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プリシラのわがまま
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プリシラは何度目かわからないため息をついた。プリシラが抱っこしているタップがしみじみ言った。
『じじいとばばぁはプリシラのドケチがまだよくわかってねぇようだな』
「私はドケチじゃないの。倹約家なの」
『ものはいいようだな』
プリシラは目の前で落ち込んでしまっている両親を見つめた。プリシラは優しい両親ができただけでそれで充分なのだ。
「お父さま、お母さま。では、一つわがままを言っていいですか?」
「も、もちろんだ。何でも言ってくれ!」
「ええ、ええ。何でもしてあげるわ」
プリシラの言葉に、パルヴィス公爵夫妻は途端に元気になった。プリシラはちょっと厳しい顔になって言った。
「本当ですか?私はとってもわがままなんですよ?」
パルヴィス公爵夫妻はうんうんとうなずいた。プリシラはコホンともったいぶった咳をしてから言った。
「先ずはお父さま。今日はお仕事は禁止です!それから、料理長さんに美味しいサンドイッチを作ってもらいます!お父さまには赤ワインを。お母さまと私にはぶどうジュースを。タップにはりんごを。それを持ってピクニックに行きましょう!」
プリシラの両親は、娘の初めてのわがままを驚いた顔で見つめていた。
プリシラは両親を連れ、てパルヴィス公爵家の所有地である見晴らしのいい丘に出かけた。プリシラはタップに乗って公爵家の屋敷に行く時、いつもピクニックに良さそうだと思っていたのだ。
サンドイッチと果物が入ったバスケットと、ワインやジュース、しきものなどはタップが隠しの魔法で運んでくれるので、プリシラはタップを小脇にかかえ、母と手をつないで丘を目指した。
父のパルヴィス公爵の身体はだいぶ回復していて、ゆるい丘をスタスタ登っていた。
陽当たりのいい平地の場所にシートをしいて、タップに隠しの魔法を解いてもらった。バスケットにぶどう酒、ぶどうジュース、果物。
タップがりんごりんごとうるさいので、到着した途端にお昼にする。プリシラたちはお昼ご飯はまだだったので、軽くお腹が空いていた。
父はぶどう酒をグラスにいれ、プリシラと母はぶどうジュースをグラスにそそぎ乾杯した。
タップが隠しの魔法で保存してくれたので、ぶどうジュースはほどよく冷えていて美味しかった。
サンドイッチは、パルヴィス公爵家の料理長の手作りだけあってとても美味しかった。ローストビーフと玉ねぎのマリネのサンドイッチに、ハムとレタスときゅうりのシャキシャキ感が楽しいサンドイッチ。ポテトサラダがたっぷり入ったサンドイッチ。デザートの果物を食べたらお腹いっぱいになった。
食事を終えたプリシラは、改めて丘の上からの景色を見渡した。パルヴィス公爵家の領地は、緑豊かな土地だった。
「とっても綺麗」
プリシラは思わずひとり言を呟いた。母が微笑んで答えた。
「プリシラ。この土地も屋敷も、すべて貴女の物なのよ?」
母の言葉に、プリシラの顔がくもった。パルヴィス公爵家がプリシラのものになるという事は、すなわち両親がいなくなるという事だ。プリシラが顔をくもらせていると、父が慈愛のこもった声で言った。
「プリシラ、そう気負うことはない。管理が大変ならば、信頼できる者すべて任せていいのだ」
父はプリシラが、将来の財産管理を心配していると思ったのだろう。プリシラの心配はそんな事ではない。大好きな両親との死別を恐れているのだ。プリシラはあいまいにうなずいた。
『じじいとばばぁはプリシラのドケチがまだよくわかってねぇようだな』
「私はドケチじゃないの。倹約家なの」
『ものはいいようだな』
プリシラは目の前で落ち込んでしまっている両親を見つめた。プリシラは優しい両親ができただけでそれで充分なのだ。
「お父さま、お母さま。では、一つわがままを言っていいですか?」
「も、もちろんだ。何でも言ってくれ!」
「ええ、ええ。何でもしてあげるわ」
プリシラの言葉に、パルヴィス公爵夫妻は途端に元気になった。プリシラはちょっと厳しい顔になって言った。
「本当ですか?私はとってもわがままなんですよ?」
パルヴィス公爵夫妻はうんうんとうなずいた。プリシラはコホンともったいぶった咳をしてから言った。
「先ずはお父さま。今日はお仕事は禁止です!それから、料理長さんに美味しいサンドイッチを作ってもらいます!お父さまには赤ワインを。お母さまと私にはぶどうジュースを。タップにはりんごを。それを持ってピクニックに行きましょう!」
プリシラの両親は、娘の初めてのわがままを驚いた顔で見つめていた。
プリシラは両親を連れ、てパルヴィス公爵家の所有地である見晴らしのいい丘に出かけた。プリシラはタップに乗って公爵家の屋敷に行く時、いつもピクニックに良さそうだと思っていたのだ。
サンドイッチと果物が入ったバスケットと、ワインやジュース、しきものなどはタップが隠しの魔法で運んでくれるので、プリシラはタップを小脇にかかえ、母と手をつないで丘を目指した。
父のパルヴィス公爵の身体はだいぶ回復していて、ゆるい丘をスタスタ登っていた。
陽当たりのいい平地の場所にシートをしいて、タップに隠しの魔法を解いてもらった。バスケットにぶどう酒、ぶどうジュース、果物。
タップがりんごりんごとうるさいので、到着した途端にお昼にする。プリシラたちはお昼ご飯はまだだったので、軽くお腹が空いていた。
父はぶどう酒をグラスにいれ、プリシラと母はぶどうジュースをグラスにそそぎ乾杯した。
タップが隠しの魔法で保存してくれたので、ぶどうジュースはほどよく冷えていて美味しかった。
サンドイッチは、パルヴィス公爵家の料理長の手作りだけあってとても美味しかった。ローストビーフと玉ねぎのマリネのサンドイッチに、ハムとレタスときゅうりのシャキシャキ感が楽しいサンドイッチ。ポテトサラダがたっぷり入ったサンドイッチ。デザートの果物を食べたらお腹いっぱいになった。
食事を終えたプリシラは、改めて丘の上からの景色を見渡した。パルヴィス公爵家の領地は、緑豊かな土地だった。
「とっても綺麗」
プリシラは思わずひとり言を呟いた。母が微笑んで答えた。
「プリシラ。この土地も屋敷も、すべて貴女の物なのよ?」
母の言葉に、プリシラの顔がくもった。パルヴィス公爵家がプリシラのものになるという事は、すなわち両親がいなくなるという事だ。プリシラが顔をくもらせていると、父が慈愛のこもった声で言った。
「プリシラ、そう気負うことはない。管理が大変ならば、信頼できる者すべて任せていいのだ」
父はプリシラが、将来の財産管理を心配していると思ったのだろう。プリシラの心配はそんな事ではない。大好きな両親との死別を恐れているのだ。プリシラはあいまいにうなずいた。
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