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パルヴィス公爵3
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『おい、プリシラ。このじじぃ、何かおかしいぜ?』
「おかしい?何が?」
それまでおとなしくプリシラの腕の中にいたタップが言った。プリシラは下を向いてタップを見た。タップは可愛らしくプリシラを見上げて言った。
『このじじぃからは、強い魔力が漏れ出している。だが自然界のエレメントの魔力じゃねぇ。人間の作ったこざかしい魔力だ』
霊獣であるタップは、人間のプリシラには感じ取れない何かを感じ取っているようだ。プリシラは意を決して、公爵がかけている薄い毛布をはぎ取った。
そこには何ともおぞましいものがあった。プリシラは悲鳴を何とか飲み込むだけで精一杯だった。公爵のちょうど心臓の辺りに、どす黒い宝石が埋め込まれていた。その黒い宝石は、まるで木が根をおろすように、公爵の体内に根づいているのだ。
「貴様、何をする」
公爵が目をゆっくり開くと、胸元の宝石が鈍く光った。その途端、公爵の胸の上に魔法が出現した。強力な火魔法だ。火魔法は目の前のプリシラめがけて襲いかかってきた。
魔法が当たってしまう。プリシラは思わずタップを抱きしめ、背中を向けて目をつむった。タップだけでも火魔法から守りたかったのだ。
だが強力な火魔法はプリシラには当たらなかった。いぶかしんだプリシラが目を開くと、自身はすっぽりと風防御魔法で包まれていた。
「タップ。ありがとう!」
『へん!俺にとっちゃあ、あんなしょぼい火魔法お茶の子さいさいよ!俺を手放さなかった事はほめてやるぜ、プリシラ』
タップは、ウィード国の兵士からドワーフを守ろうとしたプリシラの事を、まだ根に持っているようだ。プリシラは苦笑しながらタップの背中を優しく撫でながら、飛んで行った火魔法の先を見つめた。
火魔法は部屋の壁に当たり、黒い消し炭の跡になっている。どうやらこの部屋の中は防御魔法が張られているようだ。
プリシラは部屋中の黒いこげ跡の原因を理解した。このこげ跡は、すべて公爵の魔法によるものなのだ。プリシラは公爵に質問した。
「公爵さま。なぜこのような事になられたのですか?」
「貴様の知る事ではない。早く部屋から出て行け。死んでしまうぞ」
「大丈夫です。わたくしには強い契約霊獣がいます。わたくしの事を守ってくれるのです」
公爵はギョロリとプリシラを見てから、ため息をついた。どうやら公爵は、本当にプリシラの事を案じて部屋から出るように言っていたようだ。公爵はポツリポツリと話し出した。
「娘、名は何というのだ?」
「プリシラと申します」
「プリシラ。わしの事は知っておるか?」
「はい。ウィード国王の叔父上でいらっしゃいます」
パルヴィス公爵は顔をゆがめた。公爵は前国王の弟であった。
「おかしい?何が?」
それまでおとなしくプリシラの腕の中にいたタップが言った。プリシラは下を向いてタップを見た。タップは可愛らしくプリシラを見上げて言った。
『このじじぃからは、強い魔力が漏れ出している。だが自然界のエレメントの魔力じゃねぇ。人間の作ったこざかしい魔力だ』
霊獣であるタップは、人間のプリシラには感じ取れない何かを感じ取っているようだ。プリシラは意を決して、公爵がかけている薄い毛布をはぎ取った。
そこには何ともおぞましいものがあった。プリシラは悲鳴を何とか飲み込むだけで精一杯だった。公爵のちょうど心臓の辺りに、どす黒い宝石が埋め込まれていた。その黒い宝石は、まるで木が根をおろすように、公爵の体内に根づいているのだ。
「貴様、何をする」
公爵が目をゆっくり開くと、胸元の宝石が鈍く光った。その途端、公爵の胸の上に魔法が出現した。強力な火魔法だ。火魔法は目の前のプリシラめがけて襲いかかってきた。
魔法が当たってしまう。プリシラは思わずタップを抱きしめ、背中を向けて目をつむった。タップだけでも火魔法から守りたかったのだ。
だが強力な火魔法はプリシラには当たらなかった。いぶかしんだプリシラが目を開くと、自身はすっぽりと風防御魔法で包まれていた。
「タップ。ありがとう!」
『へん!俺にとっちゃあ、あんなしょぼい火魔法お茶の子さいさいよ!俺を手放さなかった事はほめてやるぜ、プリシラ』
タップは、ウィード国の兵士からドワーフを守ろうとしたプリシラの事を、まだ根に持っているようだ。プリシラは苦笑しながらタップの背中を優しく撫でながら、飛んで行った火魔法の先を見つめた。
火魔法は部屋の壁に当たり、黒い消し炭の跡になっている。どうやらこの部屋の中は防御魔法が張られているようだ。
プリシラは部屋中の黒いこげ跡の原因を理解した。このこげ跡は、すべて公爵の魔法によるものなのだ。プリシラは公爵に質問した。
「公爵さま。なぜこのような事になられたのですか?」
「貴様の知る事ではない。早く部屋から出て行け。死んでしまうぞ」
「大丈夫です。わたくしには強い契約霊獣がいます。わたくしの事を守ってくれるのです」
公爵はギョロリとプリシラを見てから、ため息をついた。どうやら公爵は、本当にプリシラの事を案じて部屋から出るように言っていたようだ。公爵はポツリポツリと話し出した。
「娘、名は何というのだ?」
「プリシラと申します」
「プリシラ。わしの事は知っておるか?」
「はい。ウィード国王の叔父上でいらっしゃいます」
パルヴィス公爵は顔をゆがめた。公爵は前国王の弟であった。
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