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トビーの冒険4
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トビーは心の中で必死に死んだ母親にお祈りをした。マージが教えてくれたのだ。母親は死んで天国にいると。
ゴンザが死んでしまったらどうしよう。トビーがゴンザと強盗の間に入らなければ、金品は奪われても、命までは奪われなかったかもしれない。
トビーが正義の味方ぶって、しゃしゃり出て来なければ、ゴンザは深傷をおわなかったかもしれない。
母ちゃん、母ちゃん。ゴンザのおっちゃんを助けて。ゴンザのおっちゃんには息子がいるんだよ。俺は母ちゃんが死んで、とってもさびしいんだ。ゴンザのおっちゃんの子供に、俺と同じ悲しい気持ちにさせたくないよ。
トビーはいつしか泣いていた。涙で目がかすんで、目の前が見えなくなる。トビーはゴンザをささえていない方の手で、必死に涙をぬぐいながら飛んだ。
この時間なら、後輩のプリシラとタップは仕事を終えて会社に戻っているはずだ。だがプリシラはとてつもないおせっかいなので、どこかで道草をくっている可能も考えられる。
そうなればゴンザの治療はさらに遅れてしまう。もし治療が遅れれば。それ以降の事は考えられなかった。いや、考えたくなかった。
ようやくマージ運送会社に到着すると、トビーは大声で叫んだ。
「マージおばちゃん!プリシラ!タップ!早く来て!!」
トビーのただならない叫び声に、ドヤドヤとマージとプリシラたちがドアから飛び出て来た。
「どうしたんだい、トビー。大声出して」
「トビー、帰りが遅かったから心配したのよ?」
マージとプリシラの表情が厳しくなった。トビーの横で倒れている、ナイフが背中に刺さった男を目にしたからだ。
「プリシラ、タップ。ゴンザのおっちゃんを助けて」
プリシラは厳しい顔でうなずくと、抱いているタップに言った。
「タップ。この人は背後から刺されている。刃渡の長さはどのくらいかわからないけれど、腎臓と腸が傷ついているかもしれない」
『オッケー、まかせろ。プリシラ、ナイフを抜け』
「ええ。タップ、お願いね」
トビーには、タップの言葉はプウプウとしか聞こえないが、プリシラとタップはゴンザを助ける相談をしているようだ。プリシラはマージに声をかけた。
「マージさん。布を持って来てくれませんか?」
マージは会社に走って行くと、手ぬぐいを持って帰って来た。プリシラは礼を言ってから、手ぬぐいをナイフのつかにしっかり結びつけ、クツを脱いでから、ゴンザの背中を足で踏んだ。両手でしっかりと、布を巻きつけたナイフのつかを持った。
プリシラはチラリとトビーに視線を向けて言った。
「トビー、目をつむっていて?」
おそらく大量の出血があるのだろう。プリシラはトビーがショックを受けないようにしたいのだ。トビーはゆるく首をふった。
「ゴンザのおっちゃんは、俺のせいでケガした。俺は見届ける」
マージがトビーに寄り添い、しっかりと抱きしめてくれる。プリシラは小さくうなずくと、いきおいよくナイフを引き抜いた。
ゴンザの背中から、血がほとばしり、プリシラのそまつなドレスに飛び散った。プリシラは顔色ひとつ変えずに叫んだ。
「タップ!」
『おうよ!』
風の霊獣タップが治癒魔法を使ったのだろう。ゴンザの身体が輝き出した。ゴンザの背中にあった刺し傷は、みるみるふさがっていった。
「ゴンザのおっちゃん!」
トビーは嬉しくなって、ゴンザに飛びつき、大きくゆさぶった。だがゴンザは目を覚まさなかった。トビーは不安になって、プリシラを見つめた。
「大丈夫よ?トビー。ゴンザさんは大量に出血をしてしまったから。三、四日ゆっくり休めば目を覚ますわ?」
「それじゃあダメなんだ!ゴンザのおっちゃんの子供が病気なの!おっちゃんは早く家に帰らなければいけないんだ!」
トビーの剣幕に、プリシラは驚いた顔をしたが、厳しい顔になってタップを見た。
「タップ。回復魔法をお願い」
『死にかけてたケガ人に無理矢理の回復魔法するのは感心しねぇが仕方ねぇ。やってやる』
「ありがとう、タップ」
ゴンザの身体がもう一度光出した。トビーが身体をゆすり続けると、うむむといううなり声の後、ゴンザが目を覚ました。
ゴンザが死んでしまったらどうしよう。トビーがゴンザと強盗の間に入らなければ、金品は奪われても、命までは奪われなかったかもしれない。
トビーが正義の味方ぶって、しゃしゃり出て来なければ、ゴンザは深傷をおわなかったかもしれない。
母ちゃん、母ちゃん。ゴンザのおっちゃんを助けて。ゴンザのおっちゃんには息子がいるんだよ。俺は母ちゃんが死んで、とってもさびしいんだ。ゴンザのおっちゃんの子供に、俺と同じ悲しい気持ちにさせたくないよ。
トビーはいつしか泣いていた。涙で目がかすんで、目の前が見えなくなる。トビーはゴンザをささえていない方の手で、必死に涙をぬぐいながら飛んだ。
この時間なら、後輩のプリシラとタップは仕事を終えて会社に戻っているはずだ。だがプリシラはとてつもないおせっかいなので、どこかで道草をくっている可能も考えられる。
そうなればゴンザの治療はさらに遅れてしまう。もし治療が遅れれば。それ以降の事は考えられなかった。いや、考えたくなかった。
ようやくマージ運送会社に到着すると、トビーは大声で叫んだ。
「マージおばちゃん!プリシラ!タップ!早く来て!!」
トビーのただならない叫び声に、ドヤドヤとマージとプリシラたちがドアから飛び出て来た。
「どうしたんだい、トビー。大声出して」
「トビー、帰りが遅かったから心配したのよ?」
マージとプリシラの表情が厳しくなった。トビーの横で倒れている、ナイフが背中に刺さった男を目にしたからだ。
「プリシラ、タップ。ゴンザのおっちゃんを助けて」
プリシラは厳しい顔でうなずくと、抱いているタップに言った。
「タップ。この人は背後から刺されている。刃渡の長さはどのくらいかわからないけれど、腎臓と腸が傷ついているかもしれない」
『オッケー、まかせろ。プリシラ、ナイフを抜け』
「ええ。タップ、お願いね」
トビーには、タップの言葉はプウプウとしか聞こえないが、プリシラとタップはゴンザを助ける相談をしているようだ。プリシラはマージに声をかけた。
「マージさん。布を持って来てくれませんか?」
マージは会社に走って行くと、手ぬぐいを持って帰って来た。プリシラは礼を言ってから、手ぬぐいをナイフのつかにしっかり結びつけ、クツを脱いでから、ゴンザの背中を足で踏んだ。両手でしっかりと、布を巻きつけたナイフのつかを持った。
プリシラはチラリとトビーに視線を向けて言った。
「トビー、目をつむっていて?」
おそらく大量の出血があるのだろう。プリシラはトビーがショックを受けないようにしたいのだ。トビーはゆるく首をふった。
「ゴンザのおっちゃんは、俺のせいでケガした。俺は見届ける」
マージがトビーに寄り添い、しっかりと抱きしめてくれる。プリシラは小さくうなずくと、いきおいよくナイフを引き抜いた。
ゴンザの背中から、血がほとばしり、プリシラのそまつなドレスに飛び散った。プリシラは顔色ひとつ変えずに叫んだ。
「タップ!」
『おうよ!』
風の霊獣タップが治癒魔法を使ったのだろう。ゴンザの身体が輝き出した。ゴンザの背中にあった刺し傷は、みるみるふさがっていった。
「ゴンザのおっちゃん!」
トビーは嬉しくなって、ゴンザに飛びつき、大きくゆさぶった。だがゴンザは目を覚まさなかった。トビーは不安になって、プリシラを見つめた。
「大丈夫よ?トビー。ゴンザさんは大量に出血をしてしまったから。三、四日ゆっくり休めば目を覚ますわ?」
「それじゃあダメなんだ!ゴンザのおっちゃんの子供が病気なの!おっちゃんは早く家に帰らなければいけないんだ!」
トビーの剣幕に、プリシラは驚いた顔をしたが、厳しい顔になってタップを見た。
「タップ。回復魔法をお願い」
『死にかけてたケガ人に無理矢理の回復魔法するのは感心しねぇが仕方ねぇ。やってやる』
「ありがとう、タップ」
ゴンザの身体がもう一度光出した。トビーが身体をゆすり続けると、うむむといううなり声の後、ゴンザが目を覚ました。
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