。ついにプリシラの相談をすると、父は渋い顔で言った。
「リベリオ、お前はプリシラの事を何もわかっていない。プリシラは爵位が高い低いで人の見方を変えるような女性ではない」
父の言葉にリベリオはホッとした直後、父が厳しい顔で言葉を続けた。
「だがな、リベリオ。プリシラはお前のような男は好きではないと思うぞ?」
「!。以前にも言ったではないですか、父上!俺はこれまでの態度を改めて、プリシラだけを思う、と」
「リベリオ、お前は何も理解していない。今のお前は、過去のお前の行いによってできているのだぞ?過去のお前は、自堕落な女ったらしだった。プリシラがその事を知ったらどう思うか考えるのだな。プリシラに愛を告白するのはその後だ」
父はそれだけ言うとリベリオを家から追い出してしまった。リベリオは仕方なく空を飛んで帰る事にした。
父の言葉は当たっているだけ、胸に応えた。父は伯爵という重い責務を長年続けていただけあって、人を見る目は確かだ。
プリシラという女性は、きっと爵位の高さで人を見ないというのは当たっているのだろう。だが、プリシラがリベリオの過去を知ってどう思うだろうか。
客観的に物事を考えてみよう。リベリオに愛を告白する女が現れたとする。その女は尻軽で男にだらしない女だ。その女が、もうこれまでの事は改める。これからは貴方だけを愛するから結婚してくれと言ってきた。
無理だ。そんな女、とても信用できない。リベリオはプリシラに同じ事をしようとしているのだ。
プリシラへの告白は、プリシラのリベリオへの信頼回復から始めなければいけないだろう。プリシラが、リベリオを信頼できる人間だと理解してくれるまで。
0
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる