最恐魔女の姉に溺愛されている追放令嬢はどん底から成り上がる

後始末

　ウィード国軍は、エスメラルダの作った巨大な空間魔法で、続々とウィード城に帰って行った。

　エスメラルダは次に、ドリスとネリオを国王の元に送り届けるため、空間魔法を開いた。空間魔法の先には、驚いた顔の国王が玉座に座っていた。

　ドリスはプリシラたちに振り向くと笑顔で言った。

「皆の者、わたくしへの協力心から感謝します」

　ドリスはきびすを返すと、玉座から走り降りて来た父親に抱きついた。ネリオはプリシラたちに黙礼すると、空間魔法の中に入って行った。

　エスメラルダは空間魔法を閉じると、ため息をついた。

「さぁ、プリシラ。私たちも帰りましょう？貴女はしっかり休まないと。会社まで送ってあげるわ。チコとサラもついでに送ってあげる」
「お姉ちゃんありがとう。だけど私たちはまだやらなければならない事があるわ」
　
　プリシラがチコとサラを振り向くと、彼女たちも微笑んでうなずいてくれた。プリシラたちは破壊された西の森を修復したいのだ。それにはチコとプッチの力が必要だ。チコとプッチは笑顔で言った。

「任せてよ！私とプッチがいれば、お茶の子さいさいよ！」
『ええ。大船に乗ったつもりでいなさい』

　偉そうなチコとプッチを見たエスメラルダは、嫌そうに顔をしかめて言った。

「仕方ないわねぇ。乗りかかった船だわ、最後まで付き合うわ」
「ありがとう！お姉ちゃん」

　プリシラはタップにお願いして、エルフとドワーフに通訳してもらった。エルフとドワーフは嬉しそうに微笑んだ。

　プリシラはタップにお願いして、この場にいる全員が乗れるほどに大きくなってもらった。

　プリシラはその場にいる全員に風浮遊魔法をかけ、巨大なタップの背中に乗せた。

『お前ら！落っこちんじゃねぇぞ！』

　タップは乱暴な言葉使いだが、ゆっくりと注意して空をの飛んでくれた。

　タップは空を飛んでいるため、エルフとドワーフの通訳は、サラの契約霊獣のティアが行なってくれた。

　プリシラは、ティアの言葉にしたがい、タップにお願いして飛んだ。エルフの言う通り、西の森には、ウィード国軍が火を放って、燃えてしまった箇所が方々にあった。

　痛ましい森の姿に、プリシラは心を痛めた。チコはプリシラの背中に優しく手を置くと、自身の肩に乗っているプッチにお願いした。

「プッチ！お願い。この森を元の綺麗な森に戻して？」
『オッケー！チコ』

　プッチが小さな手を地上に向けると、焼け焦げた大地から、ニョキニョキと樹木が伸び、やがて元の美しい森に戻った。

　エルフとドワーフは手を取り合って喜んでいた。